軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

知識の街で見かけた者は~とある貴族令嬢side~

私は学園の長期休暇休みにスラファー国へとやってきている。

この国のエピスと言う街には、国内外で有名な図書館があるのだ。私自身はその図書館には興味はないのだけど……お父様がどうしても行きたいとおっしゃっていたため、家族でやってきたのよ。

お父様の趣味は地味なのよね。

貴族家の当主だというのだから、もっと派手な趣味を持ち合わせればいいのにと思ってならないわ。

スラファー国の王弟殿下が少し前までこの街にいらっしゃったらしいのよね。

出来ればその時に来たかったわ。そうすればカウディオ殿下とお近づきになれたのに。

学園生活を終えるまでの間に、結婚相手を探さなければならないの。学園にいる生徒たちの中でも私に相応しい方は多いのだけど……、そういう方は既に婚約者をお持ちの方が多いの。

スラファー国のカウディオ殿下と言えば、見目麗しい方だと噂なのよ。

太陽のように煌めく、黄金の髪。それに美しい赤みがかった茶色の瞳。それでいてスラファー国の国王陛下を支えておられる素敵な方。

今年二十一歳になるという若さなのよね。結婚相手としては最良の相手だわ。

彼がこの街にいる間に此処に来られたら……、私は絶対に接触して、落としてみせたのに。

自慢じゃないけれど、私は美しいの。学園の同級生たちにもいつもそう言っていただけるのよ。

そんな私に婚約者がいないのは、相手を厳選しているからなの。求婚者が今、絶えない状況だけれど……でも出来れば最高の相手とやっぱり結婚したいじゃない!

その相手としてみればカウディオ殿下は最適なのよ。

お父様に頼んで、カウディオ殿下に会う機会を作ってもらおうかしら? カウディオ殿下がこの街によく訪れているなら、親しくしている方もきっといるわよね?

そういう方から情報収集をするのもありかもしれないわ。

彼の好きな物について調べることが出来れば近づきやすくなるわよね?

「ねぇ、お母様。私、カウディオ殿下にお会いしたいわ」

「貴方ならきっと王弟殿下の心を掴むことが出来るわ」

お母様に自分の意思を告げれば、そう言って笑ってくださった。

王族の妻の座を手に入れることが出来れば、今以上に良い暮らしが出来るわ。それに友人たちにも自慢することが出来るもの。

王族であり、見目も美しいカウディオ殿下と並んで社交界に参加出来たら……なんて素敵なことだろう。

そういう未来を想像するだけで気持ちが高揚するわ。

私はカウディオ殿下のことを落とすために情報を集めることにしたのだが、そこでお父様が目当てにしていた図書館にカウディオ殿下がよく足を運んでいらっしゃるみたい。

ならば、そこに私も行くことにしよう。

本を読むことは興味がない。

勉強なんて貴族である私がすることでもないもの。

でもカウディオ殿下と結婚することになったら、彼はお父様のように本ばかり読むのかしら?

……まぁ、それならそれでいいわね。

パーティーに一緒に参加してもらえるだけでも、とても素敵なことになるはずだもの。

そんなことを思いながら、図書館に行ったら私は信じられないものを見た。

「……クレヴァーナ・シンフォイガ?」

それは我が国で有名な英雄公爵から離縁された女性である。

……元々悪評しかない令嬢だった。それなのに、シンフォイガ公爵家の血を引くという理由だけで、ウェグセンダ公爵家に嫁ぐことが出来た幸運な女性。

それだけの幸運に恵まれながらも、改心することなかった人。

私は正直、結婚式でしか彼女を見たことはなかったけれど、どうして恵まれておりながらああなのだろうかと苛立ったものだった。

その人がどうしてこんなところにいるのだろうか?

噂では離縁された後に、シンフォイガ公爵家からも追い出されたと聞いていたのに。

なぜ、落ちぶれていないの?

ウェグセンダ公爵家からも、シンフォイガ公爵家からも捨てられたのならばもっと絶望しているのが当たり前なのに。

国ではきっと彼女は娼婦のようになっているのではないかなんて言われていたのに……。

それなのに、どうして……?

それに加えて驚くべきことに、国一の悪妻と言われていた彼女が――なぜか、カウディオ殿下と親しくしているらしいと聞いた。

図書館の職員として評判が良く、街の人から好かれているだとか。

カウディオ殿下と親しそうに話している姿が見られているだとか。

周りから好かれていて、とても優秀だとか。

……そんなのあり得ないのに。

だって彼女はクレヴァーナ・シンフォイガだ。

離縁されて、自由を手に入れたからこそ次なる男を落とそうとしているのだろうか?

まさか、カウディオ殿下を毒牙にかけようとしている? そんなの許されるはずがないわ!

彼女のような人が評価されているなんておかしいもの。

そう思った私は両親に彼女の話をし、今の現状をただすことにした。