軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

48 営業再開日、決定!

「お店の営業を、再開したいと思いまーす!」

そう高らかに宣言したオリビアさん。

「と言う訳で、再開する日にちを決めたいなと思って相談したのよ~!」

「日にちなら、僕はいつでも……」

僕たちはこの家にお世話になっている身だ。

生活費だって、治療費だって、トーマスさんとオリビアさんに甘えている状態。

僕としては、早くなんとか役に立てればいいんだから気にする事ないのに……。

「だめよ? ちゃんと話し合って決めたいの。それに営業するにしても、トーマスがいないときはハルトちゃんとユウマちゃんも私たちの見える場所にいてもらいたいじゃない? だからトーマスが依頼で出掛ける日はお休みにしようかなと思ったのよ」

そっか、お店が始まったらハルトとユウマは同じ建物にいても、過ごすのは別になっちゃうもんな。

営業が始まったらお店の中もバタバタして、危ないかもしれないし……。

「そうですね……。ハルトとユウマも、お願いしたら家の中で大人しくしてくれると思うんですけど、やっぱり二人だけだと心配ですもんね……」

「そうなのよ、何かあったらと思うと私、どうにかなりそうだもの」

「ん~、でもトーマスさんが依頼で何日もいない日が続いたら、全部は休めないと思うんです。来てくれたお客様にも申し訳ないし……」

「そうねぇ、遠出の場合もあるわねぇ……」

僕とオリビアさんは、二人でう~んと頭を悩ませる。

僕としてはトーマスさんとオリビアさんの役に立ちたい。だけどハルトとユウマも心配だし、その事でお店を閉めてしまっては、元も子もない様な気がするんだよな……。

ハルトとユウマを、安心して頼める人……。

……あ、そうだ!

「トーマスさんがいない日は、オリビアさんのお休みにするのはどうですか?」

「え? 私の?」

「はい! これだったら僕も安心だし、元々オリビアさんのお手伝いでお店で働かせてもらう事になったのに、お店を閉めたら申し訳ないので! ……それに、僕にも頼ってほしいです……」

「ユイトくん……!」

オリビアさんが僕の言葉を聞いて、感激したとばかりに泣き始めてしまった……。

そりゃあ、まだ一度しか接客はしてないし、イドリスさんたちみたいな人が一気に食べに来たら自信はないけど……。

でも、頑張って早くオリビアさんの負担を軽くさせたいと言うと、また泣き出してしまった……。

どうしようとあたふたしていると、後ろからあ~! っと大きな声が聞こえた。

「おにぃちゃん、おばぁちゃんなかせたら、めっ、です!」

「ばぁばなくの、ゆぅくんかなちぃの!」

「「めっ!!」」

「えぇ~……、ごめんなさい……」

そんな僕たちのやり取りを見て、オリビアさんはやっと笑ってくれた。

はぁ~、よかった……!

そんな事を考えていると、後ろでトーマスさんの笑い声も聞こえてくる。

「ならオレも、安心して依頼を受けれるな」

「はい! 頑張るので任せてください!」

「ありがとう、ユイト。頼りにしてるよ」

そう言って大きな手で僕の頭を撫でてくれる。

僕、トーマスさんに撫でられるの好きなんだよな……。

安心するというか……。

「オリビアも愛されてるなぁ?」

「ほんとだわ。こんないい子たちに出会えて、私たち幸せね」

オリビアさんも笑いながら僕の頬をそっと撫でてくれる。

それを見たハルトとユウマも、ぼくもなでて、とオリビアさんに抱き着いている。

優しく撫でられて、二人もとっても嬉しそうだ。

……あ、思い出した。

「オリビアさん、サンドイッチって、メニューに加えてもいいですか?」

「サンドイッチ? 美味しいわよね」

でも急になぜ? と訊かれ、

「はい。イドリスさんが常連になってくれるそうなので、オリビアさんに相談するって約束したの忘れてました!」

そう言った途端、お二人の苦虫を噛み潰した様な顔を、僕はずっと忘れないと思う……。

「では、気を取り直して! お店の営業再開日について話し合いたいと思います!」

「「はぁ~ぃ!」」

イドリスさんの好きなサンドイッチは、メニューに無事採用されたが、イドリスさんとギデオンさん、バーナードさんとブレンダさんは予約制にする事が決まった。

あの人たちは来店の二日前には教えてくれないと、お店の食材が無くなる可能性があると。

それには異議なし! で即決だった。

「そうだな、オレの方ももうすぐ指名依頼があるからな。ユイトには少し早めに店を任せるかもしれん」

「あら、もうそんな時期なのね」

「時期? トーマスさんの指名依頼って、毎年ですか?」

ちょっと不思議に思って聞いてみた。どんな依頼なんだろう? 毎年って事は、季節の薬草とか? トーマスさんだったら暑い時期にしかいない魔物とかかな? いつも頼まれるって信頼されてるって事だよね!

「そうなのよ。王都にいるときに、直々にお願いされちゃったのよね?」

もう十年くらいになるかしら? とオリビアさんがユウマの頭を撫でながら、思い出した様にふふっと笑う。

「今年はユイトたちと家にいたいよ……」

トーマスさんはハルトの頭を撫でながら、溜息交じりで答えてくれた。

「おじぃちゃん、どこか、いっちゃいますか?」

「じぃじいなぃの、ゆぅくんやだなぁ」

ハルトとユウマの寂しそうな顔に、トーマスさんはグゥっと唸っている。

「いや……。王都からな、知人が遊びに来るんだ。毎年な」

「その人たちの護衛も兼ねてるのよね」

「護衛、ですか? 遊びに来るのに?」

僕の頭の中は一体どんな人? と疑問でいっぱいだ。

「ちょっとなぁ……。偉い人なんだよ……」

「なるほど……?」

トーマスさんが言葉を濁して頬を掻いている。

「わざわざ往復に数日も掛けて遊びに来るのよ?」

「そんなにトーマスさんに会いたいんですね!」

「ふふっ、そうね!」

「そんな可愛いもんじゃないよ……」

トーマスさんはまた溜息交じりに苦笑い。

来たときは紹介するって言ってくれたから、今から会うのが楽しみだ。

「その依頼が二週間後なんだよ。それまでにユイトには、頑張って店の事を覚えてもらわないといけないんだが……。頼んでもいいか?」

「はい! なら、なるべく早く営業再開させたいです!」

覚えるのには実践が一番だし。

「そうねぇ、仕入れるお店にも連絡しなきゃいけないし……。ん~、二日後、でどうかしら? 三日後でもいいわね」

「いえ! 二日後でお願いします!」

「じゃあ、再開は二日後に決定ね! 楽しみだわ!」

「はい! よろしくお願いします!」

こうして無事に営業再開日が決定し、僕のやる気も沸々と漲るのであった。