軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

繋がり

「やぁ、仲良くやっているようだね。迎えに来たよ」

コーディは一息ついてからハルカ達に声をかける。

呆れ半分感心半分の心持ちからすぐさま復活して、すでに平常心だ。

「しばらくぶりです。知らせもなくやってきてしまってすみません」

手の空いていたハルカがいち早く反応を返し歩み寄ると、コーディは意外そうな顔を作ってみせた。

「驚かないんだね、私が来たことに」

「コーディさんなら予測されているかと思っていました」

「そうかい、信頼してもらっているようでうれしいよ」

誰が入れ知恵したのかなと、一緒に来ている面子を確認して納得。

イーストンと一瞬視線が交差して、コーディは肩をすくめた。

「しかしいつも連絡もなしに訪ねてきてしまい申し訳ありません」

「別に構わないさ。連絡をよこすより自分たちで来た方が早いのだから仕方ない。ただし、私も千里眼を持っているわけじゃないからね。訪ねてきて不在でも責めないでほしい」

「そうしたら〈ヴィスタ〉を観光して帰ります。どうしても話す必要があれば、行く先を聞いて追いかけますし」

「怖いね、どこにいてもすぐに捕まりそうだ」

ずいぶんと大きく育ったナギを横目で見ながら、コーディは早々にハルカと縁を持つことに決めた自分の慧眼を内心褒めていた。

まだまだひよっこだったハルカに、ほとんど誰にも明かしたことのない 破壊者(ルインズ) への思いを伝えたのは、まさに一世一代の大博打だったのだ。結果は予想外の大成功となっている。

普段は話半分でしか信じていない神様に、この時ばかりは感謝である。

「家に招待しても? そこのナギちゃんを招待する準備も整えてあるけれど」

「大丈夫でしょうか、ナギが入っても」

「準備が整っているっていうのは、諸々の心配もする必要がないって意味だね」

「わかりました、では一緒に乗っていきますか?」

「そうさせてもらおうかな」

同乗を承諾したコーディは、振り返って自分の護衛に声をかける。

「護衛ご苦労様。ここからは彼らに護衛してもらうから君たちは街へ戻っていいよ。今日はもうゆっくりと過ごすといい」

背筋を伸ばしたまま待機していた騎士たちは、コーディの言葉に一斉に返事をして、ぞろぞろと街へ向かって去っていった。

その姿がだいぶ遠くなってから、コーディは笑顔を崩さないまま口を開く。

「護衛なのか監視なのかって話だけどね。名目もなしには付いてこられないってことで」

ハルカは一瞬どういう意味なのか問おうとしたが、そのまま何も言わずに口を閉じた。オラクル教内にも派閥があるのだとすれば、わざわざ自分の苦手な分野に首を突っ込んでいく必要はない。

「さて、ところで君たち、帝国の件は上手くいったみたいだね。帝国所属の国で、何やら面倒なことになっているとも聞いているけれど、その辺について詳しかったりするかい?」

「……本当に千里眼を持っていたりしませんか?」

答えが長くなりそうなので、とりあえず思ったことをそのまま口に出してみる。

「持っていないからこうして尋ねているのさ。ま、話は屋敷についてからにしようか」

冗談に笑いながらコーディは歩き出したが、その少し後ろをついていくハルカは変な顔をしている。【神聖国レジオン】には神子がたくさん生まれるというし、実はコーディが少し変わった能力をもっていると言い出してもおかしくはないと、ハルカは半分くらい本気で思っていた。

ヘッドナート邸へ到着すると、前までは植樹され整えられていた庭の一部が、きれいにまっさらになっていた。なんとナギが着陸する用に整えたのだという。

たまに来る客のためにすることではないが、コーディからすればハルカ達はそれほど軽い相手ではないというわけだ。

邸内へ入り、そのままいつもの部屋へ案内されると、そこにはコーディの伴侶であるエステルが待っていた。

「皆さんお久しぶりです。……ユーリを連れてきてくれたんですね」

また随分と大きくなっていたことに驚きながらも、エステルはユーリを見て、ちゃんと自分の世話をした本人だと気づいた。

「難しい話をするのでしょうから、私はユーリとお話しさせてもらってもいいかしら?」

ハルカとユーリが互いの顔を見て頷く。

「ええ、もちろん」

ハルカが答えると、エステルがユーリに歩み寄ってしゃがみこんだ。

「久しぶりね。覚えているかしら?」

「うん」

赤ん坊の記憶なんて曖昧だ。

前回来てからそう日は経っていないけれど、エステルは毎回ユーリにこう尋ねる。

そしてユーリが頷くと、とても穏やかに笑うのだ。

「会っていなかった間にあったこと、教えてもらえるかしら?」

「うん」

「それじゃああっちの長椅子で話しましょうね」

差し出された手を取って、エステルとユーリはソファに向かって歩いていく。

エステルの見た目はまだまだ若々しいけれど、それはまるで祖母と孫のような関係にも見えて、ハルカは目を細めてそれを見送った。

そうしてからテーブルに目を向けると、すまし顔でイーストンとコーディが席についている。なんとなく温度差を感じながら、ハルカは椅子を引いて腰掛けるのであった。