軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ミュリエッタの事を統括侍女さま(だけじゃないけど)が知っていたと同時に色々今後について聞かされて驚いた後、ふらっふらの状態で廊下を歩いていてようやく正気に戻りました!

ええ、ええ。

統括侍女さまの「婚姻の報告かと……」って残念そうに溜息つかれたのは超! 衝撃!! だったんですよ……。あの破壊力はアルダールの微笑みと威力的には同等でしたよ。なんだよ婚姻って。婚約とかもう色々すっ飛ばし過ぎだろう。っていうかバレバレかよ。バレバレかよ。

いや、結婚の予定はないけどね?! なんであそこまですっ飛ばした話をしてくると統括侍女さまも思ったんだか……。

……うん、まあ、ほら。告白の現場をアルダールの同僚に見られてる段階でお付き合い云々に関してはバレたって仕方ないよね……。

王城内の庭でのことなんだから誰が見てるかもわかんないっていうか、迂闊だったっていうか、いや待てもしかしたら翌日のデートの方を目撃されてって、あああああああレジーナさんに口止めもしなかったからもうどっから漏れててもどうしようもないわ!!

というか、バルムンク公子にも堂々と公言してるんだからもう隠すっていうか、いや隠したいわけじゃないけどただほらね、堂々と「私たちお付き合いしてるの! 幸せラブラブカップルなのよ~!」って言って回りたいわけではないんですよ。

うん、何を言い訳してるのか自分でもわからなくなりました……とりあえずまあ、もう色んな人に知られてるってことは確かです……はあ、浮かれ過ぎて口止めとかを忘れてた自分の迂闊さよ。

というか以前からアルダールと親しくしてるってんで実は嫌がらせを受けてたりしてたんですが付き合い始めたことで悪化しないといいんですけどね。

いや、嫌がらせっつっても大したことは無くて。時折私の執務室にある書類受けのポストに前世では学生時代にあった不幸の手紙みたいなものが入ってたとかそのレベルです。

ああ、一応そういうことがあったと城内の警備の人には通告済みです。

見回りを増やしていただいた結果、その後は不幸の手紙も見てません。まあ来ても警備の人に渡すか廃棄かなんですけど……。

でもそうですね、アルダールとお付き合いするにあたって私だって覚悟をすべきですね!

ええ、彼を巡ってのキャットファイトですか。臨むところ……じゃないですけど、できれば全力で回避したいところですけど! 受けて立とうじゃありませんか!!

……あ、いや、できればエンカウントなしでお願いします。

色んな意味で太刀打ちができないわけじゃないけどしたくないといいますか、できれば人生穏便によろしくお願いいたします。

「あっ、ユリアさまお戻りですか」

「ああメイナ。ええ、今ちょうど戻ったところです」

「統括侍女さまへのご報告ってなんだったんですか?」

「……そうね、エーレンさんに会いに行った時の話をしただけなの。彼女が冷静さを失っていたということだったけれど、もう大丈夫そうだったからそのことを」

「ああ……。でも、そのぅ……言いづらいですけど、あの人、戻ってきてもちょっと皆の視線が痛いんじゃ……?」

「大丈夫でしょう、彼女自身に後ろ暗い所もありませんし、恋人のことも誤解であったことを理解しましたし、あとは反省を示して頑張っていきたいと言っていましたからね」

「そうなんですね!」

まあ、統括侍女様との話の大半は『ミュリエッタ』についてだったんだけどね。

嘘は言っていない。ただ全部を語らなかっただけだ!

