軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

16 オリビアさんは最強?

「すまないが明日、ギルドに行ってくるよ」

昼食を食べ終わり、片付けもひと段落ついたところで、ユウマを膝に抱えたトーマスさんが切り出した。

オリビアさんも分かったわ、と頷いていたが、僕は“ギルド”が何なのか分からない。

「あの……、ギルド? って、なんですか?」

「ん? ユイトは知らないか?」

「はい。初めて、聞きました……」

「そうか」

すると、トーマスさんがふむ、と僕に説明してくれた。

「オレが行くのは冒険者ギルドと言って、魔物や魔獣の討伐、薬草の採取に護衛。他にも荷運びや、あとは……。そうだな、掃除や皿洗いなんかもあるな。要は、オレみたいなヤツが仕事の依頼を受ける場所だな」

「皿洗いもあるんですか?」

危険な事ばっかりかと思ったけど、意外過ぎてビックリだ。

「あぁ。新入りの時は、なるべくランクを上げる為に雑用でも何でもやったんだ。依頼を受けると期限があるから、なるべく多くの依頼をこなしてたな……。失敗すると罰金だがな」

冒険者というのは、小さい頃にアニメか漫画で見た記憶があった。

唯々カッコいいと思っていたんだけど、そうか、仕事だもんな……。

他にも興味があっていろいろ話を聞くと、冒険者は成人を迎えたら誰でも登録出来るらしく、身分証代わりに登録する人も多いんだとか。

依頼はランクによって制限されていて、期限を過ぎたり失敗したら罰金、降格。

最悪の場合は、借金奴隷にならないといけないらしい……。この世界には奴隷なんてあるのかと怖くなった。まぁ、借金を返せたら解放されるみたいなんだけど。

あと、この世界の成人は15才と聞いてビックリ!

冬が来たら15才になるし、もしかしたら僕でも登録出来るのかな……。

「その冒険者ギルドは、この村にあるんですか?」

「いや、隣の街にあるんだよ。歩くと少し時間が掛かるが、乗合馬車だと割とすぐに着くくらいの距離だ。指名依頼が入ったらしいから、明日行って確認してくるよ」

僕はもう少し聞きたかったんだけど、ユウマが眠いと愚図りだし、トーマスさんがユウマと一緒にハルトも昼寝させてくると言ってこの話は終了した。

「ユイトくんは、冒険者に興味あるの?」

そう言って、オリビアさんが切った オレンジ(オランジュ) を持ってきてくれた。

甘酸っぱくて爽やかな柑橘の香りが、気分をすっきりさせてくれる。

「知り合いに冒険者っていう人がいなかったので、いろいろ聞きたくなっちゃって……! でも、失敗したら罰金があると言うのは知らなかったです……」

「そうね。人に感謝されたり、ランクが上がって報酬も上がったり、夢があるんだけど……。実際はとても厳しい仕事なのよ。傷だって絶えないし、手足を失うかもしれない。最悪の場合は戦って死んでしまうこともあるの……」

いつも無事で帰ってくるか心配なのよ、と目を伏せたオリビアさんの横顔がとても悲しそうで、僕は上手く声を掛けられなかった。

そのあとはまた、オリビアさんにお店のメニューのことやお金のこと、生ゴミの処理のことなんかを教えてもらって時間が過ぎていった。

ゴミは村の決められた場所に捨てて、燃やせる物は燃やして、そこで処理出来ない物はこの村で飼育しているスライムが処理してくれるらしい。あと、トイレもそうなんだって!

スライムは雑食で、何でも自身の養分にして処理してくれるからかなり重宝されているらしい。

見たことないけど、すごいな、スライム。

あ、そういえば。訊いてみたいことがあったんだ。

「オリビアさん、魔石っていうのはどこから出てくるんですか?」

電気もガスもない世界でこうやって便利に暮らせるのは、あの魔石があるからだよね?

でも、どうやって作ってるんだろうと不思議に思ってたんだ。

「魔石? 魔石鉱とかダンジョンね~。魔石鉱は領主様に管理されているから勝手には持ち出せないの。だけど、ダンジョンでドロップ品として出たなら売買は自由よ? あと魔核っていうのもあって、ランクの高い魔物を倒したらドロップされたり解体して採れるんだけど、こっちの方が効果は強いわね~。長持ちするし、とっても便利よ?」

「便利?」

「そう! だってこの家とお店の中、外と違ってとっても涼しくて快適でしょ?」

「……え!? これ、魔核なんですか!?」

「えぇ、そうよ?」

「魔核って魔物から採れるんですよね!? あ、トーマスさんが倒したモノですか!?」

「ふふ! 私よ?」

「え?」

「私が倒したの~。元冒険者だもの! かなり昔だけどね?」

あ、冬は暖かくていいのよ~、なんてウインクしながら微笑むオリビアさんに、僕は驚きすぎて声も出なかった。