軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

14

結局、一日目は十二階層まで進んだ。レカンは大金貨二枚と金貨四枚をトルーダに支払った。

途中でレカンはトルーダに聞いた。

「あんたたちは全員魔法使いだな」

「ああ、その通りだ」

「白に近い色の魔狼が出たら、どうするんだ? それとも、浅い階層なら魔法攻撃だけで踏破できるのか?」

「三十階層までなら魔法攻撃だけでも充分探索できるよ。といっても、白に近い魔狼を魔法で倒すのは魔力の無駄だ。だから物理攻撃をする」

「弓でもしまっているのか?」

「昔は弓を使うのが普通だった。ただ、体力のない魔法使いは弓の威力も大したことがなくてね。弓専門の探索者もいたが、雇えば高くつく。それで、〈水刃〉や〈鋼弾〉の魔法を覚える魔法使いが多かった」

「〈鋼弾〉という魔法は知らんな」

「鋼の玉を飛ばすだけの魔法だよ。あまり遠距離では使い物にならないが、条件さえ調えばかなりの威力が出る場合がある」

「なるほど」

「ところがあるとき、魔法研究所が〈魔矢筒〉を開発した」

「〈魔矢筒〉?」

「これさ」

トルーダが〈自在箱〉から長さ半歩ほどの細い筒を取り出した。

「これに専用の矢を差し込んで、根本の部分に小魔石を入れる。そしてしかるべきタイミングで呪文を唱えれば、魔石が爆発して矢が飛び出す。今ではこの迷宮に入る魔法使いは、ほぼ全員、〈魔矢筒〉を持っているんだ」

「ほう、なるほど」

(そうか)

(ツボルト迷宮の主と魔法で戦う方法を思いつかなかったが)

(〈水刃〉や〈氷弾〉ならいけるかもしれんな)

「この〈魔矢筒〉を開発したのが若き日のジザ導師なんだ。そのほかにもいろんな功績がある。だからあのかたはパルシモの探索者すべてから尊敬を受けている」

「ほう。その〈魔矢筒〉は、オレでも買えるのか」

「私は〈魔矢筒〉の店をやっている。来店すればもちろん売るよ」

「小魔石であれば、どんなものでもいいのか」

「いや。そうはいかない。筒の種類によって使える矢も決まっているし、魔石の大きさや魔力も調整しておかなくては危険だ。だから店で買った魔石以外を使ってはいけない」

ということは、〈魔矢筒〉というのは、ここパルシモにいなければ使い続けることはできない。レカンはこの武器への興味を失った。

「もっと大きな魔石を使い、大きな矢を飛ばす〈魔矢筒〉もある。使いこなせば強力な武器だ」

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二日目、〈クワントロ〉と〈ウィラード〉は、売店で弁当を買ってから迷宮に入った。

十三階層の入り口に転移したとき、レカンは魔力回復薬を五個取り出した。

「これをあんたたちに一個ずつ渡しておく」

「これは、まさか魔力回復薬か」

「ああ」

「驚いたなあ」

「知っているんだな」

「そりゃ、パルシモの町には薬聖の直弟子がいて、その店には魔力回復薬が置いてあるからな。私も買って使ったことがある」

「ほう」

「こんな高価なものをもらうわけにはいかん」

「これはオレが作ったものだ」

「なんだって」

「オレにとって、今日と明日五個の魔力回復薬をあんたたちに提供することは、たいした負担じゃない。その一方で、今日と明日探索がはかどれば、オレにとって大きな利益だ。だからこれを受け取ってくれ」

結局五人は魔力回復薬を受け取った。そしてトルーダだけが薬を飲んだ。

十三階層の出口に全員が集まったとき、トルーダは興奮気味に報告した。

「これはすごい魔力回復薬だ。即効性と回復量では、パンタの薬の上をいくな」

パンタというのはパルシモで店を開いている薬師で、薬聖の直弟子と名乗っている人物だ。

「あとからあとから魔力があふれてくるような感じだ。いや、これはすごい。皆も昼食のあとぐらいに飲んでみるといい」

十八階層まで進んでから、その出口で昼食を取ることになった。

やはりレカンはたき火をし、肉を焼き、エダはスープを作った。

「レカン。オレたちは弁当を買ってきたから、肉は焼かなくてよかったのに。それにしてもいい匂いだな。何の肉だ?」

「まあ、食ってみろ」

肉を食べた〈クワントロ〉のメンバーは、その味の素晴らしいことに驚嘆した。

「レカン。まさかと思うが、この肉は」

「小火竜の肉だ」

「小火竜だと! 迷宮ものか?」

「ああ。ロトル迷宮だ」

「ロトル迷宮の小火竜? 主じゃないか!」

「そうだな」

「それと、昨日から気になっていたんだが、あんたとユリウスのその鎧は、もしかして」

「小火竜素材であつらえた」

「やっぱりか! いやあ、驚いた。迷宮八十階層の火竜の肉が食えるとは。これだけでも今回の報酬に充分だ」

「これで元気になってもらえれば、オレとしてもうれしい」

「いやあ、この依頼を受けて大正解だったな」

昼食のあと、トルーダ以外の四人も魔力回復薬を飲んだ。

そのあとの探索はきわめて順調に進み、二日目のうちに二十八階層まで進んだ。

その日の夜は、トルーダが食事をおごると言い出して、町に出た。

いろいろな話が聞け、興味深かった。

トルーダは〈魔矢筒〉の店を営んでいるが、その店には物理弓も置いてあり、トルーダ自身は、物理弓も使うらしい。

〈クワントロ〉のメンバーは、それぞれ町のなかに店を持つ店主や職人で、普段は仕事の素材を採取しに迷宮に行くのだという。

この夜の会話で、レカンの疑問が一つ解けた。〈クワントロ〉の編成でよく新たな階層が踏破できるものだと思っていたが、踏破はしないのだ。踏破するときには、補助メンバーを入れる。

トルーダは六十一階層まで行くことができる。ということは、そこまでのどの階層でも行けるわけである。普段は踏破を目的としていないから、五つの洞窟すべてに入る必要はない。五人のメンバーで、一つか二つの洞窟に入って出口までゆき、いったん地上階層に戻って、また同じ階層の洞窟に入る。これを繰り返して素材を採取するのだ。

そういえば、迷宮の地上階層でみかけるほかのパーティーも、五、六人であることが普通だし、魔法使いばかりのことが多い。かと思えば、時々二十人以上のパーティーをみかける。あれはそういうわけだったのだ。