作品タイトル不明
13
1年生のコスモス畑への遠足が終り、その後直ぐ魔法共同授業が終り、いよいよドッジボール大会が近づいて来た。
今年は魔法障害物競争があるので、早目の開催なのだ。
練習試合を1年生中心にしないと彼らが置いてけぼりになるので、ひよこクラブと合同で練習試合を繰り返す。
2年生以上は既に学園に申し出てボールの貸し出しを始めており、勝手に練習試合をしてくれているので助かる。
今年も一般の領民は対象外だが、生徒の保護者だけは学園内に入れて開催すると学園側からは聞いている。
イベントクラブも年間を通してのイベントカレンダーを作るらしく、なんかバタバタと忙しそうにしているが触らぬ神に祟りなし、私達は皇子様たちを横目で、そして遠巻きに見ながらも知らん顔。
今はドッジボール大会に向けてゴーゴーなのだ。
相変わらず体育会系男子はドッジボールに燃えており、練習試合で既にかなりのやる気を見せてくれている。
「今年のMCはひよこクラブの誰かがやってみるか?」
闇王様の無茶ぶりに、副部長のベレンちゃんが手を挙げた。
魔法障害物競争のインタビューをひよこクラブでする事になっているので、それの前段階と言う事だ。
元々ドッジボール大会は昨年から準決勝までは4つの講堂に分かれて試合をしていたので、各講堂で実行委員会の有志がアナウンサーを兼任してくれていたので、鳥人コンテスト程MCが複雑ではないという認識があややクラブの面々にあるのだ。
去年も今年も、3つの講堂については実行委員会の有志に担当してもらうので、大本の私が担当する講堂をベレンちゃんにということらしい。
それは、私にとってもありがたいのだ。
私だって前世も前々世もアナウンスなんていう経験が無いので、ものすごく緊張していたし、いつもイベントが終わった後になって、あの時ああ言えば良かった、これを聞いていたのに活用できなかったと一人反省会をして落ち込むというのが習慣になっていたので、それから解放されるのなら万々歳なのだ。
「私、やってみたいんですが、横にアウレリア先輩がいて下さらないとちょっと不安です」
うわぁぁ、下級とは言え、ベレンちゃん、お貴族様の娘さんに敬語を使われちゃったよ。
「そうか、じゃあ、アウレリア、解説の方を頼む。ベレンが言葉に詰まる様な事があれば、さりげなくフォローを頼む」
うっ!解説ですかぁ。
解説をするには知識がないんですけどぉぉ?
でも大事な後輩?を突き放す訳にもいかないもんね・・・・。
う~~ん、MCよりは解説の方がしゃべる頻度が低いので、今年は少し楽をさせてもらえるかな?
「後、実行委員会の立ち上げは、フェリーペに頼む。前年度のメンバーの内、可成りの数がイベントクラブに所属しているから、その者たちを実行委員会へ入れるかどうかという問題があるな。みんなの意見はどうだ?」
「アディ、他の希望者も別のクラブ所属しているはずだから、イベントクラブだけを特別視するのは流石にまずいと思うぞ」
「そうか・・・・。じゃあ、昨年度と同じで、各クラス最初の2名を実行委員として登録してくれ。アウレリア、今年はファティマだっけ?ヘルマンの妹はどうすんだ?」
「あのぉ、特に何も言われていないのと、既にイベントクラブに所属しているみたいので、今年は勘定に入れなくても良いと思われるのですが、こちらから改めて聞けば入りたいと言うと思うので、聞かない方向が良いかと思います・・・・」
「そうか。なら、後で何かを言って来た時だけ、特別措置として実行委員会へ入れるとしよう」
皇子やディアナ様が実行委員会へ名乗りを上げて来たらどうするか?
それについては、オブザーバーとして去年受け入れたので、今年は似た活動のクラブ同士ということでお断りしても良いのではないかという意見に落ち着いた。
うん、面倒だものね。あの二人が実行委員会に入ったら。
ドッジボール大会についての話し合いが終ると、ベレンちゃんはアナウンスのコツを色々と聞きに来た。
「私も、あまりアナウンスのコツとかは分からないんだけど、試合が遠くてちゃんと見えてない観客もいるかもしれないので、そういう細部まで見れない人でも試合の流れが分かる様にしゃべればいいんじゃないかな?去年と同じなら、4つの講堂に分かれて試合をするので、準決勝までは各講堂で実行委員会の人がアナウンスをしてくれるはず。ベレンちゃんが担当するのは一つの講堂で行われる試合だけだから、あまり気負わなくても大丈夫だよ」
「ありがとうございます。試合の細部を見れてない人のための説明ということは、どんなルールなのか、どんな技があるかというのをある程度調べないといけないってことですよね?」
「いいところに気付いたね。そうなの。ルールだけじゃなくてある程度の技とか作戦を知っていないと説明できないから、練習試合には率先して参加してみたり、他のクラス同士の練習試合も見て見るといいと思うよ」
「そうなんですね!」と目をキラキラさせながら、ベレンちゃんは早くもやる気を見せてくれた。
「もう一つ、奥の手を教えるわね」
「奥の手!よろしくお願いします」
ベレンちゃんは勢いよく私の腕を掴んだ。
「どうしても分からない時は解説者に振れば良いのよ」
それを聞いてベレンちゃんは水平に広げた左掌にグーに握った右手をポンと叩きつけ、年齢に似合わない古い『ひらめいた』ジャスチャーをした。