軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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マッシュポテト。

この世界にもマッシュポテトはあるので、ポテトマッシャーはある。

大きな円形の鉄に小さな穴がいくつも開けてあり、力を入れて潰すので握り棒は握りやすい様に指の形に波型がついている。

たまに肉料理の付け合わせにマッシュポテトを付けるのだ。

爺さんが蒸かした芋をマッシャーで潰しているのを見て思いついた。

巻物を作ってみるのはどうだろう?

前からフェリシアん家で育ててもらっている生姜を何かに使いたいと思ってたので、生姜とか人参、インゲン豆を芯にして周りをマッシュポテト、更に外側を薄い豚肉で包んで焼くのはどうだろう?

醤油がないから塩味中心?

いやいや生姜のピリリも良い味付けになるけど・・・・。

「このマッシュポテトをかい?」

「はい。少しでいいので分けてもらえませんか」

「そりゃいいが、何か新しい料理を思いついたのかい?」

「作ってみたいなっていう料理は浮かんだんですが、どんな味になるか全然分からなくて・・・」

爺さんと私の会話を横で聞いていた伯父さんは、「なら、やってみるといい。芋はいくらでもあるからな。後は、何がいるんだ?」と新しいメニューの試作に乗り気の様だ。

「えっと・・・。豚肉とインゲンと人参、生姜・・・・今のところはこれくらいですが、作ってみて味付けがおかしかったり、足りなかったら他にも増えるかもです」

「おおう、いいぜ。やってみな。豚肉はどんなのがいいんだ?」

「広く薄く切って下さい。マッシュポテトを中に入れて巻いてみようと思ってるんです」

「へぇ~、こりゃあまた変わった事を思いつくもんだな」

そういいながら豚肉を生姜焼きの肉より少し大きめに、そして薄く切ってくれた。

「マッシュポテトはこれくらいでええかのぅ」

爺さんもボウルにマッシュポテトを入れてくれ、上から濡れ布巾で中が乾かない様にして渡してくれた。

肉巻きにした後、フライパンで焼く予定なので、中まで火が通らない事を考慮し、インゲンと人参は一度塩ゆでをした。

生姜は伯父さんたちがびっくりするぐらい細く針生姜にしておいたので、問題はないだろう。

こちらではまな板を使わないから針生姜っていう技術がないのだが、前世と前々世が日本人女性だった私には、ちょろいもんだ。

まな板の上に広げた豚肉に味付けのために塩を、マッシュポテトとくっつきやすい様に小麦粉を振って、マッシュポテトをのせ、巻き寿司の様に手前側に人参、いんげん、生姜を載せ巻いてみた。

なんか・・・・バラバラになり易い・・・・。

それでも一旦伯父さんにフライパンで焼いてもらった。

「この巻き終わりの所を下にして、肉巻きが崩れない様にしてから、ある程度火が通ったら、今度はひっくり返して蓋をして様子見でしょうか・・・・」

「ん?何で蓋をする?人参もインゲンもジャガイモも予め火が通っとるのに?」

「肉は火を入れすぎると固くなるので、熱が通りやすくして、短時間で焼いても生なところが無い様にです」

「ほぉ~。調理スキルってのはいろんな事を知る事ができるんだなぁ。俺も経営スキルじゃなくって調理スキルが欲しかったなぁ」

「宿屋を経営している伯父さんには、経営スキルはとっても便利なモノだと思いますよ」

心からそう思って言ったのだけれど、伯父さんはあまりスキルを使った事がないみたいで、肩を竦めながら肉巻きを焼く方へ注意を戻した。

試食第一号はまぁまぁの味だったが、マッシュポテトが崩れやすいのが問題で、ナイフとフォークで食べる習慣のない庶民には扱いづらい料理となった。

一口大に調理場で切って出すとして・・・・それでもポテトが崩れやすいのに変わりはない。

ポテトにもっと固さがあればいいのだろうか?

あまり蒸かし芋を固くすると、マッシャーで潰すのが大変になってしまうし・・・。

小麦粉を混ぜてみる?

そんな事を思いながら試作品を鑑定に掛けてみた。

熊のまどろみ亭の肉巻き

人参、インゲン、生姜をマッシュポテトで巻き、更にその外側を薄い豚肉で巻き焼いた料理。

マッシュポテトが崩れやすい。

マヨネーズを混ぜると更に美味しくマッシュポテトも崩れにくくなる。

私は思わずポンと右手の拳で左の掌を叩きつけた。

「お?どうした?何か思いついたのか?」と、伯父さんが身を乗り出した。

「マヨネーズを作ります」

「マヨネーズ?爺さんは聞いた事があるか?」

「いんにゃ、儂も聞いたことはないのぉ」

「伯父さん、植物油と生卵、お酢をお願いします」

「お酢ってあの酸っぱい酒か?」

「はい」

この前、私がスキルを使って古くなったお酒をお酢に変えておいたのだ。

酸っぱいから飲めたものではないと捨てそうになった伯父を慌てて止めたのは、ついこの前の事だ。

爺さんに手伝ってもらいながら、油以外の材料を全部入れ、ゆっくりと混ぜてもらいながら、私が少量の油を注ぎ入れていると、マヨネーズが出来上がった。

ちらりとスプーンで掬って舐めてみると、うん、普通にマヨネーズだ。

爺さんや伯父さんも味見をすると、「こりゃ、うめぇ!」となった。

そのマヨネーズとマッシュポテトを混ぜてから肉巻きを作ると、味に深みが出たし、ポテトの部分も崩れにくい。

これだ!

伯父さんも爺さんも気に入った様で、明日店で出してみようという事になった。

もちろん、お客さんも気に入ってくれた様で、熊のまどろみ亭の名物料理がまた出来てしまった。

またまた曜日限定で売る事になった。

伯父さんは、手間は掛かるが、肉料理として出せるので単価が安いジャガイモで代用できるのが魅力とホクホク顔だった。