作品タイトル不明
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本当は明日の朝、鉄道で王都へ戻る予定だったのだけれど、ノエミとの面接で新たなビジネスの立ち上げが頭をよぎったので結局数日ナイトル村の従業員寮で寝泊まりする事になった。
父さんと母さんには鉄道を利用して手紙でその事を知らせた。
ダンテスさん、ダンヒルさん、そして父さんのお陰で、ホテル5軒とレストラン1軒の運営は問題が無い。
どちらかと言うと大公様からは駅前のビジネスホテルチェーンを早くとせっつかれている。
でも、私しか作り出せない調味料やお酒、フルーツなんかは随時鉄道に乗せて各店舗に運んでもらわなければならず、大量の食材を夜寝る前に呼び出して、翌朝運ばせているのにも結構な時間を取られている。
ビジネスホテル造りに着手するには時間が足りないのだ。
それにホテルの方も運営は順調ではあるが、まだ建って1年にもなっていないのだ。
思わぬ時に思わぬ出来事が発生したりするから、いくら対処は父さんやダンテスさんがしてくれると言っても、報告は来るし、それに恒久的な対処をと考えてたりすると、それなりに時間は取られるのだ。
だから塩以外でも味付けが出来る様に、私が直接関与しなくても様々な調味料が手に入るならそれに越したことは無い。
料理も好きだが、何よりも調味料に興味があるというノエミの存在は、私にとっては福音の様な物だった。
だから、最初は失敗しても良いから醤油、味噌、みりん、お酢、そして日本酒やウイスキー、バーボン、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラなどを一か所で作ってみたい。
大公様が購入して下さった土地以外の駅付近の土地は、色んな人が住込み始めて店や宿屋を始めているけれど、まだまだ大きな土地が残っている。
だって、もともと何も無い所に駅を造っているからだ。
だから、広大な土地を買って、早めに塀で囲い込み、徐々に建物を造って出来た所から醸造や仕込みをすれば良い。
まぁ、原材料が採れる時期ってのもあるから、それも考慮しないとだね。
まぁ、最悪、私のスキルで原材料も呼び出せるのは強みだと思う。
大豆を大量に作付けしてくれる農家とも契約しないとだしね。
その辺一切合切をダンヒルさんに調べてもらう事にした。
ランビットには各製品の原材料となる大豆や大麦とかジャガイモとかをリストにした物を渡し、どの蔵から製造を始められるかを考えてもらう事にした。
ランビットはスイカズラ工房と協力して魔石で動く列車を作り上げたばかりなので、疲れてはいるだろうけど、時間はあるはず。
でも、魔石で動く鉄道のお陰で、客車の大きさがぐ~んと広がった。
そのお陰でウチのホテルも、各駅の宿や食堂も大賑わいだ。
だけど、まだ富裕層しか利用できないんだけどね。だって運賃、高いものね。
ダンヒルさんに一般的な材料の手配をお願いするとしても、リュウゼツランはこの世界には無い可能性が高いよね?
テキーラの原材料であるリュウゼツランは地球のメキシコで育っている事を思えば南の方が良いのか、それともあっさり温室で育てた方が良いのか・・・・。
そうだ!
私はスキルでリュウゼツランの苗木を呼び出し、食材鑑定で情報を丸裸にした。
ふっふっふっふ~。
何々?マイナス4度でもOK。菰巻するならマイナス7度までセーフ!
それよりも湿度と太陽光が重要っと。
よし!ならばモリスン村店の庭にリュウゼツランだけの温室を作って、上から強いスポットライトでガンガンライトを当てて、水路風の池を中に作れば湿度が保たれるし、お客様が珍しい植物を見るために散策する場所としても綺麗な印象を与える事にもなる。
うん!一石二鳥だ。
天気の良い日はガラス窓をぱぁっと開けられる設計にしよう!
そして、強力なスポットライトはボブん所の工房で作ってもらわないとだね。
これもランビットに要件を考えてもらってスイカズラ工房へ持って行ってもらおう。
うううう。それにしても調味料以外にもまたガラスをスキルで作り出さないとだね・・・・。
何か私墓穴掘ってる?
「アウレリア様、ランビットから伺いましたがお呼びとか」
「ええ、ダンテスさん、呼びつけてしまってごめんなさい」
「いえいえ。丁度、ダンヒルとの打ち合わせが終った所だったので問題無いです。それより調味料と酒類を造る蔵をいくつか建てたいと耳にしましたが・・・・」
「はい。たった今、自分から売り込みをしてきた女の子の面接が終った所で、彼女は調味料に興味がある事が分かりました。そこで前から言っていた調味料を造る蔵を造りたいなと思っています」
「ああ、ショウユとか言われていましたね」
「ええ、しょうゆ、お酢、みりん、味噌、そして数種類のお酒類を造りたいのですが、どれも手探りになります。特に調味料の方は菌と言って目に見えない生物を使って食品を発酵させる必要があるので、どの蔵とどの蔵を隣りあわせにしてはいけないという事もやりながら探って行く必要があるかもしれません」
「発酵ですか?」
「ええ、意図的にある程度腐らすって事です」
ダンテスさんは思いっきり驚いた様で、体が若干仰け反ってしまったのが、バツが悪いと思ったのか空咳で誤魔化している。
おじさんなんだけど何かちょっとカワイイ。
「ダンテスさん、モルホミと同じですよ。あれも液に浸けこんで発酵させた食品ですよ」
モルホミとは魚を発酵させた魚醤の様な物で、実はめちゃくちゃ臭いが酷いのだ。
それはもう地球でも有名な外国のくっさい缶詰めくらいには臭い!
私はあの臭いは我慢できず、どうしてもあれを口に入れる事が出来ないのだけれど、一部の酒飲みなどが少量を野菜や肉、川魚に付けてツマミにしたりしているのだ。
「モルホミですか・・・・。ですが、アウレリア様が料理に使われているショウユとかミソとかはあの様なキツイ臭いはしませんでしたが?」
「それは菌も違うし、魚は野菜に比べて臭いがキツクなりやすいからだと思います。醤油も味噌も大豆が原料ですから」
「キン?コホン。なるほど。では、それぞれの設備についてどの様な物が必要なのか、どれとどれをランビットが作り、どれをスイカズラ工房へ依頼するのかなど、アウレリア様の方で進めて下さい。ダンヒルが今原材料の手配について調べておりますし、ランビットにもどの調味料から製造を始めるのかを調べさせているんですよね?」
「そうなんです。なので、ダンテスさんには土地と人の手配をお願いしたいんです。特に犬も警備に当たらせたいので、建物の中には入らない様に躾けた犬を数頭お願いしたいです」
「土地は出来るだけ広く購入しましょう。余る場合には駅であの辺の土地も栄え始めているので売る事も出来るでしょうから」
「そうですね。では、私はこれから蔵の外側や内側のクロッキーを描きます。それに合わせて最低限必要な土地の広さを計算して、それよりも広く土地を購入して下さい。財源はホテルの売り上げから回せると思うので、よろしくお願い致します」
「かしこまりました」
ダンテスさんが自身の事務所の方へ帰って行くと、私は塀で囲う土地の中にどこに何の蔵を建てるかとか、蔵の内外のクロッキーを描き始めた。
大きな木樽やお酒用の木樽も必要なので、それらの絵や大体の大きさを描き込んで行った。