軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「只今より第三回ドッジボール大会を開催しますっ」

闇王様の良く通る声で大会の開会が宣言された。

今年も4つの講堂に分かれて試合が行われる。

闇王様はボブが調整したスポーツエリア全体に響く拡声器で宣言しており、今度はひよこクラブの副部長ベレンちゃんが「試合は4つの講堂に分かれて実施されます。どの講堂でどのクラスの試合があるかは、中央にある掲示板でご確認下さい。それでは20分後に最初の試合を開始致します」と淀みなくアナウンスをしてくれた。

自分から立候補してくれただけあって、緊張はしている様子だけれどもハキハキと綺麗な発音でアナウンスをしてくれている。

今年も実行委員会が手伝ってくれ、事前の練習試合もかなりの数熟してくれているし、4つある講堂の内3つのアナウンスは実行委員会のメンバーがしてくれる。

それぞれの拡声器はボブとランビットによって各講堂の中にだけ響く様に調節済だ。

「お前、どこの講堂で観戦するんだ?」

「あ、俺?妹のチームが第一試合だから風の講堂へ行くけど、お前は?」

「オレは・・・・特に無いからお前と一緒に観戦しようかな」

「今年はどこのチームが勝つと思う?」

「いやぁ・・・・去年の鳥人コンテストなんか全部を1年生が掻っ攫って行ったからなぁ。もしかしたらドッジボールも1年生チームが活躍とかあるかもしれないぜ」

生徒も保護者も、中央広場の掲示板を見て、4つの講堂へそれぞれが移動を始めた。

男子生徒の中には最前列で試合を見たいと駆け足になっている子も結構いた。

私はベレンちゃんの付き添いとして火魔法講堂を担当だ。

今年もルールの説明は実行委員会のみんなが体当たりでやってくれるので、アナウンスの説明はそれに合わせる形だ。

もちろん予行練習も複数回やっているので安心だ。

保護者の方も去年見学に来ていた人が多いので、ルールを覚えている人も多い。

子供が1年生でも保護者の中にはその子の兄や姉がおり、去年も保護者としてドッジボールを見ていたりするので、このルール説明は1年生より大きな子を持たない保護者向けだ。

「わぁぁぁぁぁ」

他の講堂から歓声が上がったので、試合前の応援合戦が始まったのだろう。

火魔法講堂も同じ様に、応援合戦が始まった。

三三七拍子の衣装はなんとなく可愛いものよりカッコいいモノが多い気がする。

男子生徒の数が多いので、応援団も男子生徒が結構いるからだろう。

メグと私が着ている様なミリタリーゴシック系のデザインを男子向けにしたような装飾過多な割にはキリリと見えるデザインが多い。

所謂、制服は2割増し恰好良く見えるってやつだ。

これはもしかしたら卒園した裁縫クラブの元部長さんとかがアルバイトで作っているのかもしれない。

何故そう思ったかと言うと、私がデザインした刺繍やモールなんかがまんま使われていたからだ。

4年生は実家の商売を継ぐ者、魔法省などへ入省する前段階の研究所の下っ端になって経験を積む者、商業ギルド内にある業種別の事務所なんかで経験を積んだりして、職業的知識を得てから、本格的に就職するのだ。

そして卒園すると基本は4年生の時に体験した実習に関係した職に就く。

まぁ、言うなれば男性がだけどね。

平民なら女性でも事業をする場合はあるけど、貴族の女子は結婚がその役目なので、花嫁修業をしたり結婚したりする。

まぁ、花嫁修業と言っても料理洗濯ではなく、お茶会の開き方とか、TPOに合った装いの仕方とか、使用人の躾方、御用商人との駆け引きを学ぶのだ。

料理洗濯はコックやメイドがやる事なので、所謂女主人の仕事を覚えれば良いのだ。

まぁ、それが結構エグイらしいけどね。

おっと、ドッジボールの最初の試合が終わったみたい。

ベレンちゃんは順調にアナウンスを続けている。

初めてとは思えないくらい卒なく熟しているが、本人は恐らくとても緊張しているのだろう。

右手だけが細かく震えているから・・・・。

私は思わずベレンちゃんの右手を包む様に両手で支え、手の甲をポンポンと叩き、頷いた。

とても良く出来てるよと笑顔で伝えた。

それはベレンちゃんにも伝わったのか、少しだけホッとしてくれた様だった。

「続きまして本日火魔法講堂の第二試合は、Aコート、3年上級組対4年平民組。Bコートは1年上級組対1年平民組です。見どころは、4年生平民組の女子が多いチームと3年上級組の体格の良い男子選手との駆け引きと言ったところでしょうか。Bコートも1年生同士、体格も経験もほぼほぼ同じということで接戦になると思われます。では、まずは応援合戦から。Aコート3年のチームから時間厳守でお願いします」

ベレンちゃん、優秀だよ。

伝えないといけない事は全部伝えているし、見どころと言われれば皆自然とアナウンスを聞く体勢になるものね。

さすが、ペペ君といつも一緒にいるだけある!

準決勝と決勝は特設会場で実施される。

だが、その前に午前の部が終了したら昼食になる。

今年も学食は保護者もいっぱい来ているので、私たち5人は寮の食堂でランチにした。

「ベレンちゃん、アナウンス上手だよね」

「うん。本当に頑張ってる。これなら鳥人コンテストの時も彼女に任せて大丈夫だと思う」

メグと二人でそんな会話をしていたら男子も同じ気持ちだったみたいでみんな頷いた。

来年は4年生で私たちはイベント開催には関係しなくなるので、こうやって後を任せる事ができそうな後輩ができるととっても安心だし、嬉しい。

昼食が終り、準決勝からは特設会場でみんなが見つめるなか試合がはじまった。

アナウンスはベレンちゃんだ。

第三皇子とディアナ様の熱い視線がベレンちゃんにフィックスされているのが見えた。

うわぁぁ、怖い。

昨年の鳥人コンテストで私をガン見していた二人なので、アナウンスの重要性に気付いたんだと思う。

魔法決闘大会ではアナウンスがグダグダだったので、必要な解説すら聞けなかったものね。

そうなんだよ。

アナウンスが良いと、会場の空気は温まり易いんだよ。

君たちもそれに気づいたんだろねぇ。

だからって他のクラブから引き抜くんじゃなくって、自分たちで手探りでも育てていきなさいよ。

他人の努力を横から掻っ攫うのだけは許さないからねという意思を込めて、二人を見返したら、二人も私の視線に気付いたのだろう、見返して来た。

メンチ合戦だぁぁ。おおーーー!

セシリオ様が気づいて、私の肩に右手を乗せて、トントンとしてくれたので漸く目線を外す事が出来た。

そしてセシリオ様は私の代わりに二人にガンを飛ばしてくれた。

皇子たち二人はフイと後ろを向いて、私たちの視界から消えて行った。勝った!

多分、セシリオ様も引き抜きの可能性に気付いてくれたと思う。

闇王様への相談は、セシリオ様に任せよう。

面倒臭いとかじゃないよ。うん、絶対!