軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

003 1から始める肉体改造

「よし、そうと決まれば……今日からさっそく特訓開始だ!」

俺は気合を入れ、特訓を開始した。

まずは『筋力』を鍛えるための筋トレだ。

腕立て伏せに腹筋、背筋と、とにかく自分の体に負荷をかける。

慣れない運動で体中が悲鳴を上げるが、目標を思い浮かべればこの苦痛にも耐えられた。

次に『スタミナ』を鍛えるランニングだ。

一定の速度で長距離を走り続ける。

息が上がり脚が重くなるが、それでも俺は足を止めない。

最後は『速度』を鍛えるための全力疾走。

もはや地獄のような運動量だが、ここを乗り越えなければ強くなれない。

汗が滝のように流れ、心臓が爆発しそうに高鳴っている。

一通りフィジカル面のトレーニングを終えた俺は、息を切らしながら汗を拭った。

「はぁ……はぁ……思ったよりキツいが、意外とやれるもんだな」

前世の自分と比べ、今のレストの身体能力は明らかに高い。

これまでもアルビオン家の厳しい環境の中で、必死に鍛錬を積んできたのだろう。

「ゲームだと、サボり魔もいいところだったのにな……そうなってしまうくらい、テイム獲得後のレストにとってアルビオン家の環境が厳しかったってことか」

改めて、レストがテイムを手にした時の絶望が思い起こされる。

あれほど頑張ってきたのに、努力が全て水の泡になるのだから無理もない。

ただ、いつまでも過去のレストに思いをはせても仕方がない。

俺は呼吸を整えた後、魔力錬成に移行する。

ここまでの三種類は前世で経験があったため取っつきやすかったが、魔力を扱うのは当然これが初めて。

かなり苦戦するのではないかと予想していたが……結果としては意外にも、スムーズに使用することができた。

というのもだ。

今の俺には前世の記憶だけでなく、この世界で生きてきたレストの記憶も備わっている(ところどころ朧げではあるが)。

その中には魔力を使った記憶もあるため、それを思い出しながら実行することで魔力錬成にも成功した。

「よし! この調子でガンガン進めていくぞ!」

最大の難関と思われていた魔力錬成を呆気なくクリアした俺は、その勢いのまま次の項目へと進み――

「って、最後に残ってるのはお祈りじゃん」

――さすがに、このハイテンションのままお祈りをするわけにはいかない。

深呼吸をして落ち着きを取り戻した俺は、改めてこの世界の女神に向けて祈りを捧げるのだった。

◇◆◇

「ふっ! はっ!」

――そうして鍛錬に打ち込むこと約一週間。

徐々にその成果が表れ始めていた。

まず筋力、スタミナ、速度に関しては、わずかとはいえ数値にも残るレベルで着実に上昇していた。

やはりこの世界でもゲームと同様、トレーニングによるパラメータ上昇効果は反映されるのだろう。

魔力と幸運については実感しづらいのだが、この分だと間違いなく効果が出ているはずだ。

「……ん? なんだ?」

そんな風に考えていた矢先だった。

何やら視線を感じたのでそちらを見ると、そこでは通りすがりのエドワードとシドワードが、興味深そうに俺の様子を観察していた。

俺が気付いたのを見て、二人は意地の悪い笑みを浮かべる。

「おい、レスト。何をやってるんだ?」

「まさか特訓か? お前のスキルは【テイム】なんだ。そんなことしても意味ないだろう?」

……散々な言われようだ。

【大剣使い】と【双剣使い】という優秀なスキルを持つ彼らからすれば、【テイム】しか使えない俺の努力など無駄に思えるのだろう。

加え、二人は俺と同学年ではあるものの、誕生日が半年ほど早いため、それだけ早くにスキルを授かり鍛錬を積んできた。

その差は今の実力にも如実に表れている。現時点の俺では、どう足掻いても彼らには敵わない。それを知っているからこそあれだけ横柄な態度を取れるのだ。

俺は呆れが表情に出ないよう取り繕いながら、二人に言葉を返す。

「意味がないかどうかは、やってみないと分からないだろ」

すると、次男のエドワードが馬鹿にするように指をさしてくる。

「ハハッ、分かるに決まってるだろ! 【テイム】風情がどれだけ努力したって無駄無駄! そんなことも分からないからお前はダメなんだ!」

「エド、そろそろ時間だ」

「おっと、そうだった。俺らはこれから剣の指導を受けに行くところだ。レスト、お前は受けられなくて残念だったな!」

そう言って二人は嘲笑い、剣術指導の場へと向かっていった。

彼らはスキルを獲得した半年前から、国内で名を轟かせる凄腕の剣士に指導を受けている。

本来であれば俺も受けるはずだったのだが、剣術系のスキルを授からなかったことでその資格をはく奪された。

「正直、こればっかりはかなり痛かったかもな……」

強くなるためには、ただステータスを上げるだけでなく生きた戦闘経験を積む必要もある。

その機会を奪われたのは、今後の事を考えるとかなりの痛手だった。

とはいえ、まったく可能性がないわけではない。

「二人が指導を受けてる相手についてはレストの記憶で覚えがある。 あ(・) の(・) 人(・) ならもしかしたら……」

その後、特訓を再開すること約二時間。

いつもならこれくらいで、二人の特訓が終わるはず。

「ダメでもともと。試すだけならタダだ!」

呼吸を整えた俺は、その足で目的の場所に向かう。

たどり着いた大修練場では、ちょうどエドワードたちが、とある女性から指導を受けている最中だった。