軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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翌日朝食をすませてしばらくすると、一緒に迷宮に潜る五人がやって来た。

ひどく小柄な年老いた女。

上等そうな金属鎧を身に着けた騎士風の女。

おそろしく目つきの悪い大きな帽子をかぶった女。

盗賊風の軽装をした小柄な女。

二本の杖を両腰に差した大柄な女。

年老いた女がレカンの注意を引いた。小さくて、にこにこ微笑んでいて、一見人畜無害な老女にみえる。だがその正体は恐るべきものだ。

(驚いたな)

(シーラには及ばないだろうが)

(オレより魔力が多い)

(さすが〈魔法の迷宮〉だな)

(こんな化け物がごろごろしているんだろうか)

昨日も今日も市街地を〈生命感知〉で探査してはいるのだが、この町には強い魔力を持つ者がそこらじゅうにいて、しかもあちらこちらに密集しているので、ここまでの魔法使いがいるとは気づかなかったのだ。

ほかの四人も相当な魔力量だ。たぶんこの女たちは、騎士にみえても、盗賊にみえても、本質は魔法使いなのだ。

「貴殿がレカン殿か」

話しかけてきたのは騎士風の女だ。びっくりするほどの美人だが、顔つきがきつい。目つきが非常に鋭い。刺すような目つきをしている。

強者の気配を持った女だ。正直、求婚決闘で戦った二人より、この女騎士のほうがずっと歯ごたえがありそうだ。老魔女に比べればみおとりするものの、この女騎士もかなりの魔力を持っている。

「ああ」

「私はパルシモ魔法騎士団所属の魔法騎士でウイーという。こちらは右から、ジザ、フアン、ミール、キムだ。これから三日間、貴殿とともにパルシモ迷宮の探索を行う」

「そうか。よろしく頼む。オレはレカン。こいつはユリウスだ」

「ユリウス殿。失礼だが君は何歳だ」

「十三歳です。ぼくに殿はいりません」

「そうか。それにしても十三歳なのか」

魔法騎士ウイーは目元を緩めた。だが優しげな目つきは一瞬で消え、再びレカンのほうに向けたまなざしの温度は低かった。

「貴殿はツボルトを踏破したそうだな」

「ああ」

「まさかユリウスも一緒だったとは言わないだろうな」

「ユリウスは一緒じゃあなかった。ユリウスの父親は一緒だったがな」

「父……親」

「はい! 父上はレカン師匠と一緒にツボルト迷宮を踏破しました」

「そう……か。君は父君の跡を継いで」

「はい! 父上のような立派な剣士になるのがぼくの目標です」

ウイーは感情のこもった目でユリウスをみつめたが、その感情が何であるのかレカンにはわからなかった。レカンに視線を戻したとき、その目つきは氷のように冷たかった。

「レカン殿。ツボルト迷宮を探索したときは何人だったのだ」

「途中までは現地の三人組の冒険者と一緒だったが、途中からはオレとアリオスだけで潜った」

「ツボルトの前にはどこかの迷宮を探索したのか」

「ツボルトの前にはニーナエを踏破したな」

「ニーナエ?」

この疑問に答えたのは、ジザとかいう名の小柄な老女だった。

「ツボルトのさらに北にある迷宮じゃ。たしか四十五階層ほどあったはずじゃの」

しわがれて高い声だが妙に安心感を与えてくれる声だ。

「そうですか。中規模迷宮なのですね。レカン殿。ニーナエもやはり二人で踏破したのか」

「あそこに潜ったときには、剣士がもう一人と、〈回復〉持ちが一人、一緒だった」

「もとは四人だったのか。それが今は貴殿とユリウスの二人。それでも貴殿は迷宮の探索を続けるのか」

「ああ」

「そうか。業の深いことだな。いや、失礼。出過ぎたことだった。さて、レカン殿、迷宮にはすぐに向かうか。それとも昼食後にするか」

「すぐに行こう」

「わかった。われわれはいずれも一日何回でも戦闘ができるので、貴殿の攻略速度に合わせることができる。昼食は迷宮内で食べるのか」

「ああ。食い物は山の麓の店で売っているようだな」

「うむ。この屋敷で準備してもらってもよいが、貴殿はここの迷宮のやり方を知りたいだろうな。売店で買おう」

「あんたたちの報酬はいくら払えばいい」

「私は魔法騎士団の職務として同行するので、貴殿からの報酬は不要だ。あとの四人は魔法研究所の業務の一環として同行するので、彼女らが得た品は彼女らのものとしてほしい」

「あんたが得たものがあんたのものなのは当然だ。ほかのメンバーについてもだ。だが、それだけでは、オレの都合であんたたちに付き合わせる報酬とはいえん」

「といわれても任務なので」

と言いかけたウイーを、ジザがさえぎった。

「それじゃ、一人につき一日大銀貨一枚もらおうかの、レカンちゃんや」

「わかった」

「おばばさま。それはいくらなんでも」

「大丈夫、大丈夫。そんなことじゃレカンちゃんの財布はびくともせん。受け取った金はみんな自分のものにしていい。余禄というやつじゃ。お前たちもちょっとやる気が出るじゃろ」

老魔法使いは、一同をみわたしたあと、にこにことした笑顔をレカンに向けた。

実のところ、この老魔法使いに一日付き合わせる報酬としては大銀貨一枚はあまりに安すぎる。そしてレカンがそう思っていることをこの老女は知っている。

ウイーもそれ以上は何も言わなかった。

馬車が二台用意してあり、レカンたち七人は分乗して迷宮があるスリンガー山に向かった。