軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第53話

【翡翠の銃弾】がエデストルに来た翌日。

今日はいよいよダンジョンに潜る日となっている。

「クリスさん、おはようございます! 昨日は本当にありがとうございました! ワイバーンステーキは今まで食べた料理の中で一番美味しかったです! ……うぅ、思い出しただけでもヨダレが出てきます」

「確かにあのステーキは美味しかったニャ! 肉はあまり好きじゃないのにまた食べたいのニャ!」

「喜んでくれたなら良かった。何度食っても美味しいし、時間ができたらまた行こう」

ワイバーンステーキに関しては、色々とうるさそうなイルダも喜んでくれ、やはり格段に美味しいものなのだと再確認できた。

……俺も思い出したら食べたくなってきたな。

「昨日のワイバーンステーキは確かに美味かったが、今日はもうダンジョンだろ! みんな準備はできてるよな!?」

俺達がワイバーンステーキの余韻に浸っている中、そう大声を上げたのはもちろんラルフ。

待ちきれなかったようで、気合いが入りまくっている様子。

「準備はできているが、ダンジョンに入るのはもう少し先だぞ? ボルスさん達と合流してから、【翡翠の銃弾】の面々を紹介。それから【月影の牙】にも挨拶したい」

俺が挨拶をしたいのは、【月影の牙】というよりかはフェシリアにだが。

まぁダンジョンでは有名な冒険者パーティらしいし、フェシリア以外のメンバーにも挨拶はするべきだろう。

「…………確かに顔合わせも、【月影の牙】さんに挨拶するのも大切だが! まだまだダンジョンに潜れないのか!」

「そう焦ることじゃないでしょ。今日はダンジョンに潜るんですもんね?」

「ああ。挨拶を済ませたらダンジョンに潜るつもりだ。ルディも大丈夫だよな?」

「ええ、もちろんです! クリスさんがご馳走してくださったワイバーンステーキのお陰で体力も満タンになってます!」

大袈裟に力こぶを見せつけているルディ。

そんな凄いものではないのだが、力が溢れ出ている感じってことだろう。

「大袈裟すぎるが、大丈夫なようなら良かった」

「大袈裟って感じてもないと思います。私も疲れがすっかり吹き飛びましたから」

エイミーがそう補足した後、カルビンも同調するように何度も首を縦に振った。

「それだけ喜んでくれたなら奢った甲斐があった。これから紹介するのは、そのワイバーンステーキを俺達に教えてくれた人だから、お礼を伝えてあげてくれ」

「そうなんですね! その人からクリスさんに。そしてクリスさんから僕たちに伝わったんですか! これはお礼を伝えないとです!」

そうこう話をしながら、早足でダンジョンへと向かうラルフの後を追って歩を進める。

ダンジョンは一度エデストルを出て、すぐのところにある場所であり……栄えている具合からして、もう一つ街があるような感じとなっている。

ダンジョン街自体もろくに来たことがなかったため、目にするものが全て新鮮に映るな。

それはラルフ以外全員が同じ感想を抱いたようで、キョロキョロと周囲を伺いながら歩いている観光客のような集団になっている。

「凄いですね! 飲食店以外は全て戦闘に関するお店ばかりです!」

「お土産屋とかはあるニャ! あの剣のストラップカッコいいニャ!」

「本物の剣を持っているんだし、絶対にいらないだろ。俺も目移りしちゃっていたから強くは言えないが、進むのが遅いとラルフにドヤされるぞ」

実際にラルフは少し先で腕を組んで俺達を待っており、若干イライラしているようにも見える。

何度も通っていたラルフにとっては見慣れた光景だろうしな。

「遅い! ダンジョンはもうすぐそこなんだぞ!」

「焦るなっての。ラルフには見慣れた光景だろあが、俺達にとっては見慣れてない光景だからな」

「……分かってるけど、体がウズウズする!」

「少し落ち着け。ダンジョンでやらかそうな感じがしてきた」

「確かにそうですね。こういった時のラルフはよくない感じがします」

「……ちょっと水飲んで落ち着く!」

へスターにもそう言われたことで、ラルフは少し先にある屋台で水を購入して一気に飲み干した。

水を一気飲みしたことで若干落ち着きを取り戻したラルフと共に、ダンジョン前にある冒険者ギルドに向かったのだが……そんなギルドの前には見慣れた三人が立っているのが見えた。

「おっー! クリス、こっちだ!」

「ボルスさん、もう着いていたのか。こっちも朝早くに来たつもりだったんだが」

「こう見えて準備は入念にするタイプだからな! 軽く下見も終えてるぜ! ーーじゃなくて、まず紹介してくれや! その後ろにいる人らが一緒にダンジョンに潜る冒険者達だろ?」

「ああ。オックスターから遊びに来た冒険者で、これがリーダーのルディ。それからイルダにエイミーにカルビンだ」

俺が紹介した後、ボルスさんに頭を下げていった。

ボルスさんも慣れていない感じで会釈を返している。

「俺はボルスってんだ! んで、こっちがルパートで、こっちがルーファス!」

「よろしくね。みんな若くていいね!」

「ルーファスです。よろしく」

まだ初々しい感じだが、お互いに悪い人ではないからすぐに慣れるだろう。

イルダだけが若干気がかりだが、まぁボルスさん達は優しいし受け流してくれるはずだ。

「時間をかけるのもあれだし、交流はダンジョン内でやろう。ダンジョンに潜る前に手続きも必要だったよな?」

「ああ! 俺達は済ませてあるから、手順を教えるぜ!」

「本当に手際がいいな。ボルスさんの性格からしたらちょっと考えられない」

「おい、ひでぇな! 俺は命の危険に関わることは慎重なんだよ! じゃなきゃ、才能もセンスもない俺がこの年まで冒険者やれねぇだろ!」

「確かにそうだったか。俺はその慎重すぎる性格も尊敬したんだった」

「……なんか嬉しくねぇな!」

とは言いつつも嬉しそうにしているボルスさんの後をついていき、まずは冒険者ギルドで登録を行うこととなった。

先に済ませているとのことだったし、教えて貰えばすぐに終わるはずだ。