軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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翌日も、レカンとアリオスは朝食が終わるなり迷宮に出かけた。

そのあと〈グリンダム〉の三人が下りてきた。

朝食を口に運ぶその動作がどことなく精彩を欠いているように思える。

疲れがたまっているのだろうか。

カウンターの後ろで片付けをしていたナークに、ブルスカが話しかけてきた。

「四号室と五号室の二人、昨日夜帰ってたね」

「ん? ああ。帰ってきた」

「もう出かけたんだ」

「ああ。出かけた」

三人は黙々と食事をとった。食事が終わったあとも、ぼうっとしたように椅子に座っていた。

「さあ。そろそろ約束の時間だよ」

魔法使いのヨアナが言った。

九十二階層となると、三人パーティー単独では探索できない。どこかのパーティーと待ち合わせをしているのだろう。

宿を出て行く三人の後ろ姿をみつめながら、ナークは短くため息をついた。

「疲れてるときは休んで気分を変えたほうがいいんだがなあ」

悪いことが起きねばいいがと、その日ナークは心配していた。

だが、夕刻帰ってきた三人の顔は明るかった。

「ナークさん、ただいま」

「ああ」

「風呂を頼むよ」

「わしも入る」

「ぼくも」

「わかった」

三人は風呂に入り、食卓に着くと白ワインで乾杯した。

聞くともなく三人の話を聞いていて、少し事情がわかった。

今日は階層を上げて九十階層の探索をしたようだ。

すると二つも恩寵品が出た。

さっそく買い取り所で売ったところ、かなりいい値がついたようだ。

この日、レカンとアリオスは帰って来なかった。

翌日の夕刻である。

〈グリンダム〉の三人は、早々に酒を飲み始めた。

食事の客もやって来て、食堂のなかはにぎやかになってきた。

(そろそろ鍋のなかが少なくなってきた)

(さて今夜はレカンとアリオスの飯を残しておいたもんかどうか)

そんなことを考えていると、レカンとアリオスが帰ってきた。

「帰りました、ナークさん」

「ああ」

「食事はありますか?」

「取ってある」

「ありがとうございます。でも、席が二つ空いてるテーブルはありませんね」

四つあるテーブルには、それぞれ客が座っている。二つのテーブルには四人、二つのテーブルには三人が座っているので、レカンとアリオスは分かれて座ることになる。

「あんたら、ここに座れよ」

声を掛けたのはブルスカだ。

〈グリンダム〉のテーブルには一つ空き席がある。ブルスカは、隣のテーブルから椅子を運んだ。

「詰めりゃ座れる」

そう言いながらブルスカは、仲間のツインガーとヨアナを促して席を詰めさせた。

「ありがとうございます」

アリオスは礼を言い、レカンを席に座らせ、自分も席に座った。

「あんたら、四号室と五号室の客だね」

「二階に上がった最初の部屋に泊まってるのが、こちらのレカン殿で、二番目の部屋に泊まってるのが私です。アリオスといいます」

「ぼくはブルスカ」

「わしはツインガー」

「あたいはヨアナ」

「よろしく。じゃあ取りあえず乾杯しましょうか」

五人は乾杯をして、談笑を始めた。

ツインガーとヨアナは疲れと酔いでふらふらしていたはずなのだが、元気を取り戻して盛り上がっている。

「わしより背の高い男に会ったのは久しぶりだわい」

「あんたのほうが胸の厚みじゃ勝ってるよ」

「いやあ、この宿にぼくたち以外の冒険者が泊まるのは珍しい。どうしてここに泊まる気になったんだい?」

「建物の雰囲気が何とも居心地よさそうだったんですよ。それに庭の畑もよく手入れがされていて、ここの食事はおいしいだろうなと思いました」

「かっかっかっ。よくみてるのう。冒険者には観察力が大事だ」

「レカン。ほら酒をついであげるよ」

「ああ、すまんな」

もともと夕食時で食堂はにぎやかだったが、そのテーブルは格別にぎやかだった。ほかのテーブルの客が全部帰ったあとも、五人はしばらく酒を飲んでいた。ナークは何品かつまみを出した。

やがて〈グリンダム〉の三人は部屋に上がり、ほどなくレカンとアリオスも上がった。

聞こえてきた会話から、いくつかわかったことがある。

レカンとアリオスのパーティー名は、〈 虹石(ウィラード) 〉というようだ。そして〈ウィラード〉には、ほかに二人ほどメンバーがいるが、今は別行動をしている。

レカンは剣士だ。腰に剣を吊っているのだからそれは意外でも何でもないことなのだが、最初に聞いた〈回復〉使いだという情報と、目の前でみた〈鑑定〉持ちであるという事実と、剣士だという情報がうまくかみ合わない。

アリオスも剣士だ。これは前からわかっていたことだ。

レカンとアリオスは初日に鑑札を買って以来、案内所をはじめどこの施設にも行っていないという。行ったのは食い物を売っている店だけだ。

ということは、一度も買い取り所に行っていないということだ。ナークは驚いた。〈グリンダム〉の三人も驚いていた。

荷物預かり所も利用していないということであり、得たアイテムはすべて二人が自分で持っていることになる。

消耗品も補給していないのだろうか。それで探索が続けられるものだろうか。

どうもこの二人は奇妙だ。

今までみてきたどんな冒険者ともちがうような気がする。