作品タイトル不明
第535話 10日目 答え合わせ
アレンたちは精霊の園の草原に設けた拠点用魔導具の中にいる。
広い会議室で、仲間たちと作戦の復習、装備や道具袋の中身など最終確認をしていた。
「さて、準備はいいか。ルーク、違和感はないか?」
「ああ、問題ない。まだちょっと熱っぽいけど」
S級ダンジョンにいたころのソフィーと違い、かなり急ピッチでルークの転職が進んだ。
精霊使いの理解が進み、問題ないと判断した上での対応だ。
ルークは体に若干の違和感があるようだ。
「多少知力が足りないのは、大精霊の加護で緩和されるはずだ」
「分かった」
【精霊使いの知力と魔力の関係】
・知力が高いほど、精霊をコントロールしやすくなる
・知力が高いほど、複数の精霊を同時に顕現できる
・魔力が高いほど、精霊の行使する力が上昇する
この4日前に、ルークは星5つの陰陽師に転職した。
さらに、ソフィーとルークはそれぞれ属性の異なる4体の精霊と契約が終わった。
【名 前】ソフィアローネ
【年 齢】52
【加 護】精霊神(加護無)
【職 業】精霊師
【レベル】60
【体 力】3128+3000
【魔 力】4438+3000
【霊 力】7438
【攻撃力】2619
【耐久力】2512+3000
【素早さ】3866+3000
【知 力】4481+3000
【幸 運】4087+3000
【エクストラ】大精霊顕現
【スキル】精霊師〈6〉、水〈6〉、雷〈6〉、空〈6〉、光〈6〉、御霊〈2〉、弓術〈6〉
・装備一覧
【武 器】光源の杖:魔力8000、体力5000、ダメージ軽減20%
【防 具】精霊師之祈衣:耐久力10000、体力5000、魔力5000、物理耐性(中)、魔法耐性(中)、毒耐性(中)
【指輪①】魔力5000、魔力5000
【指輪②】体力5000、体力5000
【腕輪①】魔力1%回復、体力5000、魔力5000、魔力5000
【腕輪②】魔力1%回復、体力5000、魔力5000、魔力5000
【首 飾】魔力3000、魔力3000
【腰 帯】闇属性、知力10000
【耳飾①】魔法攻撃ダメージ10%増、魔力2000、知力2000
【耳飾②】魔力1000、魔力1000
【名 前】ルークトッド
【年 齢】17
【加 護】精霊神(加護無)
【職 業】陰陽師
【レベル】60
【体 力】3180+3000
【魔 力】4449+3000
【霊 力】7438
【攻撃力】3629+3000
【耐久力】2523+3000
【素早さ】3881+3000
【知 力】4493+3000
【幸 運】3099
【エクストラ】飢餓地獄、毒沼津波
【スキル】陰陽師〈6〉、火〈6〉、毒〈6〉、時〈6〉、闇〈6〉、怨念〈2〉、弓術〈5〉、短剣術〈4〉
・装備一覧
【武 器】オリハルコンの短剣:攻撃力10000、攻撃力5000
【防 具】精霊王の衣:耐久力12000、体力3000、魔力3000
【指輪①】魔力5000、魔力5000
【指輪②】魔力5000、魔力5000
【腕輪①】精霊顕現速度半減、闇属性の効果2倍、魔力10000
【腕輪②】魔力1%回復、体力5000、魔力5000、魔力5000
【首 飾】魔力3000、魔力3000
【耳飾①】魔力1000、魔力1000
【耳飾②】魔力1000、魔力1000
【腰 帯】無防御耐性、体力10000
【足輪①】素早さ5000、転移、回避率20%増
【足輪②】素早さ5000、転移、回避率20%増
【ステータス欄等に関わるメモ】
※武器と鎧は試しの門で手に入れたもの
※指輪、首飾り、耳飾りは魔法具師カサゴマの神技によるもの
※ルークはアレンと同い年生まれだが、3月3日生まれのため17歳
※ルークは転職が進む中で、攻撃力の増加が見込まれたため、短剣装備を追加
※ルークのステータス増加スキルの変遷:魑魅⇒魍魎⇒怨嗟⇒怨恨⇒怨念
【ソフィーと契約した大精霊の加護】
・水の大精霊トーニス:知力10000、魔力秒間100ずつ回復(神界は効果なし)
・雷の大精霊ジン:素早さ10000、マヒ耐性強
・空間の大精霊ジゲン:耐久力10000、被クリティカル率半減