英雄父娘の話題は勝手に広めたりなんかできないし、まあ直接的に関わることはなさそうだし……そりゃまあ新参の、領地も持たない男爵じゃあ王城内にいる私たちがそう関わることもないよね。

最初のうちだけ色んな貴族のサロンや狩猟なんかに呼ばれるだろうけど、その内どこかの派閥が囲むとかすれば落ち着くだろうし……結局のところ、王城で会うんだとすれば父親の方が騎士にでもなれば、くらいかな。

娘の方はどうだかわかんないけど、まあ礼儀作法の試験の時に城に来るっつっても王宮の方まで来るわけじゃないだろうしね。

「生誕祭の時には例の英雄が叙勲されるのだそうですよ」

「わあ! やっぱり!! でもどんな人なんだろう。こう言っちゃなんですけど、冒険者ってほんとピンからキリまでいますからね……わたしの実家の方でもそうでしたけど、礼儀作法なんて知らないんじゃないのかなあ」

メイナの心配ももっともだけど、きっと叙勲なんて一言も喋らないし頭下げっぱなしだし、どのタイミングでより深く頭を下げるかとかそういうのを事前に教えられてると思うから大丈夫だと思うけど。

娘の方は誰が面倒みるんだろう。妥当なところで外宮筆頭かな。一応城の方で用意したドレスを与えて着替えさせて、パーティで恥をかかないために「喋るな、笑ってろ、食事は小鳥が食べる程度と心得ろ、飲み物は喉を反らして飲むな」などの言うなれば超初級の内容を口を酸っぱくして言われるに違いありません。

思わず「知ってるよ! わかってるよ!!」って反発したくなるほど言われると思いますよ。

こういう時女性の方がマナーを厳しく言い渡されるんですよね……まあそういう所作が美しいほどに貴婦人としての格が上がるわけですから、貴族の一員となったからにはそれをマスターしてもらわねばなりませんから。

恐らくそのパーティの場で教育係にも顔合わせするんだろうなあ。

「ところで、私がいない間はどうだったかしら?」

「はい、特に問題もなく。今はセバスチャンさんの指示でスカーレットが書類の整頓してます」

「そう」

「……悔しいですけど、スカーレットの方が書類系はやっぱり上手です。学があるっていうのが大きいんだと思います」

「それはそうかもしれないけれど、メイナはとても良く周囲の人の状況を見て判断できる力があると思う。皆得意分野は違うものでしょう?」

「……はい!」

まあそりゃそうだろう。四則演算を貴族令嬢として学んだスカーレットと、ここに来てから学んだメイナとでは同じ素地で考えたらアドバンテージが違うもの。

育ちが影響しているものってどうしてもありますからね。

でもそれぞれに良い所はあるわけで……私の拙い励ましにメイナは笑って頷いてくれた。

うんうん、元気でよろしい!

「ビアンカさまはまだいらっしゃるかしら?」

「はい」

「ではご挨拶しておかなければ」

この後王太后さまの所に行くからっていらっしゃるならご挨拶しないというのはおかしいですからね。

ビアンカさまには私もお世話になってますし……。

ノックをして入れば、美少女と美女のお茶会なわけで眼福ですありがとうございます!!

勿論、顔に出しませんよ。もし顔に出していいならデレデレになること請け合いですね。

まったくビアンカさまはドルチェ好きの宰相閣下と同じかそれ以上のドルチェ好きなのに、なんでしょうあのけしからんプロポーション。羨ま……いえ、羨ましくなんか、いいえ羨ましい!

「ユリア、元気だった?」

「はい、ビアンカさまにおかれましてもご機嫌麗しく」

「もう、相変わらず固いわねエ。まあ私の事を名前で呼べるようになっただけ、進歩したと思っておくわ」

「ありがとうございます」

この方、初めて私の作ったケーキを食べて以来何故だか友達認定してくるんだよなあ。

正直立場上で言えば雲上人なので「友達なんだから。ねっ!」とか名前呼び捨てにしろとか城内で見かけたら気安く声を掛けろとかなかなかの難題をふっかけてくるからね。

いえ、純粋に好意なのはわかってます。名前の呼び捨てだってこうした非公式の場だけですし、城内で見かける……というのもあまりないことですので、会う機会の少ない私たちだからこそ声を掛けて欲しいというものですし。

ただね、うん。

イケメンを直視できない私ですが、美女もあんまり直視してると眼球焼き切れそうって言いますか……遠くから見る分には眼福なんですけどね……ほんとこの国、美人揃いで私の心臓への負担を考えて欲しいよね!

