軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第824話 チームシア⑦究極兵器バスク戦(5)

ペクタンの覚醒スキル「無敵茸」を使用し、ダメージを無視した攻撃のできるドゴラを最前線に十英獣たちの攻撃が続く。

『け、調子に乗るな!!』

ラゾの攻撃を腹に受けたバスクが怒り任せに両手の斬撃を振ろうとする。

『むん! させるか!! 火山大爆発(グレイトボルケーノ) !!』

だが、この時のタイミングのために取っておいたエクストラスキルをホバも開放する。

シアの神技「獣神化」の影響で 獣帝化(フルビーストモード) になったホバの大槌が床石に叩きつけると溶岩と真っ赤に焼けた無数の岩石がバスクを襲い掛かる。

『がは!?』

『おいおい、やべえぞ! 攻撃するなり、逃げるなりしろよ!!』

『分かってるぜ!!』

足元から超高熱の溶岩による攻撃を受けているバスクに対して、シアと十英獣は攻撃を止めたのだが、ドゴラだけは構わず突っ込んでいく。

火の神フレイヤの加護があり、火属性による攻撃はダメージを吸収し体力回復できるため、同士討ちでフレンドファイヤの被害を受けない。

こちら側の攻撃が止まりバスクに新たな選択肢を与えるわけにはいかない。

バスクが逃げれば、また強力な敵となって自分や仲間たちが襲われるかもしれない。

既に一度転移で逃げかけたバスクをここに止める必要がある。

『もう、余裕がないみたいだな! 奥義「無鉄」!!』

魔剣オヌバを振り上げたバスクに対してドゴラが奥義「無鉄」を発動した。

『ぐ、くそがっ! がは! う、腕が!!』

耐久力、耐性を無視したドゴラの奥義「無鉄」は、最初に発動したのと変わらない威力でダメージを受けて内臓がはみ出し始めたバスクの腹から肩に向かって切り裂いていく。

肩を抜けて切り裂き飛び上がったドゴラは、最終的に上段に構え、振り上げている魔剣と繋がるバスクの手首を切り裂き、攻撃の手段を奪った。

これで回復する最終魔造兵器ギイと転移する足輪を破壊し、魔剣オヌバをバスク本体から切り離した。

垂直に落下した魔剣オヌバはそのまま刀身の半分以上を床石にサクリと突き立てた。

奥義「無鉄」を使い終わりドゴラが自然落下する中、白金の刃が輝きを増していく。

斧神バッカライから預かりし左手で握りしめる神器ヘラルドに霊力が込められていく。

これまで取っておいた秘奥義を使う場面であるとドゴラは理解していた。

『……秘奥義「魔壊」!!』

ドゴラの腕は無数に生えたように、圧倒的な速度で神器ヘラルドを高速で振るう。

『ぐぴゅああ!?』

ドゴラが振るう32回連続攻撃による斬撃はバスクの体力だけではなく一瞬にして魔力も削っていく。

スキルの発動すら阻害するドゴラの秘奥義「魔壊」は、バスクの行動をさらに制限する。

『こ、こんなことで! 最強のこの俺が!!』

だが、究極兵器になったバスクの肉体はステータスが高く体力をこれだけでは全て削れられない。

『よくやった! あとは余が! 秘奥義「無牙」!!』

奥義「風獣」からのコンボは未だに繋がっており、シアは秘奥義「無牙」を発動した。

まるで飢えた獣となってバスクの腹に向かって襲い掛かった。

手足それぞれの神器と神獣化して凶悪になった犬歯を使って連続攻撃を繰り出すシアの全身は、バスクの吹き出した返り血で染まっていく。

あまりの衝撃に仰け反りながらもバスクの戦意も殺意も消えようとしない。

『間もなく倒せるぞ! 攻撃を緩めるな!!』

攻撃回数の多い秘奥義をドゴラとシアが行使している間にもホバは他の十英獣に檄を飛ばし、近距離から攻撃し続ける。

『俺は修羅王バスク! 最強の俺様がお前ら雑魚に負けるわけないだろうが!! うおおおおおおおおおおお!!』

