軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

167.農家の子供との交流(6)

ティアナと手を繋いで青い屋根の所まで来た。すると、そこにはディルが先に待っていた。ティアナはその姿を見つけると、手を離して駆け寄っていく。

「ティアナ! 今日は楽しく遊べたか?」

「うん、お姉ちゃんに新しい魔法を教えてもらったの」

「新しい魔法をか? すごいじゃないか、また新しい魔法を覚えられるなんて!」

新しい魔法のことを話すとディルは嬉しそうにしてくれた。

「魔法が使えるの凄いって他の子たちにも言われちゃった」

「うん、ティアナはまだ小さいのに魔法が使えて凄いぞ」

「えへへ。みんなに褒められて、私嬉しかった。だから、次の魔法も頑張って覚えるの」

「そうか、次のやることが見つかってよかったな」

ディルは嬉しそうにティアナの頭を撫でた。

「ノア、ティアナはどんな風だった?」

「他の子がいたからちょっと恥ずかしそうだったけど、少しずつ慣れてきたみたいだったよ。みんなとお喋りもできたしね」

「そうか、ティアナを見てくれてありがとう。いつも俺の後ろについてきてばかりで、つまらなそうにしてたから、こんなに楽しそうなティアナを見れて本当に良かったよ」

そっか、私がいない時はディルの後ろをついて回ったんだ。それだと、ティアナのやりたいこともできなくてつまらなかったと思う。今日は楽しい思いができたみたいで本当に良かった。

「お姉ちゃん、家に帰っても魔法の練習するね。だからね、また一緒に遊んでくれる?」

「もちろん、いいよ。次の三日後に集まる時も来るから、ティアナも来てくれると嬉しい」

「うん、行く! お兄ちゃん、次も絶対に来ようね!」

「そうだな。じゃあ、次もしっかりと来れるように、お手伝いを頑張らないといけないぞ」

「うん、私頑張る! 畑を耕して、お父さんを助けるの」

両手を握りしめて力説するティアナちゃん。その姿がなんだか可愛らしくて、二人で笑ってしまった。

「じゃあ、遅くなる前に帰るぞ。じゃあな、ノア」

「お姉ちゃん、バイバイ!」

「うん、またね!」

ディルはティアナの手を引っ張り、家へと帰っていった。その後ろ姿を見送った時、こちらに向かって駆け出してくる人影がいた。よく見るとそれはクレハとイリスだ。

「おーい、待たせたなー」

「お待たせしました」

「ううん、私も今来たところ」

「そうか、良かったぞ。こんな時間になったから、急いできたんだ」

「私もです。中々話が終わらなくて、こんな時間になっちゃいましたね」

遊びに夢中でキリどころが分からなかったのかな。まぁ、子供同士遊んでいたらそんなこともあるよね。私も魔法を教えていると、あっという間に時間が経ってこんな時間になったからなぁ。

