軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ガスペール先生の言う対処の仕方には無理が無い。

と言う事で、不本意ながら先生の提示した解決策を実行すべく、貴族も平民も関係なく、皆でテラスの花を切りせっせと押し花にしていく。

次の日は全員で紙の間に挟まれ、押し花になる途中のブツを持って図書室へ。

押し花を貼り付ける台紙に直に文字を書くのはアドリエンヌ様だけど、各花の情報を調べ、纏めた情報を別の紙に下書きとして書き溜めるのは部員全員で手分けして時間短縮を狙う。

作成途中の押し花を図書室へ持ち込んだのは、間違った花の情報を収集しないためだ。

時間は有限。手間は最小にだ。

花の情報の下書きは『椿 ツバキ科ツバキ属の常緑樹。照葉樹林の代表的な樹木。花は萎れずに地面に落ちる。薬用や食用にもなる。実から採れる油は料理にも使えるが、髪に艶を出す時にも使われる高級な植物油。花の色は赤や白があり、葉は濃い深緑で光沢がある』と言った具合にその特徴を書きとめ、産地や種蒔きの時期、開花の時期などの情報も追加していく。

結構な数の花を押し花にしているので調べなければならない情報もてんこ盛り。

それを人海作戦で乗り切ろうとしているのだ。

「クリスマスローズ、誰かやってる?誰もいないの?じゃあ、私が調べるわね」

「スイセンは誰?」

「あ、俺」

「なら、シクラメンは?誰もいない?じゃあ、僕がやるね」

なんてやり取りを繰り返しながら作業を進めていたら、とうとう金曜になった。

ウチの店は予約で満席だからあややクラブの面々を呼ぶのも難しい。

でも、お茶の時間から少し遅らせた時間で、夕食の前までならばテーブルは空いているのだ。

お客様ではなく、私の仲間枠で食事をするので内容はフルコースでもハーフコースでもティータイムであっても良いのだ。

最大の目的は直に温室の花を見て採集する事なのだから。

ということで土曜の午後、ティータイムのお客さんが半分になる頃、闇王様の所とアドリエンヌ様の家の馬車2台でメンバー全員が家へ来た。

ふっふっふっふ~。

もちろんガスペール先生は呼んでないよ。

日頃が往生なのだよ。

「いらっしゃい。少し遅いけどおやつを用意しているので温室へどうぞ」

よく考えてみたらアドリエンヌ様以外のメンバーは一度はウチに来た事があるんだよね。

案の定、他のメンバーは落ち着いていたんだけど、アドリエンヌ様はウチの庭や店を見学し、最後に温室の中に入ると大きく口を開けてポカーンとして、その後は忙しなく周りを見回していた。

うんうん、初めて見ると驚くよね。

まずは遅めのティータイムを楽しみ、その後そのまま温室で花の採集をしてもらうつもり。

ちゃんとしたお食事にならなかったので、御詫びのつもりで練り切りなどのお菓子もお土産用に用意しているから、それも渡さないとね。

いつも部室で使う食材は闇王様んところのだから、偶にはウチの食材で作った物もごちそうしたいんだ。

花びら餅やイチゴ大福など、冬を連想させる綺麗で可愛いお菓子のオンパレードなのだよ。

入れ物はアイスボールクッキーの大きい方の缶だ。

缶の底にお菓子が引っ付かない様、小さなすのこを敷いた上に軽く載せてある。

まぁ、お土産よりもまずは今から食べるティータイムのお菓子の方が大事よね。

サブリナが皆の上着を受け取り、私は空いてる席にみんなを誘導した。

温室に置いてあるテーブルは4人掛けなので、2つのテーブルをくっつけて並べてもらった。

「なんと言うか・・・・ここはちゅごいでしゅね」

「冬でも春の暖かさだろう?」

闇王様が自分のモノでもないのに、少し誇らしげに説明している。

「アドリエンヌ様、おやつの後にどの花を採集するか決めましょうね」

そうすると、アドリエンヌ様は座ったまま顔をあっちこっちに向け、どんな花が咲いているか確認するのに忙しい。

「どの花も採取していいのでしゅか?」

「ウチの温室にしかない珍しいものは本来の目的から外れるのでダメですけど、時期外れで咲いている物は大丈夫ですよ」

部室のテラスに春や秋に咲いているだろう花を求めてウチに来ているのだから、テラスに無い花を採集しても意味がないのだ。

「う~~ん」とアドリエンヌ様はとても残念そうだ。

「ここで咲いている珍しい花の殆どは、もう少ししたら実を結んでウチの食材になるんですよ。それに元々テラスに無い花なら押し花にしても意味が無いのですから、時期外れの物に限定してくださいね」と言うと、無言で頷いてくれた。

今日のおやつは色んなケーキで、好きなのを選んでもらう事にした。

ナスカが作ってくれたイチゴのショートケーキ、ブッシュドノエル、キャラメルナッツのパウンドケーキ、オレンジムースのケーキやピーチジェルのケーキなど、目にも鮮やかだ。

普段はここまでたくさんの種類を一度にお店には出していないのだが、今日はクラブのみんなの為に3つくらい種類を増やしてもらったのだ。

ナスカに申し訳ないとも思ったけど、「お嬢様に新しいケーキを教えてもらえる機会は、ありがたいので、私喜んでいるんですよ」とにこやかに応えてくれた。

ナスカ、ほんま良い子や。

「オレは全部を少しずつ試したい」

闇王様がそんな事を言うと、みんなが右に倣えで同じ様に注文した。

もちろん私もね。

温かいお茶とプチケーキサイズに切り分けられたケーキのアソートを食べ終わると、次は花選びだ。

チューリップやヒヤシンス、ガーベラなど押し花に向かなそうな物が主になりそうだ。

コスモスは花びらが薄いし紙の上でペタっと置きやすいから失敗しなさそう。

皆でワイワイ言って、こっちのが良いだの、ダメもとでもやってみるなど言いながらあらかた花を採集し、最後に用意していたお土産を渡すと、みんな満足そうに馬車に乗って帰って行った。

本当はみんなにエイファーを紹介したかったんだけど、もうちょっと大きくなるまでは外部の菌にあまり触れさせたくないんだよね。

菌にはちょっと敏感になってて、虫歯菌を貰わない様に父さんにも母さんにもエイファーで口移しで何かを食べさせないでねって強くお願いしているくらいなんだから。

だから今日はメグもお泊りではなく、ちゃんと寮に帰って行ったよ。

何はともあれ、押し花作戦、上手く行くと良いなぁ~。