軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

168.最後の称号のレベルアップ

「イリス、今日も森の奥まで行くぞ!」

「あんまり無茶しないでくださいよ」

「ちゃんと、自分のできるところまでにするから大丈夫だ」

「クレハがどんどん進むと、私がついていけなくなりますからね。そこは気を付けてくださいよ」

これから行く魔物討伐のことで張り切ったクレハがイリスに提案している。最近のクレハはとても張り切って魔物討伐をしていて、それにイリスが付き合っているみたいだ。無理をしている様子はなく、イリスは苦言はいうがクレハの提案を全面的に受け入れていた。

そんな話をしていると、周りにいた冒険者たちが話しかけてくる。

「最近の二人の活躍は目覚ましいな」

「昨日もあんなに狩ったのに、まだやる気なのか。若いってすごいね」

「本当に最近は見違えるよ。どうしてそんなことになったんだ? まさか、生活費がないとかか?」

二人が頑張って魔物討伐をする理由を考えた冒険者たちは顔色を悪くした。生活費が工面できないほど、厳しい生活をしていると思われたらしい。途端に空気が悪くなった。

「違うぞ、生活が楽しくなったから、魔物討伐をもっと頑張ろうって思ったんだ」

「最近、村の子供たちと遊ぶようになったんです。遊ぶようになると、魔物討伐へ行く回数が減ります。だから、その分を頑張って取り戻そうと考えたんです」

「そうか、村の子供と遊ぶようになったんだ。そういえば、今までそんな素振りは見せなかったなぁ」

「遊べるようになるくらいに生活が安定したんだな、本当に良かった」

「今まで遊んでこなかった分、思う存分に遊びなさい」

村の子供たちと遊ぶようになったことを伝えると、冒険者たちは温かい目で見てきた。今まで働いている私たちしか知らない冒険者たちは、みんな微笑ましそうだ。

「毎日忙しいですけど、なんか以前より充実している気がするんです。どれもやりたくて仕方ないんです」

「魔物討伐も遊びもどっちも大事なんだぞ」

「それはいい傾向だな。働くことも大事だが、遊ぶことも大事だ」

「多感な子供時代だ、色んな経験をしたほうがいいだろうな」

「遊ぶのも仕事の内さ」

冒険者たちの温かい言葉に私たちは笑顔になった。改めて遊んでもいいと言われると、残っていた罪悪感が消えていく。

「今日は一番の討伐数を稼ぐぞ! 早く食べて、早く行くんだぞ!」

ガツガツ食べ始めるクレハを見て、イリスも早く食べ始めた。そして、あっという間に朝食を食べ終わると、イスから立ち上がる。

「それじゃあ、行ってくる!」

「お先に行ってますね」

リュックを背負った二人は駆け足で食堂を出ていった。今日もやる気十分に出ていく二人を見送ると、こちらも負けてはいられなくなる。残っていた朝食を早く食べると、テーブルの上に朝食の代金を置く。

「お、ノアももう食べ終わったのか。二人に負けられないもんな」

「うん。二人が頑張っているんなら、私も頑張らないとね」

「あんまり無理をするなよ。生活もそんなに困ってないんだろう?」

「そうだけど、いてもたってもいられないんだよね。じゃあ、行ってきます」

私も二人を追うように食堂を出ていった。今日も小麦作りを頑張ろう!

村の子供たちと遊び始めると、生活はさらに豊かになった。どちらかというと、心の方が豊かになった感じだ。そのお陰で日常はさらに楽しくなって、それは成果にも繋がった。

イリスとクレハの魔物討伐はかなりの数を討伐するようになり、その活躍は冒険者たちが目を見張るほどだ。話を聞いてみると、イリスを背負ったクレハが一気に魔物が多くいる森の奥を進み、そこで魔物討伐をしているから討伐数を稼げると言っていた。

何かしているとは思っていたけれど、そんなことをしてまで頑張っているなんて。イリスはちょっと苦言を言っているみたいだけど、制約はしていないみたいだ。私も色々と言いたくなるが、無事に帰ってきているから厳しいことも言えないな。

頑張っている二人に負けじと私も小麦作りをしている。人手は分身魔法でいくらでも増やせるから、畑を拡張して収穫する小麦の量を増やした。

遊びの日を設けたしわ寄せが来ないように、日々の仕事を頑張った。そのお陰で遊びの日を設けても生活は成り立っているし、収入も安定して稼いでいる。一人だとここまで上手くいかなかっただろう、やっぱり三人で力を合わせているのが強みだ。

そして、今日の仕事も終わり二人が帰ってきた。

「「ノア!」」

家に入ってくるなり、二人は声を上げた。一体どうしたんだ? 私は二人に駆け寄った。

「おかえり。いきなりどうしたの?」

「ノアに見てもらいたいものがあるんです!」

「見てもらいたいもの?」

「ウチらに鑑定をかけてくれ!」

「う、うん」

自ら鑑定をかけて欲しいって珍しいな。私は不思議に思いつつも、二人に鑑定をかけた。

【クレハ】

年齢:十一歳

種族:狼獣人

性別:女性

職業:冒険者

称号:勇者

【イリス】

年齢:十一歳

種族:人間

性別:女性

職業:冒険者

称号:聖女

「あっ! 称号が変わってる!」

「やっぱり、そうだったんですよ」

「あぁ、合ってたな!」

「どういうこと? とりあえず、座りなよ」

私は二人に洗浄魔法をかけて、席へと促した。二人は大人しく席に座り、話始める。

「あのですね、今日戦っていたら急に体がおかしくなったんです」

「今までとは違う感じだったんだ」

「体に異変が? それって無理をしていたから、体に悪いことが起こったんじゃなくて?」

「いいえ、そんな感じではありませんでした。新しい力を手に入れた、そんな感じです」

「なんかこう、ブワーッ! と、力が溢れてきたんだ」

新しい力が手に入った、力が溢れてきた。それはきっと称号のレベルアップによって与えられる力だと思う。だけど、今回は今までとは桁違いの力が手に入ったっていうことかな?

と、なると原因はこの称号だね。二人の称号から卵の記載が消えている。ということは、とうとう二人は正真正銘の勇者と聖女に変わったということになるだろう。

「あのね、二人の称号から卵が消えているの。勇者と聖女、それが今の二人の称号だよ」

「じゃあ、私たちは本物になったっていうことでしょうか?」

「なんとなく、言いたいことは分かる。うーん、一人前って感じか?」

「うん、そうだと思う。二人は本物で一人前の勇者と聖女になったんだよ」

それをいうと二人は顔を見合わせて、納得したように頷いた。

「本物になったから、本当の力に目覚めたんでしょうか?」

「今までは赤ちゃんっていうことだったから、急に大人になった感じか?」

「そういうことだと思うよ。今回の魔物討伐で経験値を稼いで、本物に成長したんだよ」

「そうですか、私たちは本物になったんですね」

「あの力が本物の力なんだな」

正真正銘の勇者と聖女になった二人。本物になると、今までとは桁違いの力を手に入れたみたいで、それに二人は戸惑っているように見える。

「とにかく、二人ともおめでとう。本物の勇者と聖女になれたね。まぁ、本物になれたからって生活が変わるわけではないけれど」

「そうですね。なんか凄い力が手に入って驚いちゃいましたが、これからもいつもと変わらないですものね」

「もっと沢山の魔物を討伐できる力が手に入ったって思えばいいか。これで、明日からももっと魔物を討伐できるぞー」

きっとこれが最後の称号のレベルアップになるだろう。ということは、私の称号のレベルアップも最後になるかな? 最後はどんな魔法を覚えるのか楽しみだな。