軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第749話 シャンダール天空国強襲①※他者視点

第一天使ルプトのスキルによってアレンのパーティー、ガララ提督のパーティー、竜王マティルドーラが一緒に天空国にやってくる。

アレンのパーティーは、ドゴラ、キール、メルル、シア、イグノマス、ロザリナ、ペロムス、タムタムだ。

他の仲間は別の神域で戦っていたり、修行中だ。

「うわ! なんて状況だよ!!」

メルルが城下町シャウパを上空から見下ろして絶句する。

転移した場所は王都ラブールの王城上空だ。

ルプトと3体の大天使で100ヶ所の転移先のうちの1つだ。

巨大なピラミッド構造の王城は視界が広く、いくつかある城下町の一角でシャウパという都市から噴煙が立ち上っている。

『皆さんはシャウパにいる魔王軍の掃討をお願いします!! 神界闘技場があのような状況です。さらなる増援にはまだお時間がかかりますので、何卒お力を!! 私は精霊の園へ向かいます!!』

ルプトは事態の解決のため、他の神域にも応援を要請すると言う。

鬼気迫る表情で自らのなすべきことを優先するルプトは、情報収集と神々や天使の招集が役目のようだ。

本来であれば、魔王軍掃討のため、神界闘技場に応援を要請したいのだが、魔王軍最高幹部の2体であるオルドーとキュベル―、さらに700体に渡る魔神たちがいる。

激戦中でとてもじゃないが、戦力を天空国に寄こすような余裕はなさそうだ。

武具8神や闘神3姉妹に比べたら最高戦力からは次点とならざるを得ないが、精霊の園にいる大精霊神イースレイと精霊たちに協力を要請すると言う。

255柱もいると言われる神々であっても、全てが戦闘に特化しているかと言われたらそれほど多くはないようだ。

剣神セスタヴィヌスに呼ばれて、勇者ヘルミオスの試練から開放されたかと思った早々に魔王軍との戦いとなった、ドゴラたちが竜王マティルドーラの背に乗り、状況を確認する。

メルルを乗せたタムタムが目をチカチカと光らせ、城下町での状況を確認し音声を発する。

『かなり危険な状況のようです。多数の竜人と神界人が被害を受けています。特殊用石板「隼」をはめてください。急行が必要だと判断します』

「行こう、火の手の下へ。タムタム! モードファルコン!!」

メルルを乗せたタムタムが素早さに特化した流線形の隼のように羽を広げた姿に変えていく。

翼にはそれぞれ大小2つのジェットエンジンを搭載し、ゴオオオッと音を立て、火を吹き出した。

『儂も急いで向かう故に、落ちるでないぞ!!』

「ひえええ! こんな所に突っ込むの!?」

ペロムスが恐怖のあまり泣き出すが、誰もフォローして上げれない。

マティルドーラは竜人たちの危機を感じたのか、老齢であるとは思えないほどの筋肉質な背中から生えた翼を羽ばたき始めた。

「お前ら、ここからが本番だからな!!」

「へい!!」

魔導拡張端子で20枚になったガララ提督とそのパーティー14人は、特殊用石板「鷲」と巨大化用石板、超巨大化用石板をはめ、一気に戦場となった城下にある街の一角へ急行する。

『急ぎましょう!!』

「うん! 先に行っているから! いくよ! タムタム! スピードスターだ!!」

ガララ提督たちが特殊用石板の「鷲」を選択する中、メルルは「隼」を選択した。

特殊用石板は魔導盤や魔導キューブの枠を5つも消費するが、ステータスを増やしたり、機能を1つ追加してくれる。

ダンジョンマスターディグラグニとの戦いに勝利し、魔導キューブを獲得し、タムタムに生命を与えられ、大地の迷宮の試練を超えてきたタムタムには膨大な魔力がある。

超低燃費で魔力を膨大に消費する特殊用石板「隼」の使用を可能にする。

【機能「ジェットブースター」が付与される特殊用石板名(読み)と機能発動時の効果】

・ 鷲(イーグル)

・ 馬(ホース)

・ 人鳥(ペンギン)

・素早さ5000増加

・移動速度1・5倍

・消費魔力秒間10

【機能「スピードスター」が付与される特殊用石板名(読み)と機能発動時の効果】

・ 猟豹(チーター)

・ 隼(ファルコン)

・ 旗魚(マーリン)

