軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

87 オリビアさんは天才

「さ、今日はね! ハルトちゃんとユウマちゃんに、いいものがあるのよ~!」

晴れて家族になり、今日はお祝いだと喜ぶトーマスさんとオリビアさん。

お昼はたくさん食べたので、ご馳走は明日にするとオリビアさんは張り切っている。

そして今日、僕たちが牧場へ遊びに行っている間に、オリビアさんが何をしていたかと言うと……?

「じゃ~ん! おばあちゃんもアイス! 作ってみたの~!」

「うわぁ~~! すごぉーい!」

「あいしゅ! おいちしょ~!」

オリビアさんが朝から作っていたのは、果物をふんだんに盛り付けたフルーツパフェ!

ハルトとユウマが以前に作った火を使わないアイスとは違い、牛乳と砂糖を火にかけ、卵黄と泡立てた生クリームを使用した少し濃厚なバニラアイス。

それだけではびっくりさせれないわ、とオリビアさんが言うので、僕は果物とクッキーを使おうと提案した。

オリビアさんは僕たちが起きてくる前に薄力粉と砂糖、バターと卵でクッキー生地を作り、僕たちが出掛けた後に冷蔵庫でねかせておいた生地を薄くのばして、ハートやうさぎの形に型抜きしオーブンへ。

果物は 苺(フレッサ) 、バナナ、 キュウイ(キウィ) 、 オレンジ(オランジュ) をカットし、そして器に果物とアイスを盛り、ホイップした生クリームにバタークッキーを立てかければ完成。

材料と手順、こんなカンジという完成形の手書きのメモは渡したけど、盛り付けはオリビアさんの技術でものすごく美味しそう!

パフェグラスじゃなく普通のグラスなんだけど、すごく綺麗で、早く食べたくて口の中で涎が溢れて止まらない……。

「ばぁば~! たべちゃぃ~!」

「はやく! はやく! おいしそう、です!」

「うふふ、そうね! ではどうぞ、召し上がれ!」

「「「「いただきます(まちゅ)!」」」」

ユウマはテーブルの位置が高いため、トーマスさんの膝に座ってグラスを支えてもらっている。

ハルトとユウマが小さな手でスプーンを握りしめ、嬉しそうにバニラアイスとホイップを掬い、パクリと頬張ると途端に目がキラキラと輝きだした。

「「おぃしぃ~~っ!!」」

それからの二人は、口の周りが生クリームでベトベトになっているのもかまわずに、夢中になってパフェを食べていた。

オリビアさんは、二人がおいしいおいしいと食べる姿を、とても満足気に眺めている。

トーマスさんはユウマを膝に乗せながら、旨いな、と呟いてオリビアさんにクッキーのお替りはないかと催促している。そして形が崩れてしまい除けていたクッキーを多めに貰って食べていた。

そして僕もどれから食べようかな、と迷うけど、やっぱりここはバニラアイスかな? スプーンでホイップと果肉ソースがかかったバニラアイスを掬い、パクリと一口。

「うぅ~~~! しあわせ……っ!!」

濃厚でくちどけのいいアイスと、甘くてふわふわのホイップクリーム。そしてフレッサを煮詰めて作られた果肉たっぷりの赤いソースが甘酸っぱくて、自然と笑みがこぼれてしまう……!

うさぎの形をしたバタークッキーも、口の中でほろほろと崩れていき、バターの香りがふわっと広がってトーマスさんがお替りするのもすごく分かる。

食べ進めると、中にもゴロゴロと果物が敷き詰められていて、どこを食べても美味しい……。そして中段にもアイスが……!

あれ……? このアイス……、味が違う……!

フレッサのアイスクリームだ!!

僕がバッと顔を上げると、気付いた? という風にオリビアさんがウインクする。

「オリビアさん、天才……!」

思わず声に出すと、トーマスさんとオリビアさんは声をあげて笑っていた。

だって美味しいから本当の事だし……。

僕が言ったのを真似してか、ハルトとユウマもおばぁちゃんてんさい! と大声で褒めだして、また二人で笑っていた。

開けた窓から入ってくる風が、僕の頬を撫でる様にかすめていく。

昼間より少しだけ温くなった風は、少しだけ夏の香りがした。

この人たちと家族になれたこの日を、僕はずっと忘れないでおこうと心に決めた。