軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第59話

フェシリアを先頭にダンジョン攻略を行い、あっという間に二十階層へとたどり着いた。

道中に現れる魔物だけでなくフロアボスも攻略法があるようで、全ての魔物をフェシリアがほぼ一方的に倒してしまった。

「討伐完了ですね。大まかなダンジョン攻略の流れはこんな感じです」

「流れるような攻略だったな。ボスもそこら辺にいる魔物と変わらない感じだったし」

「三人なら、慣れればすぐにこれくらいは戦えるようになります」

「いや……数年はやらないと無理だと思いますよ。それぐらいの練度を感じました」

「本当に! ヴィンセントさんは力でゴリ押す感じだけど、フェシリアのは技術と知識で攻略している感じだもんな!」

フェシリアは謙遜しているが、後ろから見ていてすぐに身に付けられるものではないと思わされたからな。

すぐに使える知識も多くあったが、魔物の行動パターンや攻撃速度を完全に把握していないと取れない動きもいくつかあったし、フェシリアの域に到達するには、それこそ冒険者ではなくダンジョン攻略専門の探索者にならないと無理だ。

「そんな褒められるようなものではないのですが、ありがとうございます。それでですが、ここから三十階層までも案内してもいいのですが……ここで手合わせをしませんか? 特にクリスとは――手合わせしたいと思ってましたので」

「もちろん構わないぞ。ダンジョン攻略の基礎知識はここまでで十分教えてもらったしな。ヘラクベルクの時みたいな共闘もしたかったが、三十階層までにそんな強敵はいないだろ?」

「いませんね。出現するのは、ここにいる全員がソロで簡単に討伐できる魔物のみです」

「なら、このフロアで手合わせするのが有意義か。ちなみにさっき倒したボスは復活しないのか?」

「三十分は復活しません。ですので……五分×三戦しませんか?」

俺、へスター、ラルフがそれぞれ五分ずつフェシリアと戦う感じか。

間で休憩を入れたとしても、それならボスが復活する前に終わる。

ただ、スノーも尻尾をブンブンと振っており、戦いたそうにしているんだよな。

まぁ……復活したとしても、すぐに倒せる訳だしあまり気にしなくていいか。

「それでやろう。スノーも戦いたそうにしているから。体力に余裕があったらスノーとも頼む」

「四連戦は中々骨が折れそうですが……構いませんよ。ふふ、久しぶりにワクワクしてきますね!」

「よし、決まりだな! まずは誰から戦う? 俺がいってもいいけど!」

「いや、俺にいかせてくれ。ずっと待ち望んでいたからな」

「クリスが名乗り出るなんて珍しいな! 俺は別にいいぜ!」

「私も構いません」

「なら、俺から戦わせてもらう」

ラルフよ言っていた通り、いつもなら一番最後に戦っていただろうが、今回はフェシリアが一番体力のある状態で戦いたかった。

俺は肩を軽く回しながらフロアの中央へと向かい、楽しそうに微笑んでいるフェシリアを待つ。

「初戦から最強のクリスが相手ですか。ここで体力を使いきらないように気を付けないといけないのですが……温存しながら戦える気がしません」

「別に使いきっても大丈夫だぞ。フロアボスもさが復活したとしても、倒せばいいだけだしな」

「確かにそうですね。なら――全力で戦わせて頂きます!」

フェシリアは楽しそうに笑いながら杖を構えた。

好戦的なイメージはなかったのだが、数回しか見たことのない弾けるような笑顔を見ると、戦うのが好きなのかもしれない。

俺も鋼の剣を引き抜き、ゆったりと構える。

ちなみにだが、この戦いではヴァンデッタテインと【アンチマジック】は使うつもりがない。

ヴァンデッタテインは一歩間違えたら殺しかねないし、【アンチマジック】に関しては魔法使いとの一対一で使うものではない。

まぁ、【アンチマジック】に関しては身の危険を感じたら使うだろうが。

「フェシリア、準備はできているか?」

「ええ。いつでも大丈夫ですよ」

「なら、始めさせてもらう。この銀貨が地面に落ちたら試合開始な」

そう告げてから、俺は握っていた銀貨を上に弾き飛ばした。

綺麗に回転しながら宙を舞っている銀貨に注視しつつ、地面に落ちたと同時に攻撃を仕掛けられる態勢を整える。

フェシリアは……動く気配なし。

なら――俺の方から仕掛けさせてもらおう。

銀貨が地面に落ちたと同時に一気に距離を詰め、フェシリアに対して斬りかかる。

俺が動いたのにも関わらず、一切の動いていないのが不気味だが……ここで止めるという選択肢はない。

態勢を低くしながら距離を詰め、間合いに入った瞬間に剣を振り下ろした――その瞬間。

フェシリアの杖から何らかの魔法が放たれた。

火属性——魔法か?

振り下ろしかけていた腕を止め、飛んでくる魔法の対処を行う。

何とかギリギリで受けきったが、フェシリアの攻撃の手は止まらない。

少し角度を変えつつ次の魔法を放ってきており、早くも迸る雷撃が襲いかかってきた。

剣を持ち変えながら防ぐが、防いだと同時に魔法が来る。

距離が近すぎて――これは一度受けるしかない。

【外皮強化】【要塞】【鉄壁】【硬質化】のスキルを発動させ、フェシリアの魔法を受けながら逃げる。

腹部に雷の弾丸を受けてしまったが……スキルを発動させたお陰でダメージは最小限に済んだ。

ただ、完全にフェシリアのペース。

まさか無詠唱で魔法を使えるようになっているとは思っておらず、完全に油断してしまった。

今もドヤりながら魔法を唱えており、完全に乗らせてしまう前に何か手を打たないと駄目だな。