「私も夢中で魔法を教えていたからこんな時間になっちゃったよ」

そう言いながら、私たちは家に向かって歩き出した。夕日が照らし出す中、畑が広がる道を歩いていく。

「それぞれが遊びに夢中になっていたみたいだね。色んな子と遊ぶのは楽しいよね、二人にとっては孤児院以来じゃない?」

「うん、そうだな。孤児院の時を思い出すような遊びだったんだぞ」

「なんか懐かしい気持ちになりました。ずっとこんなことをして遊んでいたなーって思いました」

「ウチは孤児院で男の子とばかり遊んでいたからな、その頃を思い出したんだぞ」

「クレハは遊んでいたっというよりは喧嘩をしていたでしょ」

「えっ、そうなの?」

クレハが孤児院にいる時は喧嘩をしていた? 喧嘩をするようなタイプじゃないと思っていたんだけど……。

「それは、小さい子をいじめていたからだぞ。力で教えようとしていたから、力で教えたんだぞ」

「でも、同じことをしたらクレハも同じになっちゃいますよ。あの時はその間に入るのが大変だったんですからね」

「孤児院では二人とも喧嘩を止める役割をしていたんだね。なんだか想像がつかないや。仲良しな二人しか見てこなかったから、その話は新鮮だな」

「あの時は毎日大変でしたよ。男の子と一緒でしたけど今回は喧嘩はしてませんか?」

「もちろんしてないぞ! みんないい奴らばっかりで、小さい子にも優しかったからな!」

心配そうにするイリスに対して、クレハは上機嫌に笑ってみせた。

「孤児院にいる子供たちと違う感じだからな、いやな感じが全くないぞ」

「孤児院って良いところではなかったの?」

「そうですね、あまりいい場所ではありませんでした。寄り集まってなんとか暮していた感じでしたからね」

そういえば、そんなことも言っていたな。じゃあ、その頃に比べるといい遊びができていたってことかな。

「もしかして、ここではじめて楽しく遊べた感じ?」

「おう、そんな感じだぞ! 遊ぶのってこんなに楽しかったんだな!」

「何も気にすることがなくて、夢中で遊べました。こんな体験初めてです」

「そうなんだ。だったら、私と同じだね。私は小さい頃から召使いで働かされていたから、まともに遊ぶことができなかったんだ」

孤児院でいっぱい遊んでいたと思っていたけれど、状況はそんなに良くなかったみたいだ。二人がいい笑顔で楽しかったという感想をいうくらいには、村での遊びはとても良かったみたいだ。

「じゃあ、ノアもこんなに楽しい気持ちになったのは初めてか?」

「そうだね、夢中になるくらいには楽しかったよ」

「それを聞けて良かったです。バラバラで遊びましたけど、同じくらいに楽しい気持ちにならないと気にしちゃいますね」

「三人一緒に遊ぶのも楽しいけれど、村の子と遊んでも同じくらい楽しいのが分かったぞ。二人も同じ気持ちだって知って、ホッとしたぞ」

誰か一人だけつまらない気持ちになっていたら、きっと楽しい気持ちにならないと思う。遊んでいた時は夢中になるくらい楽してそれを考える暇はなかったけれど、今になって考えちゃったのかな?

「でも、これで分かったね。村の子と遊んでも楽しいって。だから、これからも遊ぼう。今まで遊んでこなかった分、沢山遊ぼうね」

「そうですね、遊びましょう。あっ、でも生活は大丈夫でしょうか?」

「そんなに遊んでいたら、生活ができなくなっちゃうんじゃないか?」

「大丈夫! 冬の砂糖を作ったお金が入ってくるし、高級品のマジックバッグを売ったお金も入ってくる。そのお金が入れば、生活は今よりも楽になるよ」

そう、今の私たちには高収入になる仕事がある。お金はまだ入ってこないけれど、入ってきたらもっと暮しは楽になるはずだ。

「でも、どれくらい入ってくるのか分かりませんね。よし、魔物討伐をもっと頑張ってお金を貯めます!」

「おう、そうだな! ノア頼みにするんじゃなくて、ウチらもガンガン稼いでいこうぜ!」

「魔物討伐で村の平和を守りつつ、しっかり稼ぎましょう。魔物は倒せば倒すほどお金になりますから」

魔物を怖がっていたイリスが懐かしく思えるほど、今のイリスはたくましくなっている。魔物を倒すのは村の平和を守るのに必要な事だし、収入にもなるから大事だ。

「だったら、もっと森の奥にいって魔物を倒そう! ガンガン倒せば、お金も貰えるからな」

「あっ、でもそうするとクレハが無謀なことをはじめそうです。クレハは無茶しちゃだめですからね」

「えー……もっと魔物がいるところに行こうと思ったのに」

「クレハはすぐに無茶するからダメです」

「ふふっ、二人の気持ちは分かったよ。まぁ、無理がないように頑張ってくれると嬉しいな」

もっと遊ぼうっていう話をしたかったんだけど、もっと魔物討伐を頑張るっという話に変わってしまった。でも、二人が頑張ってくれるから自分も頑張れるんだよね。だから、お互いに無理しない程度に頑張れたら嬉しい。

「また次も遊ぶために、お仕事も頑張ろうね」

「はい! また遊びたいですしね」

「だなー。だから、今回遊べて良かったぞ! もっと頑張る気になれたからな!」

仕事を頑張るために遊ぶのか、遊ぶために仕事を頑張るのか。どっちが先かなんて分からないけれど、遊んだことで生活に潤いが出たのは確かだ。

これからは今までよりもっと良くなる、そんな気がした。