・光の大精霊ライト:体力10000、攻撃力10000、光属性付与
【ルークと契約した大精霊の加護】
・火の大精霊カカ:攻撃力10000、ダメージ10パーセント増
・毒沼の大精霊ムートン:体力10000、毒耐性強
・時の精霊クイック:素早さ10000、持続効果2倍
・闇の大精霊ダーク:魔力10000、知力10000、闇属性付与
毒沼の大精霊ムートンはお陰で、無事に毒系統の大精霊としてルークと契約し直した。
『まさか、ライトと共に戦う時代が来るとはな』
(む? まだ戦うと決まったわけではないぞ)
ルークの背中から闇が溢れ、漆黒の外套で身を隠したような出で立ちの男口調の精霊が現れる。
『それはこちらのセリフですわ。トーニスにはまんまと騙されたわ』
ソフィーの胸元から光が溢れ、ギリシャ神話に出てくるような出で立ちの光り輝く女性の精霊が現れる。
『儂は何も騙しておらんぞ』
トーニスはソフィーの中で聞き捨てならないと言う。
精霊師も陰陽師も基本的に1度に1体しか顕現できない。
しかし、ダーク、ライトが勝手に顕現して、不満を漏らす。
精霊の世界にも、属性による上下関係が多少ある。
かなり上位に当たる光と闇の大精霊は気位がとんでもなく高いようだ。
契約を交わして以降、いつから因縁があるのか、ソフィーとルークの頭の上で何かと揉めている。
「さて、準備は完了した。向かうぞ」
(他の仲間たちは修行の途中か。魔王との戦いに備えるなら、このままだが、さてこれが吉とでるか)
5日間の中で、離れ離れになったクレナなど他の仲間の様子も伺ったのだが、現在それぞれの神域で猛特訓中だ。
仲間たちの強化も優先しないといけないため、仲間たちに協力を求めていない。
皆頷いたことを確認したら、2体の大精霊が門番をする大精霊神の山の麓に移動する。
「アレン、私たちはここで待機ね」
「そうだ。セシル。メルスが来たら移動を開始してくれ。フォルマールもな」
「ああ、分かった」
ここでアレン、ソフィー、ルークとセシル、フォルマールは別々の行動を取る。
セシルとフォルマールは山の中腹で待機だ。
フォルマールは静かに、この巨大な山の頂を見つめる。
「フォルマールも問題ないな?」
「ああ、問題ない。ソフィアローネ様をよろしくお願いする。無駄に大精霊神様を挑発するようなことはないようにな」
「もちろんだ」
事を荒立てないよう、フォルマールから再三、念を押される。
アレンとしても、何事もなく精霊神のローゼンやファーブルが開放され、これまで通り魔王軍との戦いに備え冒険できることが何よりであると考えている。
2人と別れて、アレンたちは山の中腹にある2体の大精霊の門番のいる入り口に向かう。
「大精霊神様に会いに来ました」
『大精霊神様は中でお待ちだポン』
『人数が減ったようだが、逃げずに来たことは褒めておくコン』
幼精霊化した2体の狸面と狐面の精霊が体全身を使い、ゴゴゴッと音を立て、巨大な扉を開く。
軽く会釈して、長い通路を通り長い道を通っていく。
(岩盤で出来た岩山の中ほどにある空間か)
前回やってきた時は考えなかった、大精霊神を祀る空間の状況を理解する。
長い空間を抜けた先にはカモシカの姿をした大精霊神が、奥に台座に座っていた。
「ローゼン様……」
強大で無数の蔦の中に取り込まれ、かろうじて顔だけを出したローゼンを見てソフィーは、衝撃を受けている。
ヘドロのようなものに取り込まれ、顔だけを出したファーブルについても、ルークは厳しい視線を送っている。
『待っていましたよ。まさか、10日ギリギリにこようとはね』
「大変お待たせしました。問題があまりにも大きく、どうやって解決するのか、検討するのに時間を要しました」
3人の中で、アレンが代表となって大精霊神との会話を進める。
『ほう、ではまず「精霊の園で起きている問題は何か」を聞きましょうか』
大精霊神に課された課題の答え合わせが始まった。
「はい。方々で問題を探し回った結果、どうやら精霊たちを支える生命の泉が減り続けている。このままでは早晩枯渇するのではという大問題を発見しました」
