作品タイトル不明
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大公様の宿題のプレゼンが終ると、父さんたちはとても褒めてくれた。
「ここまでスゴイ事を考えていたとは・・・・」と地球の高級ホテルの絵を見ながら唸っていた。
「ランディ、もしポンタ村かその近くで建てる時は、伯父さんに相談するし、もしかしたら『熊のまどろみ亭』をこういう絵の様な宿屋にしたっていいんだよ。ウチのお店も最初は大公様のお金と人脈で建てたんだけど、1年しないくらいで可成り返済できたんだよ。だから、最初に大公様のお金で建てて、儲けが出たら貯金して、大公様に払えば、宿屋は伯父さんの物になるという可能性もあるんだよ」
「でもそれって・・・・家族だけ宿屋をするんじゃなくって、ここのお店みたいに大勢の人を雇うんだよね?」
「そうだね。そうなるね」
「う~ん。今、フェリシアが手伝いに来てくれてるんだけど、知らない人を雇うのはちょっと嫌かも」
「そっか。なら、平民をターゲットにした宿屋っていうのでいいんじゃないかな?」
「そうだね」
「まぁまぁ、あなたたち、まだポンタ村辺りに大公様の宿が建つ計画すらないんだから、今心配しなくても大丈夫じゃないの?」
「母さんの言う通りだぞ。さぁ、そろそろ夜の賄いになるから、下へ降りよう。お前もたまには下に降りてみんなと一緒に食べなさい。エイファーは私が連れて降りるよ」と父さんが母さんの背中を優しく押した。
出産するまでは階段を転げ落ちるのを避けるため、母さんは出来るだけ3階だけで生活していたんだけど、もう身軽になったんだから、母さんもみんなの顔を見たいだろうしね。
「うわぁぁ。赤ちゃんだ」
父さんがエイファーを腕に抱え地下の居間に入るなり、ナスカは孤児院でも赤ちゃんをたくさん見ていて小さい子の面倒を見て来たらしく、エイファーを見て顔を綻ばせた。
「かわいい~♪、赤ちゃん、大好きなの。孤児院でも赤ちゃんの世話は手伝ってたのです。赤ちゃん、奥様やお嬢様と同じでバターブロンドの髪なんですね」
すぐにエイファーに手を伸ばして、優しく頭を撫でた。
「じゃあ、ナスカの手が空いている時は、エイファーの世話を見てもらおうかしら。よろしくね」
「はい!奥様」
「もちろん、子守りはお仕事じゃないので、ちゃんとアルバイト代を出すわよ」
「やったーーー!」
このやり取りを微笑ましく見ていたマルタ伯母さんが「さぁさぁ、冷める前に賄いを食べちゃいましょう。レティシアもゆっくり食べて。ご飯の間、エイファーは私が見てるからね」と父さんからエイファーをもらい受け、膝に乗せてあやし始めた。
私が構うとすぐ泣いちゃうエイファーだけど母さんや伯母さんがあやすと直ぐに泣き止む。
解せぬ・・・・。
賄いが終ると父さんに頼んでランディと孤児院へ連れて来てもらった。
ランディが王都にいられるのは後2日だから、伯父さんの次の休みまでは待てないからね。
本当は冬休みの間ずっとこっちに居て欲しいんだけど、ウチと違って『熊のまどろみ亭』は年末年始は営業をするらしく、相当数のお客が来る事を見込んでいて、ランディという働き手が必要なんだって。
実は奉仕活動の時はトム伯父さんが一緒なので、父さんと一緒っていうのはちょっと慣れずに落ち着かない。
「今日は半日だけなので、簡単な掃除くらいだけになるけど食糧だけはしっかり持って行くから安心してくれ」と私の方を見て父さんが頭を撫でてくる。
「うん。わかった。ランディも一緒にお掃除しようね」
「おう」
孤児院へ行くと、院長先生に諸手を挙げて歓迎され、いつも通りにお掃除の奉仕活動を始めると、ホットドッグの販売をしている子たちに直ぐ囲まれてしまった。
「お嬢様!ホットドッグ、とっても売れてます。でも問題があります」
「え?問題?」
「一種類しかないので、二つ以上買いたい人たちから別の味のはないのかって言われるんですよぉ」
そんな風に孤児院の子たちと話をしているのを見てランディが「相変わらず、リアは色んなアイデアを出してるんだな。ウチの店もリアのお陰で商売繁盛しているしな」と感心した様に頷いている。
やめてよぉ。照れるジャマイカ。
「でも、最近、父さんが新しい料理を作り始めたんだよ」
「え?マノロ伯父さんが?」
「そう。天火を使った料理を増やすんだって張り切ってるんだ」
「どんな料理を作ってるの?」
孤児院の子たちの質問攻めが終ったと同時に隣り合ったテーブルを拭きながら『熊のまどろみ亭』の話になったのは、昨日の大公様の宿題のプレゼンで『熊のまどろみ亭』について考える事が多かったからかもしれない。
「リアが裏庭でいろんな植物を育ててくれてただろう?」
「うん」
「あれからも『麦畑の誓』の皆が村に帰ってくる度にいろんな苗とか枝とかを持って来てくれたんだ。あっ、料金は父さんが払ってる。だって、『熊のまどろみ亭』の為だからね。当然父さんが払うべきなんだ。でね、その中からちゃんと育ったものの中に、お肉と一緒に焼くと美味しいのがあってね、今はその草をフェリシアの所に頼んで大量に育ててもらってるんだ。お肉の香草焼きってメニューで結構売れてるんだ。あっ、前にリアが植えてくれてた檸檬も本数を増やして焼いた肉に檸檬をベースにした汁を掛けて出すのも人気なんだよ」
「おおお!マノロ伯父さんすごいね」
「うん。何かいろんな草とか実とかをちょっとずつ試して漸く2皿作ったって感じだけど、あの努力を見てたら素直にスゴイって思ったよ」
「うんうん」
簡単な掃除が終わり、調理場へ食材を置くと「院長様、今回は短い奉仕活動で申し訳ない。また、お店が休みの日にいつものメンバーで寄せさせて頂きます。今日は小さな子の面倒をみるところまで手が回りませんでしたが、次回はパンクも一緒だと思うので楽しみにしていて下さい」と父さんが挨拶をして孤児院を辞した。
そうなのだ。パンクはお掃除とかお料理はお手伝いしないんだけど、ちびっ子たちの人気者なので、パンクが来ると孤児院のスタッフの手がちみっ子たちから離れるので、普段溜まっている仕事が出来るらしく、孤児院のスタッフにとっても人気者なのだ。
家族や親戚には不愛想なのにねぇ~。