作品タイトル不明
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「夕食までまだ時間があるので、今日のイベントについての感想をみんなで話し合おう」
作戦会議室に集まって闇王様の指示でみんなが思い思いの感想を言い、黒板の前に進み出たボブが板書してくれた。
ランビットは初めてイベント関連に関わるので、みんなの感想を興味深そうに聞いている。
「企画してから実施するまでの時間が短いのはすごいと思った」
「決闘を見ても何をやっているのかよく分からなかった」
「解説がないと面白味が半減したよね」
「何故、属性毎の決闘なのかが分からない」
「1年生と4年生で決闘させるのは1年生が可哀そう」
「何をしたら勝つのかが良くわかりましぇんでちたわ」
皆の口から出るは出るはたくさんの批判。
唯一褒めているのは企画から実施までの日数の短さだけだった。
それまで皆の感想を聞くだけに留めていた私に、闇王様から「お前はイベント企画のプロだからな。思った事は全部挙げてくれ」とご指名を頂いた。
ちょっ、何時から私がイベント企画のプロになったのやら。
そう心の中で毒づきながらも徐に席を立った私は、もう一つの黒板を使い自分の考えを述べ始めた。
ボブには話しながら自分で書くのでと断りを入れ、一旦着席を願った。
「まず、問題点を挙げて行きます。根本的にルールが決まっていない、或いは決まっていても参加者に説明していない事、これが問題です。誰かが言った様に解説も無かったので、選手たちが何をやっているのか、どんな駆け引きをしているのか分からないので面白さが半減している事、これも問題です。安全対策が十分でない事」とそれぞれの問題点を結構なスペースを空けて書き込んだ。
1)ルールが無い
そう書いた直ぐ下に何についてのルールが無いのかを書き込み始めた。
・選手の選抜方法
・対戦カードの決定方法
・勝負の決定方法
・使用可・不可な手段
2)説明が無い
・属性毎に分けて実施する意味
・最終的に各属性のチャンピオン同士で対決するかどうかの有無⇒イベントとしての構成
・解説がないため選手が何をしているのか、選手間の駆け引きの有無が観客には分からない
・(上記項目の必要なルールを決めた後)その周知が不足
3)安全性の確保
と、サラサラっと声に出しながら黒板に箇条書きしていくと、ランビットが驚いた顔をした。
それを横目で見ていたボブが、「ウチのイベントの殆どはリアが考え、やり方についても同様にリアが案を出して皆で話し合って最終的に決めるんだ」と小声で言っているのだけれど、私が黙っている時にしゃべったので、ここにいる皆にしっかり聞こえたよ。
更には闇王様が「こいつは良い意味でバケモンなんだ。だからこれからも驚く事は山ほどあると思うぞ」って。
バケモンって何ですか?バケモンって・・・・。
「アドルフォ様、おんにゃの子に向かってバケモノとは、紳士失格でしゅ」
しっかりアドリエンヌ様から突っ込まれてたよ、闇王様。ぷくくく。
「まず、選手の選抜方法は何なのか、そして1年生と4年生を戦わせていたのは何故か?先生が審判だけど何を基準に勝敗を決めているのかについて答えられる観客は少なかったと思います。最初にそれらについて説明があってからなら、納得しながらイベントを楽しむ事もできたでしょう。特に選手の前に作り出される盾は誰が出しているのか。対戦相手二人ともの盾の強度は全く同じ物なのか?決闘そのものが公正に行われているという印象を観客へ与える努力がされていませんでした」
「「「ほほぉ~」」」
「今回の事故についてもそうです。どの魔法は使って良く、どれはいけないのか事前の周知がありませんでした。これは3)の安全性の確保にも大きく関わります。それに、2)の説明が無いは黒板に書いた通りで、どれも不足してはいけないモノですが、ルールの周知と決闘についての解説は特に大事だと思います」
「ウチはいつも安全性については神経質なくらい気を遣って来たからな」と闇王様がドヤ顔だ。
「後、これは全属性共通かどうか分からなかったので黒板には書きませんでしたが、水魔法では1つの試合が小一時間掛かったケースがありました。選手同士の実力が競っており勝負が付き辛い状態だったので、魔力を温存しつつ戦った為に、両方の選手が魔法を放っていない時間が相当ありました。1つの試合の時間制限を設けていないのであんな事態になったんだと思います」
ランビットも私の横でその試合を見ていたので大きく頷いている。
「水魔法はそういう事があったのか・・・・」とフェリーペ。
不思議そうな顔をしたセシリオ様が「でも、時間制限を設けると勝敗が付いていない時はどうすれば良いのでしょうか?」と今度は運営側の立場になって聞いて来た。
「そもそも時間制限を設けず決着まで戦うという方法を取るのならば、何分以上魔法を唱えない時点で失格扱いにするとかって手法も取れますし、時間制限を設けて引き分けになったのなら、予め勝敗を決めるルールを設定すれば良いだけのことだと思いますよ」
「ん?予め勝敗を決めるとはどんなルール?」
「審査員を奇数用意して、どちらが優勢か多数決を取る方法とか、後は魔力量が測定できるのならば、試合開始前と終了後で魔力量がより減ってない方を勝ちにするとか、そもそも引き分けた時点でくじ引きにして当たりを引いた方が勝ちにするとか、とにかく一番大事なのは引き分けになった時にどうやって勝敗を決めるかのルールを事前に告知して、それに納得している選手だけを出場させる事だと思いますよ」
「審査員が出てくる段階で、何を基準に決定しているのか分からないのではないか?」
闇王様の言う事ももっともだ。
「でも、最初のジャッジでは何を基準にしているか分からなくても、ジャッジした直後にそれぞれの審判に何を基準にしたかをその場で表明してもらえれば、それ以降の試合では選手も審判が何を見ているのかが分かるので良いのではないでしょうか?それに選手には予め各審査員が何を重視しているかの説明会を開けば良いし、場合によっては他の点が優先される可能性があるとさえ言っておけばどうにでも言い逃れできますしね」
「アウレリアさんは本当に物事の仕組みを考えるのが早いし多岐に渡って考えられているのでとっても勉強になります」とセシリオ様が眩しい笑顔を向けて来るところを見ると本当に私を認めてくれているのだろう。
それにしても黒い笑いでないセシリオ様を久々に見ましたよ。
場が整ったと思ったのだろう、闇王様が立ち上がって皆の耳目を集めた。
「それじゃあ今度は、もしウチのクラブでこのイベントを開催するとしたらどんな方法が良いか、みんなの案を出してくれ。別にイベントクラブに教えてやる義理もないから、この話はここだけにするので、忌憚のない意見を頼む」