軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12

──番になった翌日。

私は現在、ベッドの上で顔を枕に埋め頭を抱えていた。

「……っ、むり、むりむりむり……!」

ごろんごろんと左右に転がり、足をジタバタする。

あぁ、思い出すだけで恥ずかしい。昨日の私はどうかしていた。

泣きながら総務部へ突撃し、レオンさんへ抱きつき、「行かないで」とか言って、挙句の果てには告白して番になった。

いや本当に何をしてるの私!?

恥ずかしすぎる!!

しかも問題はそこだけじゃない。私は昨夜、番になった後のゾウ獣人文化について、レオンさんから“色々”教えられてしまったのだ。

「耳を触るのは、かなり親密な求愛行動です」

「えっ」

「低周波の共鳴は、番候補への受容反応」

「えっ」

「そもそもあんな周波数で鳴いたら、好きだと公言しているようなものです」

「えっ」

その時点で既に頭を抱えたくなっていたというのに。

レオンさんは淡々と追撃してきた。

「手作りの食べ物を渡したり、相手に食べさせたりするのは給餌行動。それも求愛です」

「待ってください」

「雄の後ろへ隠れるのは庇護を求める行為」

「待って」

「自分から抱きつくのは」

「待ってくださいぃぃぃ!!」

私は耳を押さえて悲鳴を上げた。

いや無理!!

そんなの知らなかった!!

「だって誰も教えてくれなかったじゃないですか!!」

「普通は本能で分かるので」

ぐうの音も出ない。

私はその場で崩れ落ちた。

するとレオンさんが、困ったように笑う。

「……本当に何も分かってなかったんですね」

「だ、だってぇ……!」

だって!前世日本人だったし!!ゾウ獣人の本能なんて分からないし!!

しかも、思い返せば私はかなり序盤からやらかしていた。

『レオンさんの匂い落ち着きます』

『隣がいいです』

『もっと一緒にいたい』

『行かないで』

うわあああああ!!

今すぐ穴掘って埋まりたい!!

「っ〜〜〜!!」

昨日羞恥でじたばた暴れる私を見ながら、レオンさんは肩を震わせて笑っていた。さも愛おしくてたまらないと言わんばかりの表情で。

「笑わないでください……!」

「いや、すみません。可愛くて」

さらっと言われてしまった。

心臓が爆発する。私が真っ赤になって固まっていると、レオンさんがふと手を伸ばしてきた。

指先が私の耳へ触れる。

「ひゃっ」

ぴこん、と耳が跳ねた。

「……ほら、また赤くなった」

「だ、だって急に触るから……!」

「番の耳は触りたくなるでしょう」

「つがいの……」

その単語だけでまた顔が熱くなる。私達、本当に番なんだ。お揃いのピアスをつけた耳がじんわり熱い。

そこへレオンさんが顔を寄せてきた。

「っ」

近い!近い近い近い!!

低い声が耳元へ落ちる。

「エレナ」

「は、はい……」

「もう他の雄に匂い嗅がせないでくださいね」

「うっ」

南方連合の件を思い出してしまった。レオンさん、あの時かなり怒っていた気がする。

でも

「……レオンさんにしか興味がないので、大丈夫です」

素直にそう答えた瞬間

ゴゴゴ……

空気がが震えた

「あっ」

レオンさんが片手で顔を覆う。

「……だからそういう事を無自覚に言わないでください」

「えっ!? なんでですか!?」

本当に分からなくて聞き返した瞬間、ぐいっと腕を引かれた。

「きゃっ」

そのまま抱き寄せられる。

近い胸

落ち着く匂い

低く響く振動

まだ心臓がうるさい。

「レ、レオンさん?」

「……好きな人に“あなただけ特別です”って言われて平気な雄がいると思います?」

「うっ」

その言い方はずるい。私はまた真っ赤になりながら視線を逸らした。

するとレオンさんが、ふ、と笑う。

「まあ、今さらですが」

そのままこつん、と額を合わせられた。至近距離で金色の瞳が細められる。優しい視線。

好き。

そう思った瞬間。

ビリリ……

自然と鳴き声がもれる。その振動に共鳴するように、レオンさん側からも求愛の声が返る。

カップが小さく揺れる。

空気が甘く震える。

レオンさんが目を細めた。

「……やっぱり可愛い」

「うぅ……」

もう無理。

恥ずかしすぎる。

私はそのままレオンさんの胸へ顔を埋め、深く匂いを吸い込みながら額を胸にグリグリと押し付けた。

「エレナ」

「はい?」

「それ、完全に甘えてる時の反応です」

「やめてくださいぃぃぃ!!」