作品タイトル不明
51.
エレオノーラはジークフリートの嫁に、リリアナが適当かを見極められずにいた。
はぁ……とエレオノーラがため息をつく。
「ばうばふ?」
ぽちは彼女を見上げる。
膝の上にはぽちが座っており、もふもふされていた。
無論犬の言葉を、エレオノーラは理解できない。
だが、いや、だからこそ……彼女は誰にも言えない胸の内を語る。
「あの女がうちの可愛い可愛いジークちゃんに、ふさわしいだろうか……」
「ばふぅん……」
リリアナはあまり良い女主人とは言えなかった。
別に家のことを取り仕切っているわけでもない。
家の中を綺麗に保とうとしてはいるが、それは自分の生活スペースを綺麗にしているだけ。
要は自分のことしか考えていないのだ。
可愛い我が子のことなんて、まったく考えていない。
……一方で、こうも思っている。
「ジークちゃん……毎日ほんとに楽しそうだわ」
エレオノーラがまず、ここへ来て驚いたのは、 息子(ジーク) が常に笑っていることである。
結婚する前は、ずっと仏頂面だった、息子。
それが毎日、当たり前のように、笑っているのである。
昔を知ってるからこそ、息子の変化に誰よりも早く気づけていた。
その変化をもたらした人物こそ……リリアナなのである。
「どうすればいいのでしょうね……」