作品タイトル不明
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どこのクラブも新入部員が入部する時期が終り、普通に活動を開始して夫々のクラブに慣れた頃になった。
「タムタムとパリィ、今日から本格的に錬金術を学ぶ事になる。今までは色んな金属のインゴットを作る事から始めたが、今日は自分たちだけで作る最初の課題を出すつもりだ」
オスカル新部長がたった二人の新入部員に錬金術のいろはのいを教えている。
「最初の課題って何にするつもりなの?」とボブに聞いたら、「僕たちの時と同じネームプレートにするつもりだって部長が言ってたよ」という答えが返って来た。
あれって良く考えて出された課題だと思うんだよね。
開け閉めするドアに付ける物だがらあまり重い物ではダメだ。
つまり条件に合わせて素材を決定するプロセスを学ぶという事だ。
次にデザインだが、自分の名前だから既存の図面などをそのまま流用する事もできない。
要するに設計図の引き方を学べるのだ。
そして模様や字体など、デザインの中には物の形だけでなく色や書体などという伏兵も潜んでいる事を肌で学べるのだ。
今年の新入部員二人はどちらも魔法スキルを持っていないので、錬金術の機械を使う時は魔力持ちの先輩が力を貸す事になっている。
今は先輩がいるから良いけれど、彼らが3年になってクラブ活動の一番上の学年になったら後輩たちに魔力提供を頼まなくてはいけなくなるので、オスカル新部長として後1人魔力持ちの新入生を獲得したかった様だが、世の中そうそう思った通りには行かないのだ。
しかし、何故クラブ活動の最高学年が4年生ではなく3年生かというと、4年生になると就職先を探さなくてはいけなくなるので実質クラブ活動に参加できなくなるのだ。
しかも、たまにしか参加できなくなると、部長は3年生となってしまうが、前部長にちょくちょく顔を出されてしまうとクラブ内の統率が取れなくなるという過去の経緯で、全てのクラブが3学年までとなっている。
あややクラブみたいな特殊なクラブはどうなるのかな?
4年生になったら誰もあそこへ行かなくなるのかな?
なら、私、寮じゃなくて部室に住みたいなぁ。
なんて馬鹿な事を考えていたら、「リア、こっち~」と勇者様がテーブルの一つに着いて手を振っている。
メグたん以外にも2年生部員が全員揃っている。
ボブは今日はお役目御免でオスカル部長が新入部員の担当なのね。
「ねぇねぇ、皆、宿題を考えて来た?」
メグたんがワクワクした感じで即売会で売る物について話し始めた。
「俺は、まだ何を作ればいいのか思い浮かばないんだよね」
「僕は、この前リアに言われた動画?動く画像を録画できる機械を作ってみたいんだけど、でも大仕事で1年や2年で作れるとは思わないんだよね」とボブは若干眉を寄せている。
大仕事になるって思ってるんだね。
私も恐らくそうなると思うよ。
でも、ボブと彼の実家の工房に期待!
ランビットはボブの言う、動く画像をうんぬんと聞いてワクワクしている顔をしている。
恐らく彼もこういう難しい機器に挑戦してみたいんだと思う。
「う~ん、この前皆のお陰で念願の時計を作る事ができたので、他と言うとボブから聞いた声とか音だけを遠くに発信する機械かな。ただ、これもボブの動画?っていうのを記録する機械と一緒で、直ぐにどうこうは出来ない気がするんだ。これ、元々はアウレリアの案だって聞いたぞ」
ランビットが言っているのはラジオの事だと思う。
トランシーバーじゃないよ。
そうか、ランビットは既に今後作りたい難しい機器についてボブとは話し合っていたんだね。
「私はね、2つ案があるの。リアが点心を作る時に使ってる蒸し器?アレを作って売ったらどうかなって思うの。もう一つはおままごとの道具かな。点心は美味しいけどリアしか作らないでしょ?だから試食と込みで蒸し器を売るの。でも、今回5人で一緒に作るなら、素敵なお皿とか鍋とかいろんな種類をたくさん作れると思うので、そっちもいいかなぁって。それだとデザインや色もたくさんあって、お客さんも選ぶのが楽しいって感じでいっぱい買ってくれるんじゃないかなぁ」
「色々考えてくれてありがとう。まず、メグの最初の案なんだけど、俺が思うに前にボブが作った掃除機と同じ結果になりそうな気がする」
「ん?フェリーペ、同じ結果って?」
「いやぁ、掃除機って掃除するのにとっても便利だけど、貴族本人が使う物じゃないから、高いお金を出してまでは買わないってことかな~」
「私もそれは考えたんだけど・・・・」
メグたんがフェリーペに結構食い下がっているのを見るのは珍しいので、じっと二人のやり取りを見てみる。
「結局ね、点心ってアドルフォ様たちが食べても美味しいと感じているみたいだし、今までに無い料理だから、試食してもらって美味しいとなれば、買ってもらえるんじゃないかなって思ったの」
「あっ!それに蒸し器ならお値段も安いから、まぁ、買っておこうかってなるかもね?」と、勇者様に同意はしてみたけど、蒸し器なら錬金術じゃなくて金物屋さんでも作れる気がするんだよねぇ・・・・。
「そうなの!私もリアと同じ様に考えたの」
「となると、この案を採用すると蒸し器を作る事より、如何に試食品を作って、食べてもらって、買うところまで持って行くかって事になるのかな?」
フェリーペはどうもこの案にはあまり賛同していないみたいだ。
声のトーンで何となくそういうのって分かるよね。
「私ね、実はメグの2つ目の案がとっても気になるの」
「え?でも2つ目の案は女の子しか楽しめないぞ。大人は論外だろうし・・・・」
「いやいや、フェリーペ君!そう考えるのはまだ早いよ」
「ん?何?リアには何か案があるの?」
「もちのろん!」
4人の眼差しが一気にこっちを向いた。