『素晴らしい! その通りです。原因も分かったのですか?』
「はい。1000年ほど前から地上の世界樹は2本あり、世界樹を支える雫が2倍必要になったからだという原因を追究しました」
(何か答えを誘導されている感があるな)
ここまで合っていますかとアレンは淡々と説明する。
『さすが優秀なアレンさんです。それで、この事態、どのように解決を図るのですか?』
「2本の世界樹があるから精霊の園の精霊たちの分の雫が足りない」
『そうです。それでどうするのですか?』
「ですので、精霊たちには地上に移動して頂くことにしました」
『は? 何と言いましたか?』
「ですので、精霊たちには、この精霊の園を離れ、地上を豊かにしていただけたらと考えております」
エルフやダークエルフが責任を持って世話をするという話を付け加える。
『もう少し詳しく説明なさい。精霊たちを攫うということですか?』
口調は落ち着いているものの、大精霊神の表情が険しくなる。
「精霊たちに希望を聞いた上での判断です」
アレンは魔導袋から千枚を超える精霊たちから希望を聞いたアンケート結果をぶちまける。
『それは?』
「こちらが契約書でございます。精霊たちの希望の移動先です。1682体はエルフの国で。1341体はダークエルフの里で引き受けたいと考えます」
(さて、この解決策に乗ってくるかな?)
アレンは今回の問題を水問題に例えた。
中流と下流の水流を減らせないなら、上流に住んでいる者を移動させたらよい。
中流はエルフの国、下流はダークエルフの里、上流にいる精霊たちが移動すれば問題は解決する。
なお、精霊たちは十分な量の命の雫を飲まなかったり、摂取する地上の世界樹の実が足りないと、緩やかに力を失っていくらしい。
力を失い大精霊は精霊に、精霊は幼精霊になることもあるんだとか。
ただし、世界樹があるなら、存在が消えることはないとトーニスから聞いている。
(そもそも、必要以上に精霊たちが好き放題、泉の雫を飲んでいるらしいからな)
『何をふざけたことを、そのような誓約書が通るわけないでしょう』
「これは神々との契約にも有効な誓約書です」
神々は人々と何らかの約束事をすることがある。
それは神々が一方的に言葉だけの約束がほとんどなのだが、契約書も存在するらしい。
シャンダール天空国は神界と人間界の橋渡し的な存在であるので、そのようなものがないか確認をしたら、メルスから存在すると言われた。
メルスに頼んで、神との契約に必要な契約書の作成にシャンダール天空国の王家に協力してもらった。
現国王は、赤ん坊のころからメルスと知った仲なので、少々圧をかけて依頼したら喜んで協力してくれた。
アレンは「貴重な契約書ですので」と床石に積もった契約書を全て魔導具袋に収納した。
『このようなふざけた方法で、解決と私が判断すると思っているのですか?』
口調は落ち着いているが、かなり不快に思っているようだ。
「大精霊神様が人々との契約を軽視しなければ、解決となります」
この契約書は大精霊神であろうと有効である。
『このような回答で開放はできません。やはり、お二方には精霊獣になってもらうことにしましょう』
「約束を違えると? 私たちが人間だから、そのような身勝手が許されるとお考えでしょうか?」
『もう良いのです。下がりなさい。……ふむ、これは仕方ないですね』
アレンたちは下がれと言う大精霊神の言葉に耳を傾けず、まっすぐと大精霊神を見つめ続けている。
アレンの態度に老齢の大精霊神はゆっくりと体を持ち上げる。
何をするのか知らないが、一触即発な険呑な状況となる。
(すまないが、メルスの言う通りになった。こっちに連れてきてくれ)
瞬時に2体の天使の姿をした者がやってきた。
『連れてきたぞ』
アレンの言葉と同時に、メルスによく似た女性の天使を連れてやってきた。
『あなた方は? これはルプト様?』
状況が理解できなかった大精霊神はどういう状況か聞いてしまう。
『神界にやってきて、さっそく大精霊神様と揉めるとは……』
メルスによって連れてこられた創造神エルメアに仕える、第一天使ルプトは大きくため息をつくのであった。