軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

70 宣戦布告

神獣認定や訓練視察も無事に終わり、ほっと一息。

それに神獣のお世話をしてくれているタンタカさんとは、自然と話が合った。年齢も近いし、同じような苦労をしてきた人だと感じた。

次の日にスズキタウンに帰還する予定だったので、のんびりと帰り支度を始めていたところ、急報が飛び込んできた。

グリューンと共に報告を受ける。

「獣王国に人間の国が宣戦布告をしてきただと!?」

「は、はい!!現在、すでに交戦中ですが勇者はおらず、容易に撃退できているとのことです。ですので、今のところ応援部隊の派遣は必要ないとのことです。もしかしたら陽動の可能性もあるとの見解です」

大鷲族の獣人が報告を終える。

少し考えたグリューンは指示を出す。

「では急いで我らもスズキタウンに帰還する。それでボアタウンには、獣王国からの難民の受け入れ準備、ドラゴンズホームには応援要請があれば、すぐに出動できるように指示しておいてくれ」

「了解しました」

大鷲族の獣人がすぐに飛びっ立っていく。

そんな所にブルーさんが血相を変えてやってきた。

「グリューン王、聖女様。すぐに来てください。獣王国の件はお聞きしましたが、こちらも大変な状況に陥っているのです」

すぐに領主館に向かう。

案内された執務室では、レイモンド辺境伯を挟んで、文官とレッドさんが激しく口論をしていた。

「魔族たちを見捨てるなんて、絶対にできません!!この町は聖女様と魔族のお陰で発展したのですよ」

「それは分かりますが・・・オーダスト帝国軍の精鋭部隊1万では、どう考えても太刀打ちできません。ここは現実的な対応を・・・」

ブルーさんが説明してくれる。

本日、オーダスト帝国の帝都から使者がやって来て、皇帝からの書状を持ってきた。その書状には、「ネフィスタウンを魔族殲滅のための前線基地にする。早急に最大限の支援体制を構築するとともに、居住している魔族については奴隷として処遇せよ」と書かれていたらしい。

「それでもです!!こんな恩知らずなことはできません」

「しかし・・・勇者がいるのなら、こちらが勝つことはまず無理でしょう。だからこそ、現実的な選択をしましょう。もしこの命令を無視すれば、それこそ国家反逆罪に問われます」

ネフィスタウンはオーダスト帝国の領土だから、基本的に皇帝の命令に従わなければならない。

そんな時、ずっと黙っていたレイモンド辺境伯が声を上げる。

「難しい問題だな・・・どうしたものか・・・」

「お父様!!何を迷っているのですか!?」

「元々の開拓村を放棄して、魔族居住区との間にある城壁を利用して籠城するか、それとも開拓村を守るために野戦に出るか、難しいな。折角発展した町を壊されるのは気に食わんが、仕方がない。町はいつでも作り直せる。私は開拓村を犠牲にして・・・」

レッドさんが話を遮る。

「お父様、それって魔族のために戦うということですか?」

「それ以外にあるか?魔族も大切な領民だ。見捨てるなんて論外だ。だからこそ、被害を最小限に・・・」

レイモンド辺境伯が悩んでいたのは、どうやって戦うかだったようだ。グリューンも笑みを浮かべる。

「レイモンド殿、我らも協力しよう。できるなら開拓村を壊されたくはない。我らの故郷でもあるしな」

そこからは如何にして撃退するかという軍議になった。

「すぐに応援部隊を派遣する。それで相手の戦力だが・・・」

「オーダスト帝国の精鋭部隊1万です。それに3000は主力部隊である重装騎兵隊です。野戦にめっぽう強い。野戦をすればかなりの損害が出るかと・・・」

「なるほど・・・しかし、二度も故郷を蹂躙されることは我慢ならんな。まずは現地を見よう」

結局、折衷案を採用することになり、できるかぎり野戦で戦い、その間に非戦闘員は魔族居住区に避難させる。戦況が悪化した時は、すぐに撤退して籠城戦に切り替える作戦だ。

すぐに住民に対して、城壁のある魔族居住への避難を進める一方、私たちは帝国軍が攻め込んでくるであろう平原に向かった。

そこはまだ開発が進んでおらず、だだっ広い荒地だった。

同行しているケンタウロスの族長タリアスが言う。

「我らにはもってこいの戦場だが、相手も騎兵だ。それに数も違い過ぎるな」

グリューンが応じる。

「城壁を早急に築けないのか?」

フリンが答える。

「報告によると1週間もすれば敵がやって来るんスよね?流石にそれは無理ッス」

「となると、多くの犠牲を払うことになるな・・・」

レイモンド辺境伯が言う。

「オーダスト帝国は大国です。運よく今回の部隊を撃退したとしても、どんどんと増援部隊を送り込んでくるものと思われます。だから私は、開拓村を諦めて籠城戦を提案したのです」

難しい問題だ。

今も、フリンと地元の技術者たちが、簡易の城壁の構築や最悪、馬防柵だけでも設置できないかを検討している。

こちらの世界では、現代日本に比べて短期間で建築することができるが、流石に一瞬で城壁はできない。

そんなことを思っていたら、赤ドラと白ドラの思いが伝わってきた。

(森だったら、すぐに作れるんじゃない?)

(そうだね。ミドリのスキルも上がっているしね)

その手があったか!?

私はグリューンやレイモンド辺境伯に進言する。

「私に考えがあります」