軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

④⓪

二人で声を揃えてそう言った。

ローズマリーは改めて二人を抱きしめて何事もなかったことに安心していた。

「怪我がなくてよかったです」

『ローズマリー、ボクらを守ろうとしてくれたのは嬉しかったけど無理しちゃダメだよ』

『これからはアタシたちを頼って! ローズマリーより強いんだから』

腕を折り曲げて、力こぶをつくるオパールを見てローズマリーは微笑んだ。

「二人とも、ありがとうございます」

『これからもローズマリーとずっと一緒にいるわ』

『ボクたち、ローズマリーが大好きなんだよ』

ローズマリーは二人を見つめながら頷いた。

それからリオネルにお礼を言う。

彼がいなければ、どうなっていたかわからない。

「リオネル殿下、わたしを守ってくださりありがとうございます」

「……僕は何もしていないよ」

「そんなことありません。助けてくださいました」

「…………」

けれどリオネルはクリストフの侵入を許したことが許せないのか、まだ厳しい表情のままだ。

ローズマリーは二人から離れて、リオネルの手を握る。

「リオネル殿下、これからもわたしたちのそばにいてください」

「……!」

ローズマリーの言葉にリオネルは大きく目を見開いた。

「もちろんだよ。これからも君のそばにいさせてくれ」

「はい、よろしくお願いいたします」

クリストフが城に侵入した事件は瞬く間に広がりを見せた。

許可なくカールナルド王国に入国。

カールナルド城に侵入してローズマリーと魔法樹たちを誘拐しようとしたことでカールナルド王国の国民たちは大激怒。

もちろんカールナルド国王や王妃、リオネルの怒りも相当なものだった。

バルガルド国王もローズマリーを無理やり奪われたのだと主張したのだが、ローズマリーはリオネルと共にバルガルド王国の魔法を貴族たちだけで独占して使っていたこと、

魔法樹クロムの話を伝えて、教会や王家の魔法の使い方が間違っており魔法樹を苦しめて百年あったはずの寿命を四十年に縮めてしまったことを話した。

もう二度とクロムのような魔法樹が現れないようにしてほしいと願っていることも……。

ローズマリーの言葉に加えてバルガルド王国で生まれた魔法樹、アイビーの発言が大きく証言となった。

内情が明かされて魔法樹の知識のなさも露呈したことで、バルガルド国王は勝ち目がないことを悟ったのだろう。

それ以上、反論することもなかった。

もちろんその元凶となったクリストフについては『もう我が国とは関係ない』と、あっさり切り捨てたそうだ。

バルガルド王国が魔法樹や聖女を奪おうとするのは、周辺の国々の条約を破ったことになる。

結局、バルガルド王国は魔法樹を失い周辺諸国から白い目で見られることになった。

魔法を失い、国は崩壊寸前。

助けを求めようとも魔法樹や聖女を奪われてしまうかもと誰も手を貸すことはない。

周囲から孤立することになり、リオネルはバルガルド王国がなくなるのも時間の問題ではないかと語った。

──それから一カ月後。

五歳ほどの子どもと同じくらいの大きさになったアイビーとオパールは、今日も元気そうにローズマリーに甘えていた。

『ねぇねぇローズマリー、抱っこして!』

『子どもみたいなこと言わないで。あとローズマリーを困らせないでちょうだい!』

「わかりました。ギューしましょうね」

『わーい、ぎゅー!』

ぷにぷにと柔らかい頬が触れる。

甘えん坊のアイビーを抱きしめながら幸せを感じていた。

ふと視線を感じてオパールの方に向くと、腕を組みながらチラチラとこちらを見ている。

「オパールちゃんもどうでしょうか」

『ロ、ローズマリーがそう言うなら仕方ないわね! してあげなくもないわよ』

ローズマリーが腕を広げると、オパールも体を寄せる。

ツンとしているように見えるが頼りになり優しいオパール。

彼女を抱きしめたまではよかったが、そのまま離れなくなってしまった。

「あの……オパールちゃん?」

『ローズマリーのそばから一生離れないから』

「えっと……はい」

あれから二人の成長はピタリと止まっていた。

本人たちもこの体の方が色々と動きやすいし、ローズマリーに甘えられるからと暫くはこのままでいるそうだ。

しゃべれるようになったことで、夢の中以外でも意思疎通もできるようになりさらに仲が深まっていく。

体の成長は止まったが、使える魔法はどんどんと増えていった。

植物を操っていたのでローズマリーと同じ魔法を使えるのかと思いきや、水魔法、火魔法、土魔法などさまざまな魔法が使える。

魔法樹は魔法の源を作り出すため、どんな魔法でも使えるようになるそうだ。

だけど回復や食事と同じように、ローズマリーの使う緑の魔法と呼ばれるものだけは外から……つまり聖女たちにもらうのだそう。

それから二人が喋れるようになったことで、魔法樹の研究員たちは大興奮。

なんせ今までわからなかった魔法樹のことを直接本人たちに聞けるようになったからだ。

樹というと、その場所にずっと留まっているイメージが強いので二人を見ているとなんだか不思議な気分になる。

今では二人の世話も慣れて、リオネルと一緒にいることが多いので二人で子育てしている気分だ。

アイビーはよく木の実や食べられる草や花を集めてローズマリーに渡してくれる。

オパールは誇らしげにどこからか立派な果実をとってきてくれるのだ。

ローズマリーが何よりも食べることが好きだと知っているからだ。

ローズマリーがお礼を言って喜ぶと、二人も嬉しそうにしてくれる。

『ボクの方がローズマリーを喜ばせられるっ』

『あら、アタシの方がローズマリーのことをよくわかっているわ!』

「二人とも喧嘩はだめです!」

『『……はーい』』