軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第534話 5日目 アンケート

大精霊神イースレイが課題を出して5日目だ。

アレンはアレン軍の魔導技師団の研究所でララッパ団長に相談している。

「ララッパ団長、こういうイメージだが試運転をしたいから3日で完成させてほしい」

アレンは大精霊神に対抗する準備をするため、ララッパ団長に作ってほしい魔導具がある。

羊皮紙に図面を書きながら、魔導具のイメージを伝えていく。

「なるほどね。でも、魔力を吸収する水なんて貴重ね。製作時の資料としてほしいんだけど」

「ああ、持ってきたぞ。樽をこっちに持ってきてくれ。ああ、さっきも言ったが、エルフ以外が触れると溶けるから気を付けてくれ」

ドワーフで構成された魔導技師団の研究室には、酒を入れるのに使った空の大樽が大量にある。

誰からも許可を取らず採取した命の雫を、ドバドバと魔導具袋から大樽に移していく。

「なるほど、魔導具袋に入れることも可能ね」

魔導具袋から大樽に移し替える様を見て、アレンの依頼する魔導具の可能性を理解した。

「そういうことだ。いけそうか?」

「3日は厳しいけど、試運転も含めて4日以内に何とかするわ。皆、きびきび働くわよ!!」

「はい!!」

「はい!!」

「はい!!」

女王様と下僕とのような関係は相変わらずだなと思う。

さらに大樽3つ分ほど、命の雫を検証用に渡して、アレンはその場を後にした。

アレンは審判の門経由で、精霊の園に移動する。

そこは戦場であった。

『んまーい!!』

『これもうまいぞ。なんだこれは?』

『それは「フカマン」って言うらしいぞ』

数百に達した精霊たちがソフィーやセシルたちが用意する料理に群がっている。

「もう、なんでこんなにいんのよ! 出来た傍から食べられちゃうわよ!!」

セシルの悲鳴が聞こえる。

大精霊神への対応が固まったアレンたちは、対抗の準備を始めた。

「セシル、順調なようだな」

「ああ、アレン、戻ってきたのね。料理とってきた?」

「ああ、向こうも数百人態勢で料理を作ってくれるっていうからな。もっと、これを餌に精霊たちを集めるぞ」

「……もう、何も言わないわよ」

すでに動き出してしまった状況に、セシルは諦めに似た態度を示し、アレンが差し出した魔導袋を受け取った。

この魔導袋にはローゼンヘイムの首都フォルテニアのエルフの料理人たちが作った料理が詰まっている。

現在、女王が非常事態宣言を発令し、首都全体で料理ができる者を神殿に招き、精霊たちのために大量の料理を作っている。

さらに、ダークエルフの里でも王命を発令し、同様に必死に料理人たちが料理を作っている。

料理は作った先から魔導袋に入れられ、魔導袋はアレンがそれぞれを回収している。

昨晩、大精霊神へ対抗していく報告で、話がまとまったが、そのための準備が必要だ。

この料理で釣って、中央大陸よりも広いと言われる精霊の園全土から、精霊たちを集めるのも、今回の作戦の一環だ。

「皆も、今が正念場だ。しっかり働いてくれ!!」

『はいデス!!』

『承りましたわ』

『ヒヒ、分かったよ』

この場に召還した数十の霊CBAの召喚獣たちが、アレンの指示で動いている。

『これはなんというか、兵糧攻めではないというか、逆というか……』

グラハンは敵陣に食事を与えないようにする作戦はあるが、こんな作戦は聞いたことがないと呆れている。

(さて、食事はいいんだが、アンケートもしっかり進めてほしいんだが)

アレンは作戦が順調に進んでいるか状況を確認する。

『ちょっと、そこのあなた、「アンケート」に答えるデスよ!』

『なんだよ~。もうお腹いっぱいなんだよ~』

へそ天してまったりとするカワウソ面の精霊に、霊Cの召喚獣が紙とペンを持って、必死にアンケートを求めている。

(おいおい、ペンを精霊の顔に突きつけるな。サインが貰えなくなるだろ)

