軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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門を通るときには、右手首を失って縛られているマラーキスをみて門衛が驚いたが、隊長なる人物が通過を許してくれた。

ヴォーカの町に入ると、チェイニーは、レカンとエダを宿屋に押し込め、どこかへ姿を消した。宿屋に再び現れたのは、翌日の昼のことである。

「詳しくはいえないのですが、まにあいました。私にとっても、この町にとっても、本当によい結果が得られました。悪人たちは罰せられるでしょう。私は、領主家の筆頭出入り商人に復帰できました」

「それはよかった。詳しいことは訊かないことにする」

「ええっ? あたいは詳しいことを聞きたいよ」

「ところでレカンさん。今日は銀色の指輪をしておられないのですね」

「その気分ではなかった」

「そうですか」

この世界にも〈鑑定〉か似たような能力はあると思っておいたほうがよい。不用意によい装身具や武具を身につけていると、手の内を読まれたりするし、それを欲しがる人間が現れる。だから今は、〈状態異常耐性〉と〈毒耐性〉が付与された指輪は装着していないのだ。

「さて、依頼は達成です。報酬をお支払いします。まず、エダさん」

チェイニーは机の上に、二枚の銀貨を置いた。

「ええっ? そんなばかな! 報酬は銀貨五枚のはずだよ!」

チェイニーは、ちょっと困ったような顔でエダの目をみていたが、やがて言った。

「エダさん。冒険者章をみせていただけますか」

「あ、ああ。いいとも」

銀色の金属片を受け取ったチェイニーは、まず表をじっとみて、次に裏をじっとみた。

「ほう。あなたのお名前は、正確にはエディダルというのですか」

「そ、そうさ」

「男みたいな名前ですね」

「だからこんなふうに育っちまったんだろうな」

「ショアーの町で登録されたのですね」

「ああ」

「あの町の冒険者協会の職員は、全員知り合いです。どなたが手続きしました?」

「えっ? さ、さあなあ。もう忘れちまったよ」

「そうですか。ところでこの冒険者章によると、銀級への昇級は十八年ほど前ですが、あなたは今何歳ですか?」

「あ、あたいは……」

膝の上に置いた手がぶるぶる震えていたかと思うと、エダは突然立ち上がった。

「ちくしょーーーー!」

叫びながら駆け出そうとしたエダの左手を、レカンがつかんだ。エダの右手が机の上の銀貨をさらっていたからである。

「お座りなさい、エダさん。他人の冒険者章を自分の物だといつわるのは大罪ですよ」

「た、他人のものじゃねえよっ。父ちゃんのだ!」

「あなた本人の冒険者章でないものを、自分の冒険者章だといつわれば、それは詐欺であり詐称です。あなたは本当はまだ登録していないのでしょう? このことが伝わったら、あなたは冒険者登録などできません。各地の冒険者協会は、各地の領主家や商人たちとのあいだに幅広い連絡網を持っていて、あなたが想像するよりずっと多くの情報が共有されているのです。こんなことは二度としてはいけません。いいですね」

「……わかったよ」

「では、部屋に戻りなさい。明日の朝までの宿泊料と食事料は私のほうで払っておきます」

「あ、ありがとよ」

エダは、未練がましく何度も何度も振り返りながら部屋に戻った。

チェイニーはレカンに深々と頭を下げた。

「レカンさん。あらためて礼を言います。ありがとう。これは報酬です」

そういって差し出したのは、一枚の金貨だった。

「約束の報酬は銀貨十枚だ。これは多すぎる」

「いえ。仕事内容が素晴らしかった場合や、依頼主が思わぬ大きな利益を得た場合、それに依頼時点では予想されていなかった困難や危険が起こり、それを解決して依頼を達成した場合には、依頼主の判断で報酬を増額することがあるのです。これはあなたへの正当な報酬です。本当に、本当に、ありがとうございました。付け加えていえば、依頼主が契約以上の報酬を払うとき、今後もその冒険者と親密でいたいという希望が込められています」

「ふむ。ではこの報酬は受け取ろう。一つ、頼みがある」

「はい。何でしょう」

「腕のいい薬師を紹介してほしい」