軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第52話

ゴーレムの爺さんとトリシャにプレゼントを渡した日から三日が経過した。

この間はエデストルの店を巡りながら、ゆっくりと過ごしていた。

エデストルで挨拶回りは全て終わったし、もう一切の時間に追われていないため非常に気が楽。

ちなみにダンジョンにはまだ行っておらず、後から来ると言っていた【翡翠の銃弾】を待っている状態なのだが……もうそろそろ着いてもおかしくない頃合い。

「そろそろダンジョンに潜りたいなぁ! ミスリルの剣を何度か試せてはいるけど、やっぱダンジョンで使ってこそだろ!」

「【翡翠の銃弾】が来るまで待機って話をしただろ? 俺達が呼んだのに、エデストルに来て誰もいませんでした――じゃ流石に可哀想だ」

「分かってるけど、昨日からずっとソワソワしちまってる!」

「着くとしたら今日辺りだと思いますけどね。私達はノーファストに寄り道もしましたし」

「俺も今日か明日だとは思ってる。もう少しの辛抱——」

「アウッ!」

俺がそこまで言いかけた瞬間、スノーが俺の言葉に被せるように大きく吠えた。

尻尾を激しく振っており、何かを察知した様子。

噂をすればなんとやら。

もしかしたら、【翡翠の銃弾】がエデストルに来たのを察知したのかもしれない。

「スノーが反応してるな。もしかしたら【翡翠の銃弾】が着いたのかもしれない」

「宿屋の中からでも分かるって本当に凄いですね! 匂いで判別しているんでしょうか? それとも気配ですかね?」

「まだ【翡翠の銃弾】か分からないぞ? ボルスさんに反応してる可能性だってある!」

「スノーはボルスさんのこと好きじゃないし、こんな尻尾を振って喜ばないだろ。ありえるならルパートだけど……ルパートの可能性も低い」

となれば、【翡翠の銃弾】に反応した可能性が高いということ。

とにかく確認するためにも、スノーを連れて外に出てみるとしよう。

俺達は軽く準備を整えてから、スノーを先頭に宿の外へと出た。

外に出たスノーは一直線に街の入口の方へと向かい、そして街の入口には――【翡翠の銃弾】の面々がいた。

「うっわ! 本当に【翡翠の銃弾】達がいた! スノーって本当に凄いな!」

「集中していなくても気づいたからな。これはダンジョンでもめちゃくちゃ心強い」

「スノーを褒める前に……【翡翠の銃弾】の皆さんがキョロキョロと困っているようですので、早く声を掛けてあげましょう」

初めて来た街だけに少し困惑している様子。

イルダだけはテンションが高いようで、耳と尻尾を激しく動かしながら動き回っているのが分かった。

「ルディ、こっちだ。やっと着いたんだな」

「あっ! クリスさん! 良かったぁ……。来てみたは良いものの、再会できるか不安だったんですよ! よく僕達が着いたことが分かりましたね!」

「スノーが気づいてくれた。それより、ここまでは問題なく来られたのか?」

「無事に来ることができました。イルダの忘れ物で少し時間がかかったけどね」

そう答えたエイミーはイルダを軽く睨んだが、イルダは全く気にする素振りを見せずにラルフの下へと駆けてきた。

「ししょー、エデストルに来たニャ!」

「随分と遅かったな! ダンジョンに行きたくてうずうずしまくってたんだが!」

「ルディが道間違えたのニャ! それで予定よりも一日遅れたニャ!」

「いや、確かに僕も道を間違えましたが……」

「イルダの忘れ物の方が時間食ってたでしょ!」

総ツッコミを受けているが、イルダは相変わらず素知らぬ顔。

本当にイルダの相手をするのは大変そうだな。

「もう今すぐにでもダンジョンに行きたい! イルダは準備バッチリか?」

「できてるニャ! ダンジョンを見てみたいのニャ!」

「ラルフ、ちょっと待て。流石に長旅からそのままダンジョンは厳しいだろ。大丈夫だと言っていても危ない」

「えー! じゃあまだお預けなのか!?」

「明日からでいいだろ。今日はゆっくりしてもらおう」

「くっそぉ……! 今すぐにでも行けると思ったのに!」

手をワキワキとさせながら、今すぐにでもダンジョンに行きたそうなラルフ。

イルダも残念そうな表情を見せているが、ルディ、エイミー、カルビンの三人はホッとしている様子。

「クリスさん、配慮してくださりありがとうございます! 思っていた以上に大変だったので助かります」

「当たり前のことだから礼なんていらない。逆にラルフが焚きつけたんだから、謝るのはこっちだ」

「……ししょーと私だけでダンジョンに行くってのはどうかニャ?」

「駄目だな。イルダは行かせないぞ」

「ケチ!」

なんと言われようが、今日のダンジョン攻略は認められない。

ラルフのソロ攻略なら別に構わないけどな。

「ちなみにだが……前もそうだったし、ラルフ一人なら別にいいぞ。そんなにダンジョンに行きたいなら、一人で行ってきたらどうだ?」

「何でそう冷たいことを言うんだよ! 今更ソロで行ったって意味がないだろ!?」

「いや、別に意地悪で言った訳じゃないんだけどな。明日は一緒に攻略すればいいだけだろ?」

「いいや、楽しみは取っておく! ってことで、悪いがダンジョン攻略は明日からだな!」

「ぶー! 行きたかったニャ!」

イルダのみまだ諦めていない様子だが、ラルフが行かないとなれば流石に行くことはない。

とりあえずルディ達に宿屋を紹介するとしよう。

「まずは宿屋を取った方がいい。俺達と同じ場所か、それとも値段重視かどっちがいい?」

「本音を言うなら一緒のところがいいのですが……きっとお高いですよね?」

「スノーが泊まれる宿屋だからな。普通の宿屋よりも値段は張る。その分豪華ではあるが」

「いや……値段が安いところでお願いします」

「分かった。おすすめの宿屋があるからそこを紹介させてもらう。それから今日は軽くエデストルを案内した後に、夜ご飯をご馳走する」

「そこまで色々としてくださっていいのですか?」

「もちろん。オックスターでは泊めてもらったからな」

【翡翠の銃弾】には世話になったし、その分のお礼は返すつもり。

夜はもちろんワイバーンステーキをご馳走するつもりであり、四人の反応が非常に楽しみ。

イルダとエイミーは魚介系の方が好きって言っていたし、微妙な反応になる可能性が高いのが少し引っかかるが……。

肉も普通に食べてはいたし、ワイバーンステーキは別格だからな。

俺自身も夜のワイバーンステーキを楽しみにしつつ、まずは宿屋を紹介することにしたのだった。