「こらこら、精霊様にそんな聞き方したら駄目だぞ!!」

『……アレン様、ごめんなさいデスぅ』

30センチメートルほどのフランス人形の見た目の霊Cの召喚獣は、アレンに注意されて半べそだ。

「ちょっと、見本を見せてあげるから、貸してごらん」

『はいデス~』

何をするにも見本を見せることは大事だ。

アレンは霊Cの召喚獣から紙とペンを受け取ると軽く深呼吸をした。

そして、一気に表情を満面の笑みに変える。

(さて、街中でお姉さんに投資用マンションを勧められた時のことを思い出すんだ)

アレンは前世の健一だったころの記憶を呼び起こす。

さらに、アレンの視界を召喚獣たちに共有させる。

「お休み中、申し訳ございません、ちょっとアンケートの協力をお願いしています~」

先ほどのカワウソ面の精霊に馴れ馴れしく話しかける。

『なんだよ~、さっきから。僕は休みたいんだよ~』

腹がふくれて動くのはおっくうのようだ。

「そうおっしゃらずに、3分です、たった3分の簡単な質問をしております。精霊様方に提供する明日からの料理の参考にいくつか質問させてください」

3分以上かかっても3分と言って良いものだとアレンは考えている。

『料理の参考?』

「そうです。お名前を聞いて良いですか?」

『アンギン』

「素晴らしい名前ですね。属性を聞いてもよろしいでしょうか?」

『風だよ。もう質問は終わり?』

「あと少しでございます。なるほど、見たところ立派な……。もしや、大精霊様でいらっしゃいますか?」

見た目は大精霊ではなく、精霊と言われても怪しいくらいだ。

『ふふ。そう見えた? 幼精霊だよ』

カワウソ面の精霊はにやけ顔が止まらなくなる。

アンケート中、気分良くさせることが大事だ。

「そうなんですか。見えないですね。今日食べた料理で一番おいしかったものはありますか? こちらの質問はとても大事でございます」

何が好きかなんて大事ではなかったりする。

『えっと、あの、ふわふわの』

「フカマンでございますか?」

『そう! それだ!!』

精霊の9割フカマン好き説が立証されつつある。

「なるほど、ちなみに私たちはもう少ししたらここから離れないといけません。料理は今後も提供しますので、ついていけるとしたらダークエルフの里ですか? エルフの国ですか?」

『ええ~、んん~。僕らも、ここには戻ってこれない?』

精霊たちは一度精霊の園を出ると戻ってこれないと上位の精霊たちに言われているようだ。

「そうなんですよ~。精霊の園には戻れませんが、美味しい料理はありますよ!」

『毎日?』

「もちろんです!」

『じゃあ、エルフの国にいく』

「ありがとうございます。って、あれれ、エルフの国でしたか……。これは、困りましたね」

『どうしたの?』

「実は、エルフの国はそろそろ『枠』が埋まりそうでございまして、予約して頂いた方々を優先させていただきたいと考えております。何卒、こちらに署名していただけませんか?」

アレンは悪い顔を押し殺し、背後に用意していたもう1つの紙を取り出した。

『なんだって、書くよ』

「ありがとうございます。エルフの国にはアンギン様を優先して招待させていただきますね!」

「ほんと? いや~よかった~』

紙に書かれた中身も読まず、サラサラとサインとすると、やっと質問は終わりかと、カワウソ面の精霊は眠りについた。

(アンギンはローゼンヘイムっと。よし、皆、こんな感じでどんどんアンケートを取ってくれ。アンケートに参加する鴨……、ではなく精霊様には、サインもしっかり取るんだぞ)

