軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二百八十六話 回収をしよう

アダマンスカルアシュラとの戦闘も無事終了し、素材回収タイムである。

回収出来た素材はアダマンチウムの骨と武器、それにラスト辺りでアダマンスカルアシュラの動きを封じて手に入れることが出来た上級スケルトンコア4つ。

このアダマンスカルアシュラを構成しているアダマンチウムという素材は金剛石のごとき硬度と非常に高い魔法耐性を持っている素材である。魔力を乗せられるため武器素材としても優秀ではあるが、どちらかといえば防具としての有用性が高い素材であった。なお、かき集めたソレは骸骨の山となり、見た目カタコンベとかそんな感じであった。人の骨に似せただけの金属の山なのに祟られそうな空気があるのは何故だろうか。

そして一緒にアダマンチウム製の武器も大量入手となった。何せ一体に付きそれぞれ槍、斧、剣を一組持っていたのである。それが最終的に倒した数46体分なので手に入った武器は併せて276本。軍隊にでも卸すのかという量である。他の区画も調べるとなると素材はまだ増える可能性が高かった。

なお、ヴォード遺跡内部でのアダマンスカルアシュラは魔道トラップの一種で遺跡の外に持ち出すと消失してしまうために持ち帰れなかったのだが、こちらのアダマンスカルアシュラはスタンドアローンタイプなので持ち帰りオッケーのようである。

「つってもさすがにもう、不思議な倉庫には入らないなあ」

風音がかき集めたその素材の山を見て呟いた。ゆっこ姉からもらった大型収納アイテム『不思議な倉庫』も、ここまでの黒岩竜やクリスタルドラゴンやドラゴンイーター、オダノブナガ等の素材が貯まりに貯まり、ついには収納不可能となっていた。

「姉貴は昔からため込む癖があるからな。もう、いらないもん売っ払っちまったほうが良いと思うけど」

直樹のもっともな発言に風音がぐぬぬ顔である。

「ぶー、いつか使うかもしれないんだからねー」

風音がそう返す。そんなことを言いながら隠しボス戦ですら回復は店売りアイテムだけで済ますのが風音というゲーマーであった。英霊ジークが防御中心なのも、回復アイテムを消費しないためだ。

ともあれ、手に入れた素材が不思議な倉庫にも納まらないほどの量なのはどうにもならない事実である。なので風音は一旦造船所を出てコテージを出し、その場で一階と二階の間に、ある程度の高さのある部屋を増設した。そして、その部屋を予備倉庫として使うことにしたのだ。結果、コテージがさらに高くなった。

また上級スケルトンコアだが、これは高位のネクロマンサーならば強力なスケルトンを生み出すことが出来るアイテムである。拾ったアダマンチウムと合わせればアダマンスカルアシュラを造ることも可能だが、当然それを操るスキルは誰も持っていないので現時点では宝の持ち腐れであった。

「ミンシアナにいるヨハンさんなら使えるかもなあ」

「あーアイツかぁ。いけるんじゃないか?」

風音が呟き、直樹も頷いた。プレイヤーで今は死霊王となった骸骨姿のヨハン。彼ならば有効活用はできそうである。帰りに連絡用のパーティ登録を持ち掛ける予定ではあったので、そのときにでも聞いてみようと風音は考えた。

もっともただであげる義理もないのでお値段は要相談である。

そんなこんなで、素材回収の整理などを行った結果、昼過ぎまでかかってしまった。なので別区画へは明日以降に探索を行うことにして、風音たちは遅い昼食を取った後にこの区画の竜船の中に入って動力球探しを行うことにした。

「それにしてもこの浮遊島に来てからやたら素材が手に入ってる気がする」

歩きながら風音がボヤき、

「ま、数百年放置されてた場所ではあるわけだからな。溜まっておったのだろうよ」

ジンライがそう返した。もっとも大量の素材を得る前に普通は大量の魔物に殺されるのがオチではある。それにアダマンスカルアシュラ相手では一般の武器ではほとんど傷も付けられないだろう。例え数百という兵がいようとダメージが通らないのではそもそも勝負にはならないのである。

対して風音たちは火力が高く、例え少数でもアダマンスカルアシュラを確実に撃破出来る。もっとも大量の兵の攻撃は生身を晒している風音たちには通るのだから、見方によっては三竦みの構図が出来上がっているとも言えた。

