軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

依頼→金色の翼(南方大陸の仮地図あり)

「えーっと、じゃあお願いしても大丈夫ですか?」

「うん、丁度予定が空いてたし……」

「任せるでござるよ!!」

エリを真ん中に左右にアルビナとカオル。

エリが話している途中に勢い良く立ち上がったのは、侍娘のカオルだった。鼻息荒くやる気満々だ。

どうやらアンデッド騒動の時からずっと、恩を返す機会を探っていたらしい。アルビナもちらちらとハルカの方を気にして、何か言いたげにしていたが、会話が途切れないせいでイラついている。

「期間は長くなりそう?」

「とりあえずは師匠が戻るまでなので、その後は師匠と相談してください。期間が延びた分はちゃんとお支払いしますので」

「……ま、あの辺って魔物がたくさん出そうだもんね。護衛いたほうがいいか」

「あ、えーっと、魔物だけではなくてですね、ちょっとその、耳を借りてもいいですか?」

「なによ」

互いに身を乗り出して、内緒話だ。

「帝国とちょっとごたついてまして、人質とかを取られたくないなと」

「……何してんのよアンタ」

呆れた顔でエリに見つめ返されて苦笑していると、突然脇腹をつつかれ、驚いて座る。いつの間にか横に座っていたのはヴィーチェだった。油断していたとはいえ気配を感じさせない。

「仕方ありませんわねぇ、私がきっちりかっちり、ハルカさんの拠点を守ってあげますわ」

「……ハルカ、嫌かもしれないけど、そんな大ごとならヴィーチェさんに頼んでおいた方がいいと思うわよ。私たちだけじゃ荷が重い」

「……嫌ではないんですけど、拠点に一人留守を任せている女性がいるんです。あまりヴィーチェさんに会わせたくないというか、なんというか」

「あら、嫉妬ですの? 心配しなくても私ハルカさんを一番推してますわ」

「あ、違います。その人カーミラというんですが、美人で人慣れしていないので、ヴィーチェさんに会わせたくないんです。人間不信になっても困るので」

「あらひどい」

「ハルカ、その調子よ。もっと言ってやってちょうだい」

散々勝手に体に触られて、流石のハルカもヴィーチェには少し厳しい。厳しいというより、本音を隠していないだけなのだけれど。

ヴィーチェは勝手に長椅子に体を倒して、ハルカの太ももに頭を乗せる。それについてはもはや文句も言わない。諦め気味だ。

「私だって時と場合くらい弁えてますわ。依頼中に過剰なスキンシップはしませんことよ。もちろんあちらから望まれたら話は別ですけれど」

「一応ちゃんと見張っとくから」

エリに後押しされたハルカは、うーんと悩んだ後、仰向けになって見上げてくるヴィーチェに声をかけた。

「……では、その、ヴィーチェさんにもお願いします」

「受けるのは当然として、もうちょっと前かがみになってくれたら依頼料半分にして差し上げますわよ」

「…………嫌です」

これ以上かがむとヴィーチェの顔に胸が当たることになる。それはなんだか、ちょっと気持ち悪いと思ったハルカは、コリンの顔が脳裏にちらつきながらも断ることにした。

細かい条件を確認して立ち上がったハルカは、四人にもう一度頭を下げる。

「くれぐれもよろしくお願いします。エリ、ヴィーチェさんの監視、頼みますね」

「何、そんなにこの人好みのきれいな子なの?」

「はい」

「ふーん、その感じだと年下なのかしら?」

「あ、あー、いえ、一応年上……、うーん。まぁ、色々複雑なんですけど、人慣れしていないのは本当です。あとたまに偉そうな感じになりますけど、あれは強がってるだけで、本当は臆病なのでいじめないであげてください。……ヴィーチェさん、本当に変なことしたら怒りますからね」

「……しませんわよ?」

カーミラの説明をしているうちに、涎を垂らしそうな緩い表情になっていくヴィーチェにハルカは釘を刺した。どうも信用ならない。

「なんかめんどくさそうな奴ね」

「カーミラさんもあなたにはそんなこと言われたくないと思うわ」

「な、なによ!」

アルビナの一言にエリが突っ込み、カオルがうんうんと頷く。

「アルビナさんも、カーミラと仲良くしてあげてください」

「まぁ、別にいいわよ」

「だから、さっきからハルカの話し方、そのカーミラって人がまるで小さな子みたいな言い方なのよね」

「……なんででしょうね。なんかちょっと心配で。あ、では行ってきますのでよろしくお願いします」

「はいはい、ハルカも人の心配ばっかりしてないで、気をつけなさいよね」

「ありがとうございます、それでは」

ペコッと軽く頭を下げて、ハルカは買い物を終えているであろう仲間たちの下へ急いだ。

やはりエリは頼りになる。戦闘面で言えばヴィーチェが加わってくれたおかげで心配なくなったが、他の心配事が増えて、プラスなのかマイナスなのか微妙なところだ。

釘を刺し忘れたが、サラは大丈夫だろうかと、今更ながらハルカは心配になった。両親も見ているし、まだ子供相手に変なことをしないだろうとは思いつつも、そういった面でのヴィーチェは全く信用ならない。

サラはサラで美少女なのだ。

足取りが少し重くなり、今からでも忠告しに行こうか悩んだが、結局エリにすべて任せることにして、ハルカは仲間たちの下へ向かうことにした。