軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

16 エピローグ

とうとう冬がやってきた。一面、銀世界だ。

私はというと、寒さに堪えて、雪の中を必死で歩いている。グレートボアのウリは嬉しそうに駆け回り、赤ドラと白ドラはとてとてと、転びそうになりながらもウリを追いかけている。

なぜこんなことをしているかって?

それはやむにやまれぬ事情があるからだ。

集落の危機ではない。食料は十分あるし、私のたっての希望でお風呂も作ってもらった。生活には何の不便もない。

私は集落で過ごす初めての冬なので、これが普通だと思っていたのだけど、今年は特別なようだ。

例年、少ない食料や暖を取るための薪や魔石を節約して過ごさなければならず、暖房設備の無い家に住むゴブリンたちは神殿に集まって、ほとんど具の無い鍋を囲んだり、少量のお酒を飲んで過ごす風習があるようだ。今年は暖房設備のない家はなくなったのだが、それでも例年の習慣で多くのゴブリンたちが神殿に集まって来る。

食料も十分にあるし、フリンたちドワーフが造ったお酒もいっぱいある。

となると、連日宴会が行われる。今日もグリューンがサマスの塩漬けを大量に持ってやってきた。

「ザードから差し入れが届いた。鍋にすると旨いんだ」

「そうなんですね。すぐに準備しますね」

早速、味わう。

味付けは素朴な塩味だけど、サマスも野菜もそれ自体の味がいいので、今までに食べたことがないくらい美味しい。そこにフリンが差し入れを持って参加する。

「今日はお米で造った酒を持って来たッス。美味しいッスよ」

これは美味しい。まさしく日本酒だ。それに料理によく合う。

ちょっとイメージを言っただけで造ってくれるなんて、フリンは天才だ。

お酒も料理も大満足だ。私は幸せを噛みしめていた。

★★★

そんな生活が続いて一週間が経った頃、衝撃の事実が判明する。

パンツスーツがきつくなった。現実に向き合わなければならない時が来たようだ。

冬の間はまだいい。モコモコの防寒着を着ているからね。

でもこのまま春になると・・・考えただけでも恐ろしい。

一応、私にも聖女としての自覚がある。聖女が急に太っていたら、信者たちに申し訳が立たない。

私は寒さに耐え、ウォーキングをすることにした。

ウリは大喜びだし、赤ドラと白ドラも楽しそうだ。冬の間は特にすることがないので、私は自分で自分にノルマを課して、ひたすら歩いた。

3日が経った。

なぜか、ゴブリナも同行するようになった。

「これは修行なのですね。寒さに負けない強靭な精神を養うための・・・」

「そ、そうね・・・そういうことよ」

ダイエット目的とは言いづらかった。

この流れは加速することになる。

次の日からグリューンも参加するようになる。

「有事に備えて訓練するとは、流石は聖女殿だ。我も付き合うぞ」

グリューンが参加することになって、多くのゴブリンたちが参加するようになってしまった。

そして、多くの子供たちも・・・

「雪遊びは楽しいな」

「そうだね。去年までは、お腹が空くようなことはするなって言われていたのにね」

「お腹が空いても、いっぱい食べられるからいいよね?」

みんなでワイワイしていると、私も楽しくなってくる。子供時代を思い出して年甲斐もなく、はしゃいでしまう。雪を丸めて、ウリや赤ドラたちにぶつける。

「雪合戦だ!!」

(逃げろ!!)

(避けろ!!)

「キュー!!」

それを見た子供たちも真似をする。ここまではよかった。

定期的に軍事訓練をしいてるグリューンたちも混ざる。

「第一列!!楯を構えろ!!前進だ!!」

「「「オオオー!!」」」

いつの間にか、本格的な軍事訓練が始まってしまった。

冬になり、雪が積もっても集落は活気に溢れていた。

汗をかいたら、お風呂だ。本当に気持ちがいい。

そしてお風呂上りには、至高の一杯だ。最近は、糖質オフを意識して、火酒の炭酸割りばかりを飲んでいるけどね。

フリンが言う。

「果実酒もいいっスけど、火酒本来の味を楽しんでもらえて、嬉しいッス」

「私は特にサツマイモの火酒が好きかな。甘い香りがいいわね」

「聖女様は分かっているッスね」

そんな話をしながら、今日も宴が始まった。

ゴブリナが仕切る。

「さあ、皆さん!!女神ネフィス様に祈りを捧げましょう」

みんなで一斉に柏手を2回打ち、祈りを捧げる。

何となく、成り行きで始めたこのお祈りだけど、最近私は本当に感謝している。こんな素晴らしい世界に転生させてもらったんだからね。

「ネフィス様、本当にありがとうございます」

(ありがとう)

(ありがとう)

「キュー!!」

赤ドラと白ドラも、ウリも真似してやっている。

私のスローライフは始まったばかりだ。