軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第55話

ドロップアイテムによる勝負を行ったということもあり、あっという間に今日の目標にしていた五階層に辿り着いた。

俺達だけでなく、ボルスさん達や【翡翠の銃弾】もここまでは余裕で来られた様子。

「えー! もうダンジョン攻略終わりかよ! これからって時なのに!」

「最初から決めてたからな。ただ今日の感じからして、明日は十階層くらいまでは軽くいける思うぞ」

「今日潜りたいんだけど! ドロップアイテムの感じからして、なんとなく俺が最下位っぽいし!」

「クリスさんの言う通り、ルールはルールですから。ラルフは諦めなって」

「くっそぉ、ヘスターは絶対に負けないからな! 十階層まで潜れれば逆転できたはずなのに!」

ラルフの言った通り、ヘスターは倒した全ての敵がアイテムをドロップしたため負けは確実にない。

実質、俺とラルフの一騎討ちなのだが、数では俺の方が上回っているため、ラルフは売却額の高いアイテムが混じっているか、帰りの道中でヘスター並みのドロップ運を願うしかない状態となっている。

「なんか面白そうなことやっているみたいだな!」

「ドロップアイテムの売却額が一番低い人の負けってルールで戦っているんだ。それで、ラルフは負けそうだからぐずってる」

「ちげーよ! 単純にもう少し潜りたいってだけだ! ボルスさんとか、イルダ達ももっと潜りたいよな!?」

「俺達はこれで引き返していいと思っているぜ! 今日はダンジョンに慣れることが目的だったしな!」

「私はもっと潜りたいニャ!」

「いえ、僕達もここで引き返そうと思ってます。明日は十階層のボスを攻略することになるでしょうし、早めに戻って対策を練るつもりですので」

「なんだよー! それじゃ本当にもう戻るのかよ!」

イルダのみは賛同してくれたようだが、他のみんなには断られたラルフ。

無理に攻略する必要はないし、引き返すのが大正解だろう。

まぁみんなで攻略ができないと分かった以上、足並みを揃えなくても良くなった訳で……。

俺達だけで攻略を続行してもいいのだが、現時点で攻略を止めた方が俺の勝率が高いからここは戻ることをゴリ押すとしよう。

「ラルフ、残念だったな。今日はひとまず戻ろう。【月影の牙】の面々にもまだ挨拶できていないし、換金して勝敗を決めてから挨拶。そして、明日について軽く話してから……負けた人の奢りで飯だな」

「くっそぉ……! 飯は楽しみだけど、俺の負けの確率が高すぎる!」

「帰りもあるからまだ分からないって。ここからヘスターがドロップアイテムのゼロの可能性もある訳だからな」

「――ッ! そうか。まだ帰りもあるのか! 帰りもルールは変わらずだよな!?」

「ああ、さっきと同じルールのままだ」

ラルフを納得させてから、俺達は先ほどと順番でダンジョンの外を目指して歩みを進めた。

十階層ごとに入口まで一気に戻ることができる帰還石があるみたいだが、その帰還石の前にはフロアボスがいる。

フロアボスに挑むのはそれなりのリスクがあるため、歩いて帰るしか今日は選択肢がない。

簡易帰還石なるものが、たまに宝箱や特定の魔物から入手できるみたいなのだが、まぁ今の俺達にはまだ関係のない代物。

そんなことを考えつつ、ここまでと同じようにローテションを回しながら魔物を討伐して入口へと向かう。

ラルフは俺が言った薄い可能性を願いながら戦っていたが、結局ヘスターがダントツトップのドロップ率を維持したまま入口まで辿り着き、俺はそこそこでラルフは低いまま。

換金するまでもなく、ラルフの負けでドロップアイテムの勝負は終わった。

「はぁー……。一縷の望みに賭けていたけど、絶対にヘスターが一位じゃん!」

「二位はクリスさんですよね? ラルフはとことんツイてなかったね」

「俺とラルフは換金してみないとまだ分からなくはあるが、九割以上俺の勝ちだろうな」

「いーや、俺とクリスはまだ分からねぇ! 俺の方が換金額の高いアイテムが多いかもしれねぇからな! 今日の夕飯はクリスの奢りだ!」

そう意気込みながら、ダンジョン街の冒険者ギルドで換金を行ったものの、結果は変わらずラルフがビリ。

何の逆転も起きることなく、あっさりと夕飯代を払うのはラルフに決まった。

「あーあ、俺の負けかよ! 換金額も少ない上に奢りとかしんどすぎる! ……お金は一回集めてから再分配にする?」

「しない。自分が拾えたドロップアイテムは自分のもの。ボスだけは三等分でいいだろ」

「マジかよ! じゃあスノーが手に入れたドロップアイテムは?」

「そりゃスノーのものに決まっている。何か好きなもの買っていいからな」

「アウッ!」

俺の言った意味を理解したのか、嬉しそうに吠えたスノー。

大好きなメロンもたくさん買えるだろうし、魔物といえどお金はあって嬉しいだろう。

「なんか、お前らはずっと楽しそうでいいな! それより今日はもう解散か?」

「そのつもりでいる。明日に備えて準備してほしい。今日のように一緒には攻略しないが、明日は十階層のフロアボスに挑む予定だからな」

「なら、俺らはエデストルに戻るかね。クリス達は残るのか?」

「俺達は【月影の牙】に用があるから残る」

「僕達はエデストルに戻る予定です」

「なら、【翡翠の銃弾】は俺達と一緒に戻ろうぜ! エデストルを案内してやるし、一緒に十階層のフロアボスについての情報を精査しよう!」

「いいんですか!? ありがとうございます!」

ボルスさんがルディを誘い、二チームは一緒にエデストルに戻るようだ。

本来ならばエデストルに誘った俺達がルディ達を案内しなくてはいけないのだろうが、ボルスさんに任せておけばまず間違いない。

気兼ねなく【月影の牙】への挨拶に行けるため、ボルスさんが世話を焼いてくれるのは本当にありがたいな。

「それじゃまた明日だな。二十階層までは、一応足並みを揃えて合同で攻略しよう」

「了解! 明日と言わず、クリス達もエデストルに戻ってくるなら合流しようぜ! んじゃ、またな!」

「それじゃまたよろしくお願いします!」

ボルスさん達と【翡翠の銃弾】はダンジョン街を離れ、エデストルへと戻っていった。

俺達はダンジョン街に残り、【月影の牙】を探すとしよう。