「長く放置されたダンジョンなどもそのような傾向にあるらしいわよ」

『ゴルド黄金遺跡はそれで冒険者たちが湧いてるようであるな』

これはルイーズとメフィルスの言葉。風音たちが向かう予定のA級ダンジョン『ゴルド黄金遺跡』。ミンシアナとソルダードの戦争の煽りで長く探索されていなかったこともあり、今は一攫千金を狙う連中があれよあれよと増えているらしいとは、ハイヴァーンにいても伝わってくる。

そんな話をしながら風音たちは、廃棄された竜船のひとつへとたどり着く。バットラー13号は竜船を破壊してでもと言っていたのだが、この竜船というのは装甲とフレームがアダマンチウムで出来ている。アダマンスカルアシュラが存在しているのも元々素材としてアダマンチウムがここに大量にあったためであるのだ。

そのため破壊するという行為はかなり難易度の高い話ではあるのだが、だが風音は破壊とは別の手段で竜船の中に入る手段を持っていた。それはアーティファクトである 無限の鍵(インフィニティ・キー) である。

「ガチャっとな」

風音が竜船の入り口前の空間に出来た鍵穴に 無限の鍵(インフィニティ・キー) を差し込んで回すと、事も無げに入り口が開いた。端から見れば普通にドアに鍵をさして開けたように見えたが、そもそも鍵穴がないので理屈がよく分からないライルは首を傾げていた。

◎浮遊島 ドラゴニル造船所 廃棄竜船内部

さて、竜船の内部へと入った風音たちではあるが内部構造はミンシアナとハイヴァーンを定期飛行している竜船と同じモノである。なので風音も特に迷うことなく進んでいき、その後ろを仲間達が歩いていく。

途中、以前の竜船内部でも見かけた円盤状の整備用 機械人形(オートマトン) が転がっていたが動かないようである。これはヴォード遺跡のアダマンスカルアシュラと同じようにコアを持たず、外部供給で動いていたようなので竜船が稼動してない状態で動かないのは当然ではあった。

「うーーん」

そして竜船内部の厳重にロックされた扉を 無限の鍵(インフィニティ・キー) で開いて機関部エリアへと入り、その先にある部屋へと入った風音が唸っていた。

「ふむ、ここにあるはずだったのか?」

後からやってきたジンライがその周囲を見渡しながら風音に尋ねる。

目の前にはなにやら台座らしきモノがあり、そこになにかが設置されていたような跡があった。

「うん。動力球(小)はひとつあるけど、メインの動力球は持ち出されたみたいだねえ」

風音は周囲を見渡しながら無造作に転がっているサッカーボールほどの球体を拾い上げてそう言った。動力球(小)は動力球(小)でナーガのコア代わりとなるほどには強力ではあるのだが、風音が求めているのは全長1メートルはあるメイン動力球である。つまりこの竜船はスカであった。

風音達はさらに内部を探索したが、マッスルクレイ等はあったものの、やはりメイン動力球は見つからない。しかし竜船の貨物スペース内で別の面白いモノが見つかった。

「なんだ、これは?」

それは貨物スペース内部の三分の一程度を占めるサイズの小型竜船であった。

「個人用の竜船だね。3人乗りのヤツ」

個人用竜船、その存在は風音達プレイヤーにとっては馴染みのものだった。

一定額を払って街と街を移動するのに乗せてもらったり、達良などの一部プレイヤーが大型竜船を所有していたりもしていたが、一般プレイヤーにとっての竜船とはまさしく目の前のシロモノだった。終盤はこれでフィールドを移動していたのだ。

「3人乗りってことはパーティ全員を乗せて運ぶのは無理か」

ライルが物珍しそうにその小型竜船を見ながら呟いたが、だが直樹が後ろから補足する。

「いや、確か船の底にアームがあって馬車とかの上に付けて運べるはずだったよな姉貴?」

直樹の言葉に風音が頷く。つまりはサンダーチャリオット8人+竜船3人で合計11人の運送が可能ということである。

「動力は……抜かれてるみたいだけど、さっきの機関部エリアで見っけた動力球(小)で動くはずだから、もらっちゃおっか」

風音がそう言って、アイテムボックスの大型格納スペースを発動してしまい込む。

そして航空手段ゲットである。もっとも風音はこの島まで竜体化してやってきたワケだし、空中移動自体は現時点でも可能な状態ではあった。なので特別何かが出来るようになったわけではないのだが、とはいえ風音の気分次第でガチャガチャと揺れた浮遊島行きの時よりは安定した移動が可能ではあるし操作方法は直樹や弓花も知っているので、風音以外の人間が運べるようになったという点でも利点はあったのである。