軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第375話 5大陸同盟会議④

アレンはラターシュ王の王女レイラーナ姫が学園にあるアレン軍の拠点で活動していると報告する。

「それは、真か?」

「そ、それは……」

ラターシュ王国国王は、我が子が心配で自らの側近の子供を一緒に学園で活動させている。

すると、側近から眩暈がするような報告がラターシュ王国のインブエル国王にもたらされる。

何でも、側近の子供諸共、アレン軍の活動拠点で住むことになったと言う。

そして、一緒にダンジョンの攻略を始めた。

「本当ということか。なるほど、このような力のある者たちを隠してきた理由が分かったぞ」

ギアムート帝国皇帝はラターシュ王国国王の魂胆が分かったと言う。

それは、アレンたちの実力をいち早く知ったラターシュ王国の国王はその存在を秘匿した。

そして、自らの国力の増強のために軍を結成する。

魔王軍と戦いながら、自らの手足となる力を強くすることが目的であったのかと語り始める。

(ん? ああ、これはいい機会かもしれぬ)

アレンは拡声の魔導具で会議室の響き渡るように演説するギアムート帝国の話に、アレン軍のこれからの活動の相違点を見つける。

「何度も申し訳ありません。アレン軍の活動方針について、誤解があるようです」

「なに?」

アレンは大国であるギアムート帝国皇帝の語りを止める。

幾度も功績を上げてきたアレンとその仲間たちが、5000人の軍勢を元にどのように活動するのか、これを知りたくてアレンたちを呼んだからに他ならない。

「たしかに、アレン軍はラターシュ王国と友好関係にあります」

「ぬ。ふむ、それで?」

ここではっきりとアレン軍とラターシュ王国の関係を伝える。

確かに友好関係にあるのはレイラーナ姫がアレン軍の拠点で活動しているため、その話を誰が聞いてもそう思う。

「しかし、ラターシュ王国のインブエル国王陛下の配下でも、5大陸同盟の下部組織でもありません」

「なんだと?」

訝し気な顔でギアムート帝国皇帝がアレンの言葉を聞く。

ラターシュ王国の国王は、アレンならそう答えそうだなと「配下ではない」という言葉に対して何も思わない。

ラターシュ王国の国王も学園で、夕食会に従僕に扮して乗り込んできたり、謁見などとアレンの思考は大体理解しているつもりだ。

それはマッカラン本部長が先ほど語ったアレンの人物像にも合致する。

アレンは誰にも靡かない独自の思考を持っている。

それ以上に敵だと思っていなかった点に、この話にどれだけの信憑性があるのかとアレンの言葉に耳を傾ける。

「アレン軍は独立した組織として、今後魔王軍と戦います。その際、5大陸同盟の会議等で決まった作戦や指示を伝えてくることはお控えください」

「好き勝手にやると言うことか?」

「そのとおりです。別に皆様に何らかの指示を受ける理由はありませんので」

(命令してくれるなよ。マジで)

「ば、馬鹿な!?」

この世界において、5大陸同盟に完全にコントロールできない組織が2つある。

エルメア教会と冒険者ギルドだ。

その2つは協力関係にあるが、利益が相反すれば対立することもできるほどの規模の組織だ。

アレンの話が本当なら、アレン軍はそれと同様の対応をすることになる。

ギアムート帝国皇帝は先ほどから立ち上がったままだが、ローゼンヘイム女王を見る。

アレンを真っ先に参謀という要職に引き込んだのは女王の手腕であると認識しているからだ。

お前のところの参謀が好きにするぞと言っているが反対はしないのかと視線を送るが、女王は涼しい顔でいる。

「アレン様は、自らの判断で魔王軍と戦うと言っていますが、何も私たちに協力しないとは言っておりません」

ローゼンヘイムの女王は誤解をするなと言う。

「はい。そのとおりです。5大陸同盟軍の作戦行動で今後アレン軍と協調したほうがいいこともあるでしょう。今後、私たちの軍の拠点にも通信の魔導具を設置します。何かあればご相談ください。なお、魔獣狩りについては積極的に協力する予定です」