左腕の大剣のみとなったバスクが血反吐を吐きながらも戦意を失わない。

ボロボロになった腕に魔力を込め、攻撃しようとする。

だが、コンボは攻撃の連続回数はドゴラとシアの秘奥義のおかげでとっくに100回を超えていた。

『……貴様の負けだ。ふん! 獣王無限爆散拳!!』

全身に霊力がゆらゆらと巡るシアが飛び上がり空中で、正拳突きを繰り出した。

ドンッ

バスクの血まみれの腹にコンボ100回で使用可能な、シアの神技「獣王無限爆散拳」の衝撃が波紋を広げながら吸収されていく。

攻撃は終わったと言わんばかりにその場に立ち尽くすシアに対して、こめかみに皺を寄せて、バスクが吠える。

『何勝ったつもりでいるんだ! おらああああ!!』

バスクは勝ち割ろうと大振りの斬撃を繰り出すと、膨大な魔力を込めた大剣を振り上げた。

だが、シアの神技の力が全身を駆け巡る中、バスクが大剣を振ることは叶わない。

バアンッ

『う、腕が!?』

バスクの体内に巡る霊力が左腕の肘の部分に集まり、肉体を突き破って爆散する。

バアンッ

『こ、この俺が!? ぐぴゅあああああ!!』

絶叫するバスクに対して全身の四肢、頭部、腹部に至るまで全てを内部から破壊し、血肉を飛び散らせる。

だが、魔力も生命も失った血肉は火が付き、灰となってシアたちの前に降り積もっていく。

『魔神王バスクを倒した』

魔神王であり究極兵器となったバスクをシアたちはとうとう倒した。

『ふむ、上手くいったな。アレンの策のおかげだな』

「はあ、疲れた。まったくだぜ。俺のスキルと相性がいい、ペクタンを寄こすとはな」

30分掛けて皆で扉を攻撃している間に、破壊できなかったことを想定して、3パーティーに分けるベストな方法を考えていた。

結果、他連撃の神技を持つドゴラ、ドゴラのスキル「戦破陣」と相性の良い覚醒スキル「無敵茸」を持つペクタンを、必殺の神技「獣王無限爆散拳」を持つシアたちに振り分けた。

『ったく、それにしてもこんなに時間をかける必要もなかったんじゃねえのか』

『万全を期したのは我らのことを思ってからであろうが!!』

『ぐ、ぐるぢい……』

ホバが不平不満の言うレペの首を背後から両手で掴み、ギリギリと締める。

シアにはコンボの回数を重ねると対象をデバフをする神技がある。

何度でも重ね掛けで対象にデバフを掛けることができるので、万全に万全を重ねて、何度も逃げるバスクを絶対に逃がさない。

デバフが重なればその分弱くなり、百戦錬磨のバスクなら警戒しようものだが、守りの要のルバンカがやられてことによって、さらにバスクが油断する形となり、脱出の判断を遅らせることができた。

『……』

床に突き刺さった魔剣オヌバが気配を消して、ただの突き立てられた剣のように静かにシアたちの様子を伺っていた。

バスクはシアの神技「獣神無限爆散拳」で吹き飛んだが、バスクの腕と一体になった肉体部分は灰となって消えたのだが、刀身自体は破壊されずに済んだようだ。

『よし、反省会も勝利分析もこの辺にしておこう。ルプト様を助けるぞ!!』

「ああ!!」

シアたちは皆で囚われたルプトの下へと駆け寄った。

地面から半球状の鳥かごか檻のようなもので囚われたルプトは口に呪符のようなものを当てられていた。

シアたちがやってきたことは分かるのだが、生気を感じられず、虚ろな表情でこちらを見つめている。

『こ、これは……。ルプト様、失礼いたします。うわっ!?』

バチバチッ

創造神エルメアに仕える第一天使ルプトに対する行動としては非礼な、剣先で格子状に組まれた檻の部分にハチが謝罪しながら恐る恐る触れると、魔力による防壁なのか、弾ける音を立てて弾き飛ばした。