・素早さ30000増加

・移動速度3倍

・消費魔力秒間1000

「お、おい、1体じゃあぶねえぞ!!」

「あとで来てね!!」

移動速度の桁が違い、ガララ提督や竜王マティルドーラを置き去りにし、タムタムが轟音と共に城下町シャウパに向かう。

城下町では竜人と共にメルスがバスクと死闘を繰り広げていた。

両手に魔剣オヌバとオリハルコンの大剣を交互に繰り出すバスクに対して、天使B「双剣」を装備したメルスが応戦する。

城下町では建物は魔神たちに破壊され、神界人の悲鳴がいたるところで噴煙と共に上がる。

アレンが天空国を任せたメルスが召喚獣を40体ほど召喚し、応戦するのだが、魔神であってもバフを受けて10万近いステータスだ。

成長レベル9まで上げ、マクリスのバフを受けても魔神の半分ほどのステータスしかない。

上位魔神のステータスなら4分の1だ。

魔神たち200体の戦力が召喚獣を圧倒しており、虫系統の召喚獣により数を増やしても相手にもならないようだ。

魔神たちも竜人や神界人よりも召喚獣が好き勝手戦えないよう優先して狩って光る泡へと変えていく。

『おら! よそ見してんじゃねえ!!』

攻撃の手を緩めたわけではないが、ステータスやスキルの効果がそのまま戦いに反映されるわけではない。

創造神エルメアにより創造された召喚獣であるメルスであっても、心理的な動揺に、剣筋が乱れ、百戦錬磨のバスクにさらに押されてしまう。

メルスが見つめる先には建物を破壊しながら街中を進むガンディーラの姿があった。

全長300メートルに達するガンディーラの目の周りには魔法陣がいくつか形成され、視界や視野を拡張させながら辺りを見回している。

何かを発見したのか、城下町の中でもひときわ大きな、校庭のある施設へと近づいていく。

ガンディーラの地響きのような歩みに校舎内から絶叫が広がる。

『落ち着きなさい。皆様には神のご加護がございます!!』

『うえええん! こっちにきたああああ』

この施設は神界人から生まれた天使たちの学校のようだ。

教室の一室で学年ごとに3歳から6歳くらいの天使の子供たちが、大人の天使を囲むように集まり震えて泣いている。

バキバキ

召喚獣や竜人たちの攻撃でもビクともしないガンディーラは、腰をかがめ建物を両手で持つとゆっくりと持ちあげる。

音を立て基礎から持ち上げられた校舎をガンディーラが、建物内を覗き込むように顔を近づけた。

『うわあああああああああああ!?』

『いやあああああああああああ!!』

子供だけではなく大人までも絶叫し、この世の終わりのように泣き叫ぶ。

『……該当者なし。成長した天使しかいないようだ。処分する』

窓から覗き込み、魔法陣を生成しながら、全ての天使たちを何らかの計測をしたが、目的は達成できなかったようだ。

おもむろに持ち上げたところ、他の建物同様に投棄するようだ。

このタイミングでメルルが城下町上空にやってきた。

「む? なんだ、この状況は! ひどすぎる!! タムタム、あの建物に生体反応を発動して!」

建物内など障害物があっても、敵味方問わず、何がいるのか確認することができるタムタムの機能「生体反応」の発動を指示する。

メルスが接近してきたタムタムに気付いて叫ぶ。

『メルル!! 校舎を!!』

『おっと。メルスちゃん、お前は行かせないぜ!!』

校舎に意識を向けると、バスクが迫り行先を阻む。

『生体反応あり! 巨大ゴーレムが掴む建造物に複数の生命体反応あり! メルル様、画面を切り替えます!!』

人工知能を搭載するタムタムが城下町から速やかにガンディーラが抱える建造物を中心にスクリーンの表示画面を切り替えた。

メルルはタムタムの中で駆動室にいるのだが、メルスがバスク相手に戦っており、自らが動かないといけないことをすぐに理解できた。

「な!? やめろ!!」

メルルが状況を理解し、大声で静止したタイミングで、ガンディーラは腕を上部から振り下ろすように、勢いづけて校舎を遥か彼方へと投げやった。

『スピードスター!! 魔力も霊力も全部消費して全力で!!』

ゴオオオオオオオオッ!!

大小4つのエンジンが吹き荒れ、投げやった校舎をタムタムが必死に後を飛ぶ。

1キロメートル以上離れていた校舎がタムタムの圧倒的な速度によって凄い勢いで接近する。

投擲された校舎まで800メートル……

投擲された校舎まで600メートル……

投擲された校舎まで400メートル……

投擲された校舎まで200メートル……

「間に合ってええええええええ!!」

1秒でも早く追いつこうとメルルが願うように絶叫する。

魔力と霊力をすごい勢いで消費するタムタムが轟音と爆風をまき散らし、吹き飛ぶ校舎に迫る。

しかし、飛んだ先の城下町の外壁に衝突する方が数秒早いようだ。

あまりにも悲惨な結果が予想されメルルが今にも目を覆おうとする。

『メルル注意を! 正体不明の障害物あり! 衝撃に備え……』

「うわああああ!! な、なんだよおおおお!?」

超加速で進むタムタムが全てを話しきる前に目に見えない障害物に当たり、全長100メートル、何十トンにもなる重量があるゴーレム本体は急激に減速し、そのまま後方に吹き飛ばされてしまった。

天高く投げ出されたメルルが理解できなかった。

ゴーレム使いとしてゴーレムがどれほど重いか知っている。

機能「スピードスター」で圧倒的に加速したタムタムがまるで同じ速度で弾き返された。

どれほどの力があれば、そんなことが可能なのか。

それ以上に力技ではじき返されたのにゴーレム本体にダメージはほとんどないようだ。

「校舎が浮いてる!?」

理解できない事と言えば、校舎が巨大な風の玉のようなものに包まれ、城下町の外壁にぶつかることもなく浮いている。

巨大な風の渦がゆっくりと浮き上がり、その下から何人かの人影をスクリーンを拡大すると捉えることができた。

「見たことある天使様だ! ガイア様もいる!! 助けにきたんだ!!」

表示画面を拡大させ、無数の人影をメルルは校舎の下にいる者たちが、神々と天使であることに気付き、安堵の表情を見せた。

『ま、間に合いました。風の神ニンリル様……。ありがとうございます』

大天使アウラが礼を言う先には巨大な建物の周りに強力な風の渦を作り、建物を無傷で浮かしている風の神ニンリルだ。

その横にはゴツゴツとした肉体美を見せる大地の神ガイアと水を無数に周りに浮かせる水の神アクアもいる。

『まったく。いきなり来いって言われて来てみりゃ、とんでもねえことになってんな』

『また、神界に攻めに来るとは。これはしっかりと懲らしめないといけませんね』

ガイアとアクアの言葉にニンリルはゆっくりと口を開く。

『ああ、俺のかわいい子らをこんな目に合わせた者に相応しい罰を!!』

いつものやる気の無さそうな表情とは思えないほど怒り狂った風の神ニンリルがはるか先の魔王軍を睨むのであった。