軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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そのあとレカンが一人で〈鉄甲〉の部屋に入った。

やはり一体しか湧かなかった。

〈威力剣〉の上位版が出た。

アリオスも一人で入った。

〈雷鳴剣〉の上位版が出た。〈状態保持〉も付いている。

「この〈雷鳴剣〉はすごい威力ですね。この剣、もらっていっていいですか?」

「お前が得た物だ。お前の自由にすればいい。今後も一人で戦って得た物はそういう扱いにしよう」

「了解しました、師匠」

「それ、使うのか?」

「いえ。私は使いません。ただ、とても尖った剣ですからね」

「それはそうだな」

尖った剣というのは、性能のうち一部が突出しているという意味だ。

だが、使わないのになぜ欲しがるのだろう。その疑問を察したのか、アリオスは言葉を足した。

「若い弟子たちに、こういう剣もあるのだとみせてやれますからね」

「お前の実家は、剣の道場でもやっているのか?」

「まあ、そんなようなものです」

言葉をにごしたということは、今はこれ以上話したくないのだ。レカンとしても、どうしても聞きたいわけではない。

一つわかったことがある。

冒険者一人が入った場合、出現する魔獣も一体だが、一体しか出ないときは物理特化に決まっているようだ。今のところ二回しか試していないから確定ではないが、たぶんそういうことなのだろう。

この日の探索はこれで終わりとし、〈錦嶺館〉に行ってみることにした。

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〈錦嶺館〉は、とてつもなく広かった。

受付の奥に宿泊区域があり、十人用区域が十か所と、五人用区域が二十か所ある。つまり三十の区域があるのだが、その三十の区域の広さが、一万人以上を収容する一般宿泊区域とほぼ同じだというのだ。

各区域から受付までは、屋根のついた石畳の回廊でつながれている。曲がりくねった回廊は美しい庭に囲まれていて、所々に椅子や机が置かれている。

アリオスとレカンが案内されたのは五人用区域だ。五人が住む五つの建物と食事や歓談をするための共用の建物からなり、隣の区域とは厚く高い石壁で隔てられている。

共用の建物にはスタッフが詰めている。五人用の場合最低一人、十人用の場合最低二人が常時待機していて、たとえ夜中でも客の注文に応じてくれる。

料理人が派遣され、それぞれの共用の建物で調理が行われる。そのため、急な注文の場合時間がかかることがあるが、たいていの場合、少し住めば客の食事の傾向もわかるため、たっぷりと食材を用意して要望に応えられるようになるという。

鑑定や買い取りも、スタッフのほうが宿舎に来て対応するのだという。当然、買い物がしたい場合も、言いつければスタッフが品を取りそろえてやって来る。

まことに至れり尽くせりといった環境なのだ。

割り当てられた宿舎にたどり着くまで、ずいぶん時間がかかった。

ただし〈錦嶺館〉は、迷宮をぐるっと取り巻くように建てられているので、近道をすれば迷宮までさほどかからない。その点でも好待遇だ。

五人用にしてはやたらと広いリビングスペースに案内された。

「酒はあるか」

「何種類か、ここに用意してあります。それ以外のものがご希望でしたらお申し付けください」

「いぶし酒、あるか」

「ございます」

「それをくれ。それと軽いつまみだ。晩飯は焼いた肉を中心に腹ごたえのあるものを頼む」

「承知しました。女性スタッフは夕食時でよろしいですか。それとも今からになさいますか」

「女? ああ、そういう意味か。いや。今日は女はいい。ああ、そうだ! 風呂だ。風呂はあるんだったな」

「はい。部屋付きの風呂と大浴場がございます。大浴場のほうは、準備に少々お時間を頂きます」

「部屋付きでいい。すぐ沸かしてくれ」

「私も部屋付きの風呂をすぐにお願いします」

「承知いたしました。湯女は肉付きのよい者と、すらりとした者と、どちらになさいますか」

「どちらもいらん。一人でゆっくり入りたい」

「私もです」

「承知いたしました」

風呂は最高だった。それは確かだ。

「いい風呂だったなあ」

「素晴らしかったです」

綺麗で温かくて、ほどよく風が通って、いい香りがした。

〈ラフィンの岩棚亭〉の風呂は、気持ちよくはあるが、やはり樽には脂や垢がこびりついているし、多少の異臭はある。そんなものには慣れきっているレカンだから気にはならないが、〈錦嶺館〉の風呂の心地よさにはほれぼれした。

垢すり棒は気の利いた作りになっているし、髪を洗う薬粉と体を洗う薬粉があり、どちらも優れた品物だった。

紐を引くと頭の上から湯がこぼれてくる仕掛けには感心させられた。

そして夕食である。

「この皿と、この皿と、この皿と、こっちから向こう側の料理は、下げろ」

「は?」

「こんなには食いきれん。下げろ」

「いえ、一口でもお召し上がりいただけばよいのです。残りましたら下げさせていただきますので」

「それじゃせっかくの料理が干からびてしまうだろう。いいから下げろ」

「承知いたしました」

「あ、忘れてた。これを売りたい」

「うわっ」

いきなり大鎌を出したら驚かれた。

「料理の片付けが終わったら持っていってくれ。明日、金と鑑定書をくれ」

「承知いたしました」

「その刃で自分を傷つけたら死ぬから気をつけろ」

「承知いたしました」