実は既にヘビーユーザー島には通信の魔導具を設置した。

だから、必要とあれば直接連絡を受けることができるのだが、5000人の軍だからと甘く見られて強気に出られても困る。

「む? 魔獣狩りとは何だ?」

理解が追い付かないが、アレン軍の活動は知る必要があるので、問い尋ねる。

「世界には、魔獣に苦しめられているが、対応に苦慮している国は多くあると思います。私たちアレン軍が対応するということです」

「それはどういうことだ?」

「詳しく説明します」

ギアムート帝国の皇帝は意味が分からなかった。

アレン軍は魔王軍と戦うために結成された組織ではなかったのかと思う。

しかし、これこそがアレン軍の活動方針との認識のずれだ。

アレン軍を強くするためには魔獣狩りが必要だとアレンは考えている。

アレンはギアムート帝国の皇帝だけでなく、各国の代表にも理解するように丁寧に説明をする。

各国には対応に苦慮している凶悪な魔獣が存在する。

クレナ村近くにいた白竜みたいな存在がラターシュ王国にも何体も存在する。

そして、S級の魔獣もいれば、聖獣も存在する。

こういった存在をアレン軍は安い金で討伐するぞという。

アレン軍の強化には強い魔獣の素材なども必要だ。

オリハルコンやアダマンタイトを集めるのもそうだが、アイアンゴーレムからは金属系武器や防具は割と出るのだが、木や魔獣の素材でできた武器や防具は出にくい。

金属ではなく高いランクの魔獣の素材や、世界に数本しかない古代樹のような素材が必要な武器も多い。

弓、杖などは金属系の武器よりも威力が発揮されやすい。

防具も皆、アダマンタイトなど重たいフルプレートの装備を必要とするわけではない。

攻撃や回復魔法職もいれば、斥候や軽ファイターもいる。

彼らの装備を揃えるためにも、素材を頂く代わりに安い料金で、魔獣の討伐を請け負うと言う。

巨大なSランクに達したドラゴンを倒せたら、100人を超える数の武器や防具が手に入る。

魔王軍が現れて50年以上経ち、魔王軍との戦いに疲弊し、自らの国に住まう凶悪な魔獣を討伐できないでいる。

各国の苦悩もアレン軍が安く解消するというアレン軍のメリットを世界に伝える。

また、活動で出たアイテムの中で必要なものがあれば交渉次第で売却や提供もする。

「ほほ。アレンよ。ヒヒイロカネゴーレムを早く揃えてほしいぞ」

メリットを語る中で、バウキス帝国の皇帝が欲しいものを口にする。

「はい。バウキス帝国皇帝陛下。ガララ提督用の1セットはようやくそろえることが出来ましたので、後程、配下の者にお渡ししますね」

「ま、真か。それは超大型であるのだな?」

椅子に座って、足が地面につかないとっちゃん坊やのバウキス帝国皇帝が前のめりになってアレンの言葉に反応する。

「もちろんです。バウキス帝国にはアレン軍に対して格別の配慮をしていただいておりますので」

アレンはバウキス帝国に対して、ヒヒイロカネゴーレムの本体用石板1セットと大型用石板と超大型用石板を渡す手筈となっている。

バウキス帝国はヒヒイロカネゴーレムの石板を揃えていない。

S級ダンジョンの最下層でしか手に入らなく、その入手難度はかなり高い。

転職ダンジョンが出来た結果、バウキス帝国で今必要なことはヒヒイロカネゴーレムの石板を大型、超大型を含めて揃えることだ。

今のこの状況なら魔力の種などの魔力回復アイテムを提供するよりも、喉から手が出る思いで欲している。

それを知っているアレンは、バウキス帝国に話を持ち掛けた。

アレン軍がS級ダンジョン及びその周辺で自由に活動できるのであれば、ヒヒイロカネゴーレムの石板を無償で提供する用意があると。

アレン軍の強化にはS級ダンジョン及びその周辺での活動は不可欠だ。

