軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第200話 軍事会議③

魔王軍は海洋を南進するにあたり、これまでの敗戦を踏まえた対抗策を取ってきていた。

それは、アレンと仲間達による襲撃に備えたものになっていた。

魔獣達は、昼夜を問わず戦い続け、アレンに休ませない作戦を取ってきた。

魔王軍の100万の軍勢のうち、戦っているのは前方にいる10万から20万の軍勢で、どうも残りは休んでいるようだ。

アレンの周辺だけ全力で戦い、残りは戦闘に一切参加していない。

「そ、それは、真か?」

『はい、アレン様はそのようにおっしゃっていますデス』

ルキドラール大将軍の疑問に事実だと霊Bの召喚獣は答える。

ここはラポルカ要塞中央にある建物の中だ。

ルキドラール大将軍を筆頭とする複数の将軍達やアレンの仲間達に対して、昨日からの魔王軍との戦いの状況について共有している。

アレンの戦いは昨日から始まったが、ラポルカ防衛戦は、陸路を南進する魔王軍の動きから、明日には開戦するのではと予想している。

「じゃあ、アレンはこのまま魔王軍を殲滅するまで戻れないってことね。でもそれは元からの作戦通りだけど、これだと…」

元々アレンは海洋を南進する魔王軍の魔獣100万体の殲滅に行った。

しかし、それは作戦通りにならない懸念もある。

「そうだよ。セシル。これじゃ、アレンは休めないね」

クレナは、魔王軍が不眠不休で戦わせる作戦を取っていることに不安を持つ。

航空戦力として飛行可能な魔獣も多く、弓矢や魔法など遠距離攻撃も十分な状況で、アレンは常に魔王軍の攻撃範囲の中にいる状況だ。

『いえ、アレン様は夜間一旦離脱して休憩を取っております。デスので、戦いについては問題はないのデスが、魔王軍は予想通りの行動に出ました……』

アレンは、霊Bの召喚獣を通して夜間の戦いについて説明をする。

召喚獣達に戦闘を任せ、鳥Bの召喚獣の覚醒スキル「天駆」を使い、戦場から一時離脱し、指揮化で巨大になった鳥Bの召喚獣の背中の上で仮眠を取った。

しかし魔王軍は、アレンと鳥Bの召喚獣がいなくなったと分かったとたんに、残った召喚獣との戦いに消極的になり、南進を開始したと言う。

どうやら戦闘に参加せず休んでいた魔王軍は、アレンがいなくなれば南進し、ネストの街を攻撃する作戦を取っているようだ。

南進する魔王軍を殲滅する作戦に変わりはないため、このまま戦い続けるので問題ないと仲間達に伝える。

「ああ? それなら、ラポルカ要塞にこんなに召喚獣を置いて厳しいんじゃないのか。今からでも戻せばいいんじゃ?」

ドゴラもこっちは問題ないと言い、アレンの仲間達はその通りだと頷いている。

アレンは召喚枠70体の半数近くとなる30体の召喚獣をラポルカ要塞に置いてきた。

指揮化スキルがかなり有用で召喚獣がかなり強化された。また、海洋戦は霊Bの召喚獣が戦いに向いていると判断した結果だ。

『いえ、もっと由々しき事態がラポルカ要塞にはございます。ラポルカ要塞に向かう魔王軍がここにきて、軍を分け始めたのデス』

「な!? ラポルカ要塞を置いて他を攻めると言うことか? ラポルカ要塞を無視して南進するなど……」

ルキドラール将軍は驚き、思わず口に出す。

ラポルカ要塞を無視して南進するのであれば、また作戦を変更せねばならない。

地理的な要所であるラポルカ要塞を無視しての南進はあり得ないと、ここにいる他のエルフの軍高官も思っているようだ。

『いえ、恐らくこれはラポルカ要塞を完全に囲む作戦を取っているようデス』

アレンは霊Bの召喚獣を通して、今起きている魔王軍の動きについて伝える。

魔王軍は400万の塊で陸路を南進してきたが、今日になって軍を200万、100万、100万の3つに分けた。

200万体の軍勢はそのまま真っ直ぐ進んでいるが、2つの100万の軍勢はラポルカ要塞に接する山脈を東西から、登り始めた。

「ば、ばかな。あのような切り立った山を登るなど。あの山はこれまでも魔獣から要塞を守ってきたのだ」

ルキドラール将軍が信じられないと言う。

ラポルカ要塞は切り立った山の斜面に囲まれた天然の要塞だ。

そして、険しい山がいくつも連なって山脈となり、そう簡単に回り込めないようになっている。

だから魔獣と言えど、早々登れる山ではないので守り易いと踏んで、最初に攻略する要塞に決めたという経緯もある。

