作品タイトル不明
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日曜の夜に寮に戻った。
夕食を食べ終わり、父さんたちに大いに甘えた後に、辻馬車に乗って移動したのだ。
今回、父さんたちが私についてどう思っていたのか、言い換えればどんなに心配してくれていたのかが分かり、申し訳ない気持ちと嬉しいという気持ちで何かずっと雲の上でフワフワしていた感じだった。
大公様との面談の夜、一緒に食卓を囲むとかではなく、態々親子3人で雁首揃えて話す機会を設けられた。
幼い頃理由があったとは言え親の手元から離してしまったこと、出来の良い娘の歩みを妨げる事無く伸ばしてやりたい気持ちと、世間から異端と見られて私が苦労するのではないかということ、自分たちは親と言えど平民なので何かあった時にどれくらい私を守ってやれるか不安だったこと、大公様がいらっしゃるので強い拠り所があるという安心感等の間で、結構揺れ動いていたと父さんがポツリポツリと言い淀みながらも告白してくれた。
母さんも同じ様に思ってくれていたそうで、私の頭を撫でながら「アウレリアの好きな様に生きなさい。私たちが精いっぱい守るから」と言ってくれた。
でも、私は前世や前々世の記憶を持っている事は最後まで打ち明ける事が出来なかった。
今でさえ、それが心配という形であれ、他の子供と比べて異端として見られているのならば、そこへ更なる燃料を投下するのが怖かったのだ。
全てを打ち明けられない申し訳なさと、父さんも母さんもずっと私の事を大事に思い心配してくれていた事を心底ありがたいという気持ちが自分の中に混在しているのだが、何より親の愛を感じる事が出来て嬉しかったのだ。
「これからも突飛な事いっぱい思い付いたり、やっちゃったりすると思う。迷惑を掛けてごめんなさい。でも、ずっと父さんたちの娘でいたい」
そう言うと、父さんと母さんが抱きしめてくれた。
この二人の娘でいたいという言葉の本当の意味を二人ともちゃんとくみ取ってくれたみたいだ。
寮に戻った翌朝、すがすがしい気持ちで寮のベッドで目覚めた。
直ぐに身支度して、1階の食堂へ降りたら既にメグはいつものテーブルに着いていた。
「おはよう~」
「おはよう。良く眠れた?」
なんて挨拶しながら食べていると、男子2人も同じテーブルに着いた。
「土曜に大公様に試食してもらったんだろう?で、どうだった?」
フェリーペって堪え性が無いのか、すぐ直球で聞いてくるんだよね。
まぁ、いいか。
「うん、メインの肉の量を増やしたらOKだって」
「うわぁ~、すごい!リアが一人で考えたメニューなんだよね?リアって一発合格?」
いつもの様にメグの反応は屈託がない。
「うん。そういう言い方をすると一発合格かな。えへへへ」
「お前、すげぇぇ」
これから晩餐会までは、伯父さんたちに何度も晩餐会のメニューを練習してもらい、来週末、家に戻ってどこまでモノにしてくれているかのチェックをする事を繰り返す事になる。
「お前ってさ、何か苦手な事って無いの?」
「え?」
「だって、勉強だって学年1位をずっとキープしているし、料理も上手いし、大公様の精鋭の一人だろ?イベントなんかもいろんな案がポンポン出て来るし、部室の内装だってあれだけ居心地の良い部屋を作れるってすごいことじゃないか?」
「うん、リアはすごいよね」
「フローリストガーデン 光もすごい」
あ、なんかボブはウチの店がすんごいお気に入りだよね。
「苦手な事?う~~~ん」
3人が身を乗り出して見つめてくる。
「う~~~ん、ないかも!?」
「「「うっはー!」」」
3人が仰け反った。
あははははは。
「マジでいろいろ苦手な事ってあるけど、貴族が苦手かなぁ~」
「お、おい!大きな声でそんな事言ったら・・・・」とフェリーペがしきりに自分の肩の後ろの方へ首を振って、同じ食堂の中にいる貴族の方に私の注意を向ける。
「平民で貴族が苦手じゃない人はいない」
うっほぉ、ボブから至言が出たよ。
「だよね~」なんて言ってたら、メグがぽか~んとしている。
「メグは苦手じゃないの?」
「ん~~~と。ウチのクラブは貴族が多いじゃない?」
あややクラブの方の事だね。
うんうんと無言で頷くと、「みんな優しいよね。貴族だからどうとか、平民だからアレやれとかが無いから、今はあんまり苦手意識は持ってないかな~」なんて呑気な事を言う。
「ええええ!?去年の今頃、遠足でぶつかった挙句、クリサンテーモに呼び出されて震えていたのは誰かな~?」
「ええええ!リア、ちょっと意地悪だよ」
「ふふふふ」
「だけど、メグ。お前はどこかボンヤリしてるから言うけど、クラブ以外の貴族にはちゃんと気を付けろよ。リアを見て見ろよ。親が勤めていた事があるってだけで、あの煩いのにつき纏われているだろ?それでもこっちからそれをやめてくれって言えないんだぞ。基本、俺たちは如何に貴族と関わりを持たないかが成功の秘訣だ」
うほぉ、都でも一二を争う商店の息子が、貴族と関りを持たないメリットについて話すってどうなのかな?
顧客の多くは貴族ではないの?
そう思っている事が分かったみたいで、たくさんの貴族が顧客であれば店としての箔が付くが、同時彼らの無理難題に悩まされる事や、身分はあっても金を持たない貴族をどうやって避けるかなんかに相当頭を悩まされるんだぞと言われ、商人も大変ねぇって思っちゃった。
「お前んところの店だって、顧客の殆どは貴族だろ?ウチと同じ様な感じじゃないのか?」
そう言われてはじめて、ウチの店ももしかしたら色んな苦労をしながら経営してくれているのかもしれないと思った。
私の見えない所で父さんたちがしっかり私や店を守ってくれていたのかもしれないと思い当たった。
「まぁ、お前の所は大公様の後ろ盾があるから俺んところ程大変じゃないかもしれないけれどな。でも、まぁ、後ろ盾があったとしても平民にとっての貴族は厄災以外のなんでもないぞ」
うん、大公様には足を向けて寝れないよ。