軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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目を覚まして起き上がったとき、胸のポケットで、ちゃらりと音がした。

〈ザナの守護石〉だ。

(待てよ)

(この石には意味不明な恩寵がついていたな)

以前鑑定したとき、この宝玉には、〈物理攻撃力増大(大)〉と〈使用魔力補填(中)〉と〈呪い無効〉という恩寵がついていることがわかった。この〈使用魔力補填(中)〉というのがわからない。

そもそもこの宝玉は、身に着けて戦えば、それだけで剣などの攻撃の威力を増加させてくれるのであり、魔力を込める必要などない。また、この宝玉を身に着けているからといって、攻撃魔法で消費した魔力を補ってくれたこともない。

いったい、〈使用魔力補填(中)〉とは何なのか。

レカンの〈鑑定〉も、あれから多少は進歩しているはずである。

今なら謎が解けるかもしれない。

レカンは、〈ザナの守護石〉を左手に載せ、右手をかざし、恩寵の意味が知りたいと願いながら、魔法を発動した。

「〈鑑定〉」

〈名前:ザナの守護石〉

〈品名:宝玉〉

〈恩寵:物理攻撃力増大(大)、使用魔力補填(中)、呪い無効〉

※装着者の物理攻撃の威力を倍加する

※通常状態では威力倍加の効果は(小)である

※魔力を込めて使用すると効果は(大)になる

※魔力を込めた者が使用すると込めた魔力の半分を補填する

※魔力を込めて使用した場合その後一日は魔力を込められない

「そうだったのか」

強力な恩寵だと思っていたが、あれでも効果は(小)だったのだ。

魔力を込めたとき、この宝玉は完全な効果を発揮するのだ。

ただし完全な効果を発揮できるのは、一日に一度だけ。

これはそういう恩寵品だったのだ。

さっそくレカンは守護石に魔力を込めようとして、やめた。

(いかんいかん)

(今込めたらすぐ効果を使ってしまい)

(丸一日再充填できないではないか)

(この先のなりゆきでは)

(一日以内に最下層に着くかもしれん)

(かといって守護石なしで第四十四階層を戦うのも不安だ)

(最下層に突入する直前まで魔力は込めるべきでない)

レカン一人だけならともかく、ほかの三人にもできるだけ大きな怪我をさせずに最下層に到着する必要がある。ポーションも、〈回復〉も〈浄化〉も、万能というわけではない。腕や足が斬れ飛んだら治らないのだ。それは最上級の〈浄化〉か〈神薬〉にしか起こせない奇跡だ。

「よし。降りようか」

「はい」

「うん」

「承知した」

第四十四階層の敵は手ごわかった。

だが、ヘレスがよい働きをした。

さすがに盾の扱いは巧みで、魔獣の攻撃をうまくそらして接近し、聖硬銀の剣で斬り付けた。その切れ味はすさまじく、魔獣の足が一撃で斬れ飛んだ。

いざ戦いとなると、ヘレスは剣に何の遠慮もしなかった。

気持ちよいほどの思い切りのよさだ。

三戦して、それで出口付近にたどりついた。

まだ時間は早いが、ここで野営をすることにした。

たき火をたいてスープを作り、肉と野菜を焼いて食った。

食い物がうまいということは、体と心が元気だということだ。

明日を戦う力があるということだ。

(スノーが追いかけてくる気配はないな)

スノーは、第四十四階層に達していると言っていた。どこに〈印〉があるのかはわからないが、レカンたちのあとを追うことはできたはずだ。

(一人殺しておいたのがよかったのかもしれんな)

馬車の御者をしていた男は、スノーのパーティーのメンバーのはずだ。一人欠ければパーティーの戦力は大きく落ちる。だから追ってこられなかったのかもしれない。

ひょっとすると主との対戦の最中に乱入してくることがあるかもしれないが、今から心配してもしかたがない。レカンの探知能力も他の階層には及ばないし、〈図化〉も同じだ。

(そのときは、そのときだな)

「あ、そういえば、ヘレス」

「何であろう」

「迷宮の主を倒した証しが欲しいと言っていたな。あれは何だ」

「何でもよいのだが、はっきりここの迷宮の主のものだとわかる部位を頂けたらありがたい」

ヘレスによれば、宣誓して迷宮踏破を報告すれば、それは信じてもらえるのであり、証明の必要はない。万一神殿の秘宝によって真偽を確認することになっても、真実が真実であると証明されるだけのことである。

ただし、これからお仕えするかたが、自身の騎士の名誉を人に示す上では、やはりそれとわかる部位があるほうが都合がよいのであり、そのために魔獣の部位が欲しいのだという。

ここの迷宮の主は、目も足も牙も、きわめて特徴的な色をしているので、高額で売れる目はともかく、牙と、足の一部でももらえればありがたいということだった。

「いや、しかし、もし宝箱が出たらどうするんだ」

「は?」

「宝箱が出れば、死骸は残らない。その場合、お前が欲しがっているしるしとやらは、何も手に入らない」

「いや。そんなはずはない。ここの迷宮の主は、素材型のはずだ」

「うん?」

「調べたかぎり、ここの主が宝箱になったことはない。だから素材型のはずだ」

「素材型?」

「そうだ。迷宮の主には、必ず宝箱に変わる宝箱型、必ず宝箱に変わらない素材型、どちらになるかわからない変動型がある。ここの迷宮の主は、素材型だということになっている。私がここを選んだ理由の一つだ」

レカンは、新たな事実をまた一つ知ったのであった。

そういえば、宝箱が落ちる確率はそう高くないのに、ゴルブル迷宮の主は二度とも宝箱になった。宝箱型だったのだろう。

寝る前に、レカンは〈ザナの守護石〉に魔力を込めた。

もといた世界で得た〈魔力付与〉の能力である。

驚いたことに、魔力の大半を宝玉に吸われた。

宝玉は、ほのぐらく青い光を放っている。

この光がともっていれば、一度だけ、最強の一撃が放てるのだ。

自然回復でもよかったが、念のため青ポーションを飲んだ。

夢もみずに、ぐっすり寝た。

そして、朝が来た。