『け、結界か……。これでは手は出せぬな』

吹き飛ばされた剣を取りに行くハチを見ることなく、どうするのかとホバが困惑する。

「へっ。目的のルプト様が囚われているんだ。破壊するしかないだろ! おら!!」

『うむ、我らも破壊しよう』

皆で扉を破壊したようなノリで鳥かごのような檻を破壊しようとする。

カッ

ブウウウウン

完全に頑丈な檻ではなかったようで、拉げ壊されていく。

檻がまるで最後の抵抗を示すように魔法陣から幾何学模様の文字が現われはじけ飛んだ。

広範囲に広がった文字はシアたちの体を通過していく。

『……何か文字が通過していくな。だが、ひしゃげたな。どうやら、我らの力なら破壊できるようだ。皆、ルプト様に危害がでぬよう破壊するぞ!』

一瞬怪しく思ったが、痛みもなければ、何かの攻撃を受けているわけでもないので構わないことにし、ルプト救出を優先する。

『は!!』

シアはこんなこともあって神技「獣神化」を解除していない。

ルプトは発見できたが、ここは魔王城でまだ戦いは終わっておらず、魔王など戦わないといけない強敵は多い。

2時間弱になったとはいえ、次の神技「獣神化」の発動までクールタイムがまだまだ1時間近くある。

また、ロザリナのバフが切れてしまったらバフの時間もクールタイムもさらに伸びてしまう。

十英獣がぐるりと檻を囲み、武器を握りしめる。

バキッ

ドゴッ

どかどかと攻撃すると金属質な檻は格子部分が拉げ、砕けていく。

バスクと戦った戦いの疲れも癒えぬままシアたちは10分とかけず、強力な魔力で込められた檻を破壊できた。

溢れた幾何学模様の文字は魔法陣の消失と共に消えた。

さらに地面から伸びた鎖がルプトの首輪に伸びているので、床から鎖を引き千切り、首から首輪をほどいて自由にする。

「よし、あとは口についている呪符を剥がしてと。もうちょいだな」

最後に口をふさぐガムテープのようにべったりくっついた呪符をメリメリとルプトの口から剥がしていく。

だが、どれほどの吸着力があるのか、頬も唇も強引に引っ張られ剥がされた部分が真っ赤になる。

『それは非礼ではないのか。もう少しゆっくりされよ』

シアが思わずドゴラに対して苦言を言う。

ガサツなドゴラがルプトの口を塞いでいた呪符を力づくで剥がし終わった。

『……た、助かりました。皆さん、ありがとうございます。まだ、頬と唇が痛いですが』

ようやく全ての封印が解除され、自由の身になったルプトが青ざめたルプトの表情から生気がやや戻ってくる。

『いえいえ、助けに来ました。申し訳ありませんが、今の状況など詳しく教えていただきません……。フイ、回復魔法をかけて差し上げて』

『は!!』

元々最終目標の1つであったシアは第一天使ルプトを助けるだけが、ここは魔王軍の中枢である魔王城にいる。

魔王を倒すなり、ルプトを仲間たち全員と脱出させるまで、やるべきことは多い。

スッ

疲労こんぱいの第一天使ルプトを癒していると、この状況を静かに見ていた魔剣オヌバが床石からスッと突き刺さった刀身を引き抜き、宙を浮く。

大広間の端にいるシアたち目掛けて、剣先の刃を禍々しい形に変えた。

『俺を破壊しなかったことを後悔させてやるぜ! まずはお前からだ! ドゴラ! てめえの血を飲ませろ!!』

怨念めいた言葉を発した魔剣オヌバは空中に浮いたまま一気に加速させた。

狙う先はルプトをシアたちといっしょになって囲むドゴラの背後だ。

背後から心臓目掛けて魔剣オヌバが迫るのであった。