作品タイトル不明
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土地は直ぐに入手できた。
可成り広い。
真ん中に敷地内だけで使う鉄道を敷く事にしたので、ガルフィールドさんにお願いしたら、「また俺をこき使う気かぁ?」とちょっとすごまれた。
でも樽入りの液体や瓶に詰めた物を扱うので重たいと思うんだよね。
何より敷地がとっても広く、隣の蔵とかなり離して建物を建てることになったので、製品や原材料の出し入れがとっても大変そうなのだ。
「先輩!お願いしま~す」とにっこり笑って見せたら、「ちぇっ、しょうがないなぁ」と言いながらガルフィールドさんは鉄道の敷設を約束してくれた。
ランビットにはスイカズラ工房へトロッコ車の作製を打診する様に頼んだ。
鉄道のレールの切り替えは昔見たウェスタンな映画の様に、鉄の棒を操作する事で行うのだが、その度に車輛を止め、運転手が降りて、切り替えをしてからまた運転席に乗り込み、それから移動になるのがなんとももどかしいのだけれど、運転席からボタン一つで切り替える方法を知らないのでしょうがないよね。
だから、出来るだけ切り替えポイントは少ない方が良んだけれど、酒樽とか液体調味料とか絶対重たいのが分かっている物を運ぶのだから、切り替えポイントを作ってでも調味料工業団地の敷地内に貨物列車を乗り入れる事が出来る様にしないとだね。
敷地中央に大きな倉庫を造り、そこに全ての蔵の原材料や完成品を保管しようと思う。
で、その中央倉庫から各蔵まではトロッコで運ぶ様にする心算。
トロッコなら作業員2人でシーソーの様にして運転できるもんね。
出来上がったら私も一度くらいはトロッコに乗ってみたいな。
あのかわりばんこにピョ~ンって跳ねる様にして車輛を進めるのって面白そうなんだよね。
後、原材料の生産地から穀物等を運ぶための車輛などを作製してもらわないといけないなぁ。
忘れない様に手配してもらわないとだね。
よし、もう一度、ランビットを呼ぼう。
「アウレリア様。木樽はいくつかの町の工房に分けて発注致しました。出来上がり次第、鉄道を使って搬入予定です」
午後になって事務所にどこかから戻って来たダンヒルさんが報告してくれた。
「後、ランビットはスイカズラ工房との打ち合わせで王都へ帰りましたので、これを預かっております」と、どの蔵から製造を始めたら良いかの計画書を渡してくれた。
ここまで仕事を進めてくれると私の仕事が楽になるのだ。
ランビットさまさまだ。
調味料作りに関しては、肝心のノエミは元気にホテルのレストランで下拵えなんかをしながら、調味料についてもちょこちょこ教えてもらい始めた様だ。
「すんごいっす!色んなチョウミリョウ?ってのがあって、あんなに美味しい料理になるのが面白いっす。ミソもショウユもスゴイ色なのに、ちょっとだけ入れればちゃんと味が付くし、料理の色もそんなに黒っぽくならないっす。本当にすごいっす」と調味料愛が更に激しくなった様だ。
「失礼します。アウレリア様、警備員と犬の手配が終りました。それと建屋を造るための大工たちの手配も終わりました」
私専用のオフィスの扉をノックして、ダンテスさんが入って来てダンヒルさんの横に立った。
仕事の進捗状況をいつもの様に報告してくれる。
「ところでアウレリア様、ノエミは使い物になりそうですか?」
「まだ、分かりませんが、ノエミがダメでも調味料やお酒は造りたかったので、最悪、他の人を雇ってでも調味料工業団地は実現したいです」
「そうですか。どちらにしても各蔵に職人が必要との事でしたので、男手を中心に人を集めております。今の所予定の1/3くらい集まっています」
「ダンテスさん、いつもありがとうございます。私は思い付きだけで実際にそれを実現してくれるのはダンテスさんやダンヒルさんだから、とても感謝しています」
「勿体ない事でございます。この様に多岐に渡る事業に携わらせて頂けるのは望外の喜びです」
「そう言って頂けると嬉しいです」
私からもお礼を言うと、ダンヒルさんもダンテスさんの横で無言で頭を縦に振っている。
「そこで一つご提案があるのですが・・・・」
「はい、何でしょうか?」
「今回、ナイゴン駅で大掛かりな建設工事をする訳なので、他の駅に先んじてナイゴン駅のホテルを建ててみたらいかがでしょうか?」
「一度にたくさんの蔵とホテルを建てて、両方の管理できるでしょうか?」
「前にアウレリア様がおっしゃった様に、料理も美味しいけれど簡単な物、部屋は狭くても最低限必要な物が揃っていて人手をあまり必要としない簡易な宿泊施設であればそこまで準備に時間が必要とは思われないので、大工がナイゴンに集まっている時にちゃちゃっと済ませてしまう方が良いかと思います」
「そうですか。分かりました。まずは調味料工業団地の建設を終えてからなら良いかと思います。でも、そうすると人手集めが大変になりますね」
「いえ、職人よりメイドとか掃除人の方が集めやすいので、宿屋の方は直ぐ埋まると思います。何よりフローリストガーデンはイメージが非常に良く、働きたがっている人は大勢いますから。もちろん手癖の悪い人などは雇わない様に気を付けますのでご安心下さい」
「ダンテスさんには一番大変な所をお願いしてばかりですが、よろしくお願いします」
「任せてください」といたずらっぽく笑ったダンテスさんは軽く頭を下げ、自分の事務所へ戻って行った。
今夜、鉄道でナイゴンの工事をゴンスンデの大工たちに発注するべく、移動するそうだ。
ダンテスさんもランビットも父さんも、本当にあっちこっちへ移動する事が多くて申し訳ない!
でもランビットなんて「今流行りの鉄道に何度も乗れるんだぞ。すごくねぇ!?」と喜んでいたりするので、移動を嫌がっていないのが救いだよ。