『たしかにデス。しかし、今回は虫系統の魔獣がどうも多いようデス』

予備部隊の軍勢は、最初にやって来ていた300万の軍勢と魔獣の構成が違う。

足の多いムカデや蜘蛛のような魔獣が軍を成し、山肌を埋め尽くすように登り始めていると言う。

「で、では3方向からということか?」

ラポルカ要塞は南北からの守りしか想定していない。東西は攻め辛いが、守る方からしても守り易い構造にはなっていない。

『恐らく東西それぞれに、100万体の魔獣では多すぎますデス。東西を通り過ぎて南に集まる魔獣も多いと予想されますデス』

(挟み撃ちを避け、3日かけてラポルカ要塞以南の地の魔獣を掃除したんだけどな。魔王軍は過去の敗戦を活かしてきたと)

アレンは、この動きから魔王軍は4方向から攻めると予想する。

これは、過去の敗戦を活かしているようだ。複数の街を同時に落とそうとして防がれたティアモ攻防戦、1点集中で落とそうとして防がれた100万の軍勢によるティアモ攻防戦、この両方の反省を踏まえた戦法のように感じる。

「明日にはラポルカ要塞は戦場になる。い、急いで軍の編成を見直さねば……」

魔王軍がラポルカ要塞に到達するのは明日と見込んでいる。魔王軍はギリギリになって欺くように作戦を変更してきたことになる。

これから30万人いるエルフの兵を4箇所に分けなくてはいけない。

直ぐに指揮官を呼んで軍議をせねばと言う。

『まだ、お話が終わってませんデス。アレン様は作戦があるとおっしゃっていますデス』

「おおお! 作戦か。真か」

アレンは状況だけを話しに来たわけではない。

「……ね、ねえ。今も、もしかして戦ってんじゃないの? 何で作戦なんて考えられるのよ」

セシルが呆れながら、容易に想像できるアレンの行動について口にする。

アレンは現在、海洋を南進する魔王軍との戦い2日目だ。

既に何時間も前から全力で殺しにかかってきている魔王軍に対して、召喚獣を使い戦い続けている。

『アレン様に不可能はありませんデス』

(いや、そんなことはない)

また勝手に霊Bの召喚獣が話したが、咎めることもなくアレンによる作戦を伝えていく。

「い、いや可能なのか」

『守るだけなら可能デス。アレン様はどんなに急いでも、ラポルカ要塞に着くまでに5日は掛かるとおっしゃっていますデス』

それまでの間、今ある兵力で落とされないよう粘り続けなければならない。

「い、5日か……」

(早くて5日ね)

殲滅に昨日から5日、そして移動に1日は掛かる。

アレンが予想する東西南北の魔王軍の魔獣数

北:200万

東:50万

西:50万

南:100万

北:アレンの仲間達全員、精霊使いガトルーガ、エルフ軍9万

東:指揮化と兵化した竜Bの構成、エルフ軍6万

西:指揮化と兵化した虫Bの構成、エルフ軍6万

南:指揮化と兵化した石Bの構成、エルフ軍9万

「なるほど、指揮化の効果を最大限発揮するわけね」

兵化は、指揮化した召喚獣の半径100メートル以内にいないと効果がない。

『その通りデス』

「なるほど、精霊魔導士や弓豪はどのように配置するのか?」

ルキドラール将軍が霊Bの召喚獣に確認する。星2つの職業である精霊魔導士や弓豪が、このラポルカ要塞に7000人以上いる。今回の戦いで不利な魔獣達の近くに多く配置してもらう必要があるが、将軍達はアレンほど、召喚獣の力が分かっていない。

『南にやや多め、それ以外は均等に配置してくださいデス』

南が一番攻めが弱いため、多めに配置するように言う。

「なるほど、あい分かった。他に何かあるか?」

『もちろんデス。作戦はこれからデス』

「作戦? 今までのは作戦ではなかったのか?」

ルキドラール将軍はずっと作戦の話を聞いていると思っていた。

『はいデス。明日にはグリフが1体、今回の戦いに備えエルフの霊薬2000個と一緒に持ってくるものがありますデス』

戦いながらも1日2000個の天の恵みの作成は怠っていない。アレンは魔王軍の行動から対策を取り、行動に移していた。

今作戦に必要な物を鳥Bの召喚獣に運ばせている。

「「「持ってくるもの?」」」

霊Bの召喚獣はさらなる作戦を伝える。

ラポルカ要塞を5万人で攻略すると言った以上の疑問の表情がエルフ達に広がっていく。

アレンは常識の範囲外の考えで、魔王軍との戦いに勝利してきた。

黙って作戦を聞くことにしたエルフの将軍達であった。