軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

51 気になる依頼主

「ほんとに行っちゃったわねぇ……」

「ギルドに二人を連れて行っても、問題ないんですか?」

少し照れくさかった朝食後、トーマスさんはしばらく依頼はいいと、本当に休む気満々の様でハルトとユウマは大喜び。

オリビアさんと僕は顔を見合わせて笑ってしまった。

だけどイドリスさんにはお店の事を知らせておかないと困る。

だけどハルトとユウマと遊びたい。

……と言う事で、急遽ハルトとユウマを連れて乗合い馬車で冒険者ギルドに行ってしまったのだ。

「依頼を子供連れで出しに来る人もいるし、トーマスがいれば変に絡まれる心配はないから大丈夫よ?」

「ハルトとユウマが迷惑掛けないか心配です……」

「ん~。私はイドリスに伝えに行くのは口実で、ただ自慢しに行っただけの気もするけどね?」

「そうですか……?」

「ふふ、心配し過ぎよ~」

二人がはしゃぎすぎて、トーマスさんや周りの人に迷惑を掛けないか気が気でない。

気になりつつも、オリビアさんと僕は明日の開店準備に向けて仕込みを再開させる事に。

僕は次のパスタ生地を仕込み、それが終わったら昨日寝かせたパスタ生地を薄く延ばして切っていく。まだどれだけの人が食べに来てくれるか分からないから、少し多めに仕込んでいる。オリビアさんも、もし残ったら夕食に使えばいいと言ってくれているので気が楽だ。

オリビアさんはトマトソースを仕込み中。オムレツとコロッケ、そしてこれとは別に、牛乳を加えてトマトクリームパスタのソースに使う分もあるので、これも多めに仕込んでいる。

「オリビアさん、トーマスさんの毎年遊びに来るお友達? の方って、どんな人なんですか?」

昨日、話を聞いて少し気になっていたのだ。

トーマスさんはそんなに可愛いものじゃないとか言ってたけど、信頼されてるから毎年来るんだろうな。

「そうねぇ、いっつも仕事に追われてるわね。それも責任の重い仕事で。他の人には任せられないくらい重要な地位の人なのよ。だから、家族思いなんだけど、仕事があるからあまり一緒に過ごせないの」

大きなお店の社長さんとかかな? 大変そうだ。

「それはご家族も寂しいですね」

「そうなのよ、だから愚痴ばっかりでね。トーマスが視察だとか何とか言って家族と遊べないのかって、ポロっと口に出しちゃったの。ビックリしちゃったわよ! なに言ってるのこの人! ってね」

「トーマスさん、そんな事言う人でしたっけ?」

トーマスさんは真面目で面倒見がいいというイメージだからそんな事……、いや、言うか。

さっきも仕事に行きたくないって言ってたし……。ハルトとユウマも連れて行っちゃったしな……。

でもトーマスさんの場合は、依頼をいっぱい受けたから当分はいいって事だもんね! やっぱり真面目!

「トーマスはあ~んな気難しい顔して、楽しい事は結構好きよ? でも言ったのは二十年以上も昔よ? でもその人はずーっと覚えてたらしくてね~。トーマスがこの村に越してきたときに、視察に行くから護衛しろって。つまりは“家族で遊びに行くからよろしくね”って依頼してきたのが始まりね」

こんな何もない村に来るのよ~、なんてオリビアさんは笑っている。

やっぱりその人は、トーマスさんのこと信頼してるんだろうなぁ。

「それでご家族で来るんですね」

「最初は周囲に猛反対されたりしたけど、今はもう真面目に仕事するならいいですよって大目に見てくれてるみたいね」

遊んだら気分も変わるんだろうな。休みって大事だよね。

「この家にも来たりするから、その時にユイトくんもご挨拶しましょうね」

「はい、ちょっと緊張しますけど。トーマスさんのお友達なら優しいですよね、きっと」

「ちょっと羽目を外す事もあるけど……。 概(おおむ) ね良い人よ!」

概ね……、ちょっと心配だな。

「もし来たら、ユイトくんのご飯も食べてもらいましょうよ!」

「えっ!? 僕のですか?」

「えぇ、こんなに美味しいもの食べれていいでしょう? って自慢するわ!」

「恥ずかしいからやめてください……」

オリビアさんは、あら!本気よ? なんて真面目な顔で言っている。

どんな人が来るのか楽しみにしつつ、僕は明日の準備に追われるのだった。