【精霊たちに対するアンケート】

・問1 名前を教えて下さい

・問2 属性を教えて下さい

・問3 階級を教えて下さい

・問4 あなたの一番好きな料理を教えてください

・問5 毎日料理が貰えるならいける場所を教えてください

①ダークエルフの里、②エルフの国

※問5を回答した精霊には、別に用意した紙にサインを書かせる

アレンのやり方を参考に召喚獣たちがアンケートを始めた。

(料理とアンケートは順調だな)

さらに、また新たに別の目的が進んだ光が広がる。

パアッ

「やった、4体目の精霊と契約出来たぞ!!」

「よろしくヌバァ」

ルークが食事をしにきた泥の精霊と契約が終わった。

100体を超える精霊が来ているので、お目当ての精霊を探すのも容易い。

パアッ

さらに、新たな光が放たれる。

『よろしくお願いする』

「こちらこそよろしくお願いします。空間の大精霊ジゲン様」

「お、ソフィーは3体目だな」

ソフィーは水、雷に続いて空間の大精霊と契約を交わすことができた。

空間の大精霊は宙に浮いた上半身の姿をしている。

腰までで下半身はなく、鎧を身に纏ったフルフェイスのボディに目の部分が横一文字にピカピカ光っている。

空間の精霊はソフィーに挨拶をすると顕現を解き、姿を消してしまった。

「はい、トーニス様のご紹介です」

大精霊は数が少ないので、5万年も精霊の園にいるトーニスに該当の属性の大精霊を探してもらっていた。

(お、ソフィーはもうスキルレベル5になったな)

「ソフィー、次は光の精霊だ」

なかなか強そうな属性が選ばれると思う。

ソフィーやルークのような精霊使いは最大4体まで精霊と契約することができる。

「はい、アレン様。探してみますわ」

(ソフィーは俺の決断に問題はなさそうだ。ルークは速攻でスキルレベル6になると)

ソフィーは、アレンの決断に文句は言わないようだ。

エルフの未来と天秤にかけてもアレンを信じているとも言える。

ルークの魔力は、天の恵みでガンガン回復させているため、最大魔力の高いこともあり、すぐにスキルレベル6に達する。

「よし、4体の精霊と契約をしたら転職して、次は大精霊を4体顕現できるようにしてもらうぞ」

星4つの呪霊童子のルークは更なる転職し、大精霊を顕現できるようにしたい。

その言葉に、傍らで様子を見ていたムートンが反応する。

『お、もう転職するのか。ちゃんと毒属性を選択しろよ』

(いや、俺らが選べないし)

ルークの頭に乗る黄色いスライム状の物体で、毒沼の大精霊ムートンが、転職した暁には契約するように言う。

ルークは転職して、星5つになれば、晴れて大精霊と契約ができるようになる。

なお、契約できるのは属性が合った精霊に限られる。

「う、うん。分かったよ。でも、本当にいいのかな。俺たちが悪いんだろ」

何か反抗するみたいなことをして、大丈夫なのかと言う。

昨日はやったるぞ感を出していたが、今日は大人しい。

この辺の気持ちの上下が、見た目小学生低学年のルークにしっくりくるなと思う。

「ルークは何か悪い事をしたのか?」

「え?」

「生まれてこの方、大精霊神に怒られるようなことをしたのか?」

(これから俺と一緒にしそうだけど)

「いや、してないし」

「理不尽なことを言われたら、そのまま受けいれたら駄目だ。拳を振りかざして来たらどうするのか自分で決めないといけない」

この世には会話が通じる相手ばかりではないと説く。

「うん、分かったよ。じゃあ、地上に戻って転職するよ」

ルークの表情に元気が戻っていく。

(さて、俺も霊獣を探さないとな。なるべくレベルアップしておきたいぞ)

シャンダール天空国にある亜神級の霊獣は狩りつくした。

大精霊神との交渉に備えて、料理と並行して、神域にある霊獣たちの吹き溜まりも一緒に捜索中だ。

アレンたちが動き出している中、大精霊神イースレイが出した問題の答え合わせが始まろうとしているのであった。