バウキス帝国は2つ返事で了承してくれた。

「後でガララ提督と魔導技師大臣に話をするとよい。ゴーレム使いと魔導具使いの派遣も決まっておるぞよ。わが帝国からそれぞれ100人遣わすことにした」

バウキス帝国のアレン軍への方針が固まったという話をする。

アレンの回答を待って、既に用意していた対応結果を伝えてくる。

「皇帝陛下。それは助かります」

(お? 魔導具使いだけでなく、ゴーレム使いも出してくれるの?)

それぞれのゴーレムを動かすのに必要な才能

・ブロンズ級のゴーレムを動かすには魔岩兵の才能

・アイアン級のゴーレムを動かすには魔岩士の才能

・ミスリル級のゴーレムを動かすには魔岩将の才能

・ヒヒイロカネ級のゴーレムを動かすには魔岩王の才能

魔導具を修理、設計、調整するのに必要な才能

・家庭用照明の魔導具なら魔技員の才能

・魔導船や通信の魔導具なら魔技工の才能

・大都市の浄化施設の魔導具なら魔技師の才能

魔導具は才能の星の数によって、動かすことのできる魔導具の規模が変わっていくようだ。

家にあるものから、国にも影響を及ぼすことのできるものまで様々な魔導具がある。

なお、使うだけなら、魔導具にはボタンのようなスイッチがあるのが一般的なので、才能の有無は関係ない。

以前、ヘビーユーザー島を動かすために、島にある神殿の地下にあった魔導具っぽい施設を扱える魔導具使いを求めていた。

魔導具の大きさから魔技師という才能があるなら、動かせるのではという話をしていた。

「であるから、次のセットも早めにお願いしたいものだぞ」

これから20人ほどの魔岩王の才能を持ったゴーレム使いが誕生する予定だ。

次のセットも早く寄こせということだろう。

「もちろんです。なるべく早めにご用意します」

(もうすでにあるけど)

もったいぶって、なるべく急いで用意すると言う。

もうあるだろと思うキールに、「表情にも出すな」と睨みを利かせることもアレンは忘れない。

それを見ながら、買収が進んでいることをギアムート帝国皇帝は悟った。

ラターシュ王国も、ローゼンヘイムも、バウキス帝国までアレン軍に協力的だ。

そして、魔王軍によって疲弊し魔獣がいるが、討伐する兵がいない各国に助けを提供すると呼びかける用意の周到さ。

ここにきて、アレンの目的を悟る。

「ちょっと、そんなに睨まないでよ。僕、結構アレンのこと話したよ?」

「ヘルミオス。あとで話があるからな」

ヘルミオスが責められていることに気付き言い訳をする。

ヘルミオスがもっとアレンのことを伝えてくれていれば、ここまで後手になることはなかったとギアムート帝国の皇帝は言う。

「それで、アレン軍の話は終わりか?」

ここにきて、たまに呟くほどしか口にしなかった獣王がようやくアレン軍の話が終わったのかと口にする。

「はい。以上になりますが、シアと獣人の部隊をお貸しいただいてありがとうございます」

(話は以上だよ)

ほとんど会話に参加していなかったため、獣王に改めて2000人の部隊に獣王女であるシアについて礼を言う。

「あ、何を言ってやがる。貸すわけないだろが。アレンだが何だか知らねえが、ふざけたことぬかすな。シア、話は以上みたいだ。獣王国に帰るぞ」

アレンに対して睨みを利かせるように低い口調で、怒気をもって獣王が語り掛ける。

「な!? お、お父様、いえ、獣王陛下。私は自らの考えでアレン軍に参加すると決めたのです」

「何を言ってやがる。ふざけたことを言ってると、力づくで連れて帰るぞ。我はムザ=ヴァン=アルバハルだ。いつから、自分で決められる存在になったんだ?」

獣王がシアのアレン軍参加について反対の意思を示すのであった。