軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第十一話 報酬をもらおう

◎コンラッドの街

「コアストーン? 崩れてないの? マジで?」

グレイゴーレム討伐のために街を出て翌日の昼。

冒険者ギルド事務所の受付に風音、弓花、親方の三人が立っていた。

「どうよ。こいつは?」

プランはその差し出されたものを手にとり、驚いている。

「どうよって、よくとれたわね」

コアストーン、その数6つ。朝になって魔力回復した風音が再度ゴーレムを作って狩りをした結果、さらに4つコアストーンが収穫できたのだった。

「後は欠片の方が二袋にホーンドラビットの角3つ。肉1つ。毛皮3つだ」

「ちょっと、どうやってコアストーンをこんな原型のまま手に入れられるのよ」

「そいつは秘密だ」

親方は笑ってそう答える。

風音たちの聞いた話ではコアストーンとは魔術の杖の材料や魔導石の代用などに使われる素材で、通常は砕けた欠片を磨いて使うのだという。

原形をとどめたコアストーンを採集するのは非常に難しく、同じゴーレムのような堅くて力のあるもので押さえてはぎ取るでもしない限りは採集できない。

ちなみにホーンドラビットの肉は昨夜の晩御飯と本日の朝食で使われたため、数は一匹分となっている。

「まあ、いいわ。飯の種に口出すつもりもないしね。で、依頼は欠片の方だからコアストーンの報酬はギルドの適正価格で出すことになるけどいいかしら?」

「いちいち別個で卸すのも手間だしな。それで頼まあな」

そう言われてプランはノートを取り出す。

「ちょっと待っててね。ええと、今の金額はひとつ450キリギアか」

「え?」

「合わせて2700キリギアね。報酬とホーンドラビットのも合わせて2950でいいかしら?」

その額に弓花が驚き、親方もヒュウと口笛を吹いた。まだ貨幣価値を漠然としか理解してない風音はイマイチぴんときていなかった。

「随分と高えな」

「ここらにゃ、こんな原型のまま持ってこれる冒険者がいないし北部でちょっと怪しい動きがあってね。商人どもが買い占め始めてんのよ」

プランの言葉に親方も目が細まる。

「戦争かい?」

親方の口にした言葉に風音と弓花が目を丸くする。戦争という単語がこんなところで出てくるとは思ってもいなかったのだ。

「どうだろうね。まだ分かんないけど注意はしていた方がいいかもね」

「分かった。いつも通りのボヤで済むことを願うぜ」

そう言って親方は報酬を預かり、真横にある冒険者たちの酒場へと風音たちを案内する。

「おいジョーンズ、両手に花たあやるじゃねえか」

「花って片方はガキじゃねえか。頭が病気なんじゃねえの」

「バカヤロウ。小さい子のなにが悪い」

次々と出てくる男どもの言葉に親方は髭を掻きながら声を荒らげる。

「うるせえ、そういうんじゃねえ。新人だよ新人」

そして、その言葉に好奇の目が集まった。主にただの子供にしか見えない風音に。男供の視線の釘付けに風音がちょっとビクッとなる。

「ええ…と、カザネです。よろしく」

「ユミカです。以後よろしくお願いします」

二人の挨拶に周囲がまたドワッと笑いに包まれる。男たちにする挨拶にしてはお行儀がよろしすぎるということなのだろう。

だが、ジョーンズがひと睨みするとその声も一瞬で消えた。

「まあ、適度に仲良くやってくれ。後ろに俺たちゼニス商会がいるってことを理解してくれりゃあそれでいい」

風音は首を傾げるが、弓花は親方を見て「あのゼニス…」と口にする。

「そんでだ。とりあずこの嬢ちゃん等と稼いだ金でパーッと飲んじまおうと思うんだがノル奴はいるか」

静まった酒場で、親方の言葉にその場にいる全員が「おおおおーーー!!」と叫んで同意した。

「すまねえな。とりあえず顔見せだけでもしとかねえと後々面倒だと思ってな」

盛り上がる酒場の片隅で親方と弓花は対面のテーブルに腰掛けている。

「いえ。こちらのことを気遣っていただいたんですよね。ありがとうございます」

初心者の冒険者、女二人組でおまけに片方は見た目子供だ。親方の後ろ盾がなければバカにされて終わりだったと弓花も思う。

「いんや。まあいきなり稼がせてもらったしな。ああ、金の方はお前さん等の取り分はちゃんと渡すから心配すんな」

「ハァ。それでゼニス商会の方なんですね。親方は」

「まあな」

ゼニス商会はこのコンラッドの街の北にあるウィンラードの街を支配している組織のことで、ウィンラードだけではなくここ周辺の街も取りまとめている。

「命の恩人の手助けにと思ったら、まあ景気よく稼がせてもらったしな。有望そうな若者と繋がりを持っておくのも仕事の一つってえわけだな」

「有望。確かにあのこはそうですね」

弓花はそう言って笑う。

「カザネだけじゃあねえ。お前さんも十分に有望だよ」

親方は心外とばかりに弓花にそう言う。

「ありがとうございます」

弓花もそれをお世辞ではなく素直に受け止める。というのも弓花も昨日のホーンドラビット狩りの際にスキルを一つ手に入れ、自分に対しての自信もつけていた。『天賦の才:槍』というのがそのスキルの名だが、これは風音のように魔物から奪ったスキルではない自分だけのユニークスキルである。

また親方も弓花と行なった昨夜と今朝の稽古で、弓花が真綿が水を吸収するがごとく親方の教えをモノにしていく様を見ている。

「まあそれはさておきだ」

「はい」

親方はさきほどからの人集りに視線を移す。

「なんでカザネはあんなに男供と仲良くなってるんだ?」

「ああ、昔からそうなんです。興味のあることになると積極的になるタチでして」

「なるほど。一つ目スネークはアシラ砂漠の直前が一番出てくると」

「おうよカザネちゃん、鉱物関係なら俺に任せろって」

「ホントに? それじゃあ青水晶のある場所はシドニア鉱山のままなのかな?」

「いやあ、あそこはダンジョンになってっからなあ。けど、取りにいけないだけであるかもしれないけど」

「カザネっち、エッグタルト食う?」

「いただくってばよ」

「ヤベエ、うちの娘よりも可愛いわ。これ。持って帰っていい?」

「それ娘、泣くのでは?」

「仲がいいに越したこたぁないんじゃないですかね?」

若干投げやりの弓花。

「まあ…な」

そう呟く親方もどちらかというと乗り遅れたって顔で風音たちの騒ぎを見ているよねえ…と、弓花は思っていた。