嬉しくないわけじゃないのよ? この方も私の誕生日とかにプレゼントを贈ってくれたりとかカードをくれたりとか、本当に、本当に良い方なのよ。

ただね、本当にね、直視できない申し訳なさがね……地位とか名誉もだけどね、目を見てお話しできないチキンハートがだね……。

「先ほどね、プリメラさまからも聞いたのだけれど……貴女、恋人ができたんですってね? まあ私も噂を耳にはしていたけれど、できれば 友人(・・) の口から直接聞きたいわ」

「は……う、噂ですか?!」

「うふふ、ええ。世の独身女性たちは色々と耳聡いのよ。勿論、既婚者の私たちもだけれど……ほら、身内の縁談とかって大事でしょう?」

「そ……それはそうでございますが、」

「あら、照れてしまうのかしら? それとも、周囲の女性たちが怖いとか?」

くすくす笑うビアンカさまは、私の心情を大体察している気がする……。そして私が直接お付き合い云々のことを教えなかったことを根に持ってらっしゃる!!

(いやでもね?! 言い訳するならケータイがあるわけじゃないこの世界でいちいちお手紙で誰とお付き合いすることになりました~なんて書かないでしょ?!)

これってなんて言えば伝わるだろうか。

蛇に睨まれた蛙、かな……。

「ビアンカさま、私、あの……お付き合いする方ができまして、」

「それで相手は誰なのかしら?」

「近衛隊の、あ、アルダール・サウルさまと、お付き合いすることになりまして……」

「そう、おめでとうユリア! 貴女が幸せなら私も嬉しいわ。とてもよ?」

「ありがとう、ございます……」

ううう、なんていう公開処刑。

でも嬉しいって、笑顔でおめでとうって。ヤダこれ超照れるけど嬉しい。これがリア充の世界……!!

プリメラさまもにっこにっこしてるし、可愛いけど。可愛いけどォ!!

超照れくさいですよね!

ええー……世の女性たちはこういうやり取りをお友達としてるんですかそうですか。

今まで経験なかった(前世では聞く側だった)から、これ嬉しいよりも恥ずかしいな。慣れたらどうでもよくなるの? いや慣れるとかあり得ないけど。

いや待て、アルダールにフラれたらその後もこういうイベントがあるのか?

今度は慰める方面でイベントが発生するのか? いや、フラれる前提にいちゃだめだろう私!

「まあ何かあったら相談して頂戴。これでも既婚者ですからね、恋文の書き方くらいは教えてあげれてよ?」

ふんわりと笑ったビアンカさまが、私の恋を喜んでくれている様子はわかる。

わかる……が、やっぱり恥ずかしい。

しかも悪い方向にまで思考を巡らせてすみませんでした。

「ビアンカさま、そういえば本日は新しいケーキをお出しするよう手配しておりましたがどうでございましたか?!」

「ああ、あれね。プリメラさまもお気に入りのようだったし、ええ、勿論美味しかったわ!!」

ふう、超無理矢理な話の変え方だったけどドルチェ好きにはやっぱりお菓子の話題が一番利くな……。

どうせレシピ欲しいって言い出すだろうと予想してもう用意もしてあるんですよ。ふふん。

「ユリアの手作りなのでしょう?」

「はい」

「タルト・タタンって名前なんですって、先生!!」

「そう。とても美味しいからレシピを教えてもらえないかしら」

「はい、かしこまりました。用意してございますのでお帰りの際に……」

「ありがとう。相変わらず良い手際ねえ。これだけ美味しかったらきっと『彼』も喜ぶでしょうねエ。いいえ、もう喜んだのかしら?」

「ぐふっ?!」

は、話を戻してきた……だと……!!

ビアンカさまは多分私の反応を楽しんでいるんだろうから、何事もなくスルーすればいいって頭ではわかってる。

わかってるけどさ……、恥ずかしいもんは恥ずかしいんだよおおおおォォ!!