軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

140話 神様への手紙

取り調べの結果、雛ちゃんを連れ去ろうとしたのは、ティエパメラ大陸のラパウエの残党だということがわかったという。聖女を人質にして、捕らえられている人たちを解放しようとしたんじゃないかということだ。次から次へと問題ってのは湧き上がってくるものだね。

っていうか、連鎖していくんだなと身に染みる思いだ。わたしもいろんな目にあったと思うけど、やはり原因と言える元がある。逆恨みだと思うことばかりだけど、繋がっているんだよなって思う。

わたしが盗賊に殺されそうになったのは、逆恨みのトバッチリだったけど、元は盗賊を撃退して、その撃退メンバーでわたしが一番倒しやすいと思われたからだ。

帝国の残党に陥れる魔女とされそうになったのも、ソコンドルの王に詰め寄って、あの騒動の追撃したメンバーだと認識され、やっぱり立場も何もかも弱いと見抜かれたからだ。

牧場を攻撃されたのも、同じ。わたしの行動によって引き寄せたこととも言える。

そんなふうに、起こる全てのことは繋がっていて、未来にも繋がっていく。

きっとどんなに清く正しく生きたとしても、そんなしがらみは発生して。逆恨みされたりなんだりあるのだから、できるだけ、わかってて作るしがらみは作らない方がいいと思う。

わたしはこの瘴気を鎮めるパフォーマンスが、また違う意味があるんじゃないかと危惧している。みんなは鎮めるためと思って協力しているから、それが違っていた場合、そこにわだかまりだったり、しがらみが発生するんじゃないかと怖い。

王子のしたいことはなんとなく予想している。

王子は魔王と呼ばれている封印された抜け殻をどうにかするつもりなんじゃないかと思うのだ。そしてアルバーレンにいた時に王子からこぼれた言葉のかけらで、その魔王をどうにかすると、浄化がされなくなる気がするのだ。もし合ってるとしたら。知らされないで協力している人たちは後で大打撃を受けると思う。

神様は瘴気があっても実際は問題ないみたいな感じだったけど。

やはり、瘴気を浄化するものがなくなっても大丈夫なものなのか、そこは抑えるところな気がする。だって、もし、雛ちゃん以外からの浄化がなくなってしまったら。雛ちゃんが最後の浄化できる人となったとしたら。雛ちゃんが存在しなくなったら浄化がされなくなると知ったら。また召喚を繰り返すのだろうか? 奇跡と言われる召喚が出来なかった時、王子は自分以外の全ての人から、本当に雛ちゃんを守り切ることができるんだろうか……。

もし瘴気があっても問題ないものなら、覆すことができる。

わたしはもしかしたら、神様にそれを聞くことができるかもしれないと思った。

解除をした時にひらひらと落ちてきた、神様からの手紙。あのカードをわたしは持っている。試しに普通のペン先を使ってみたのだが、何も書くことができなかった。黄虎が神気を感じたというし、特別なカードだから、特別な物でないと書けないんだと思った。

その時に思ったことがある。人の作るペン先では無理だけど、神獣が使うペンなら?

クーとミミがわたしのそばにいてくれるのは、偉大なドラゴンになるための一環で、レポートを書くと言った。それがどうにも気になっていた。ドラゴン文字なの? 文字ってどうやって書くんだろう? 書くってそもそもそんなの持ってないし。

それでね、尋ねてみたら、ポンと出てきたんだよ、ノートとペンが。

アイテムボックスみたいなものなんだと思う。

読んでいいと言うから読ませてもらったが、うん、小さいからね、レポートって言っても、うん、日記だね。見たこともない象形文字のようなものだったが、わたしは読むことができた。それもわたしが読むと結構恥ずかしい内容だったが。一緒にいるのわたしだからね。わたしのことがほとんどだからね、クーやミミがわたしをどう思っているのかよくわかって、嬉しくも恥ずかしく複雑なのだが。

そう小さなお手てを使って、ノートにそのペンで書き書きしていたのだ。

わたしはそのペンを少し貸してもらえるか聞いてみた。いいと言ってくれて、カードに書こうとすると、何も書けなかった。わたしは書けなかったけど、クーとミミならカードに文字を書くことができた。わたしはクーとミミに、神様へ手紙を書いてもらおうと思うのだ。

わたしひとりだと穴があるかもしれないので、モードさんに事情を話して、聞くべきことはこれでいいと思うかを聞いた。いいと思うと言うことなので、わたしはクーとミミにお願いして、代筆してもらった。

書き終わって、どうしようと思っていると、クーとミミは、文末に署名のように自分の肉球を押した。日記を提出するのもそうやるそうだ。肉球で押すと、それは提出されるらしい。

カードもね、ふわっと浮き上がり、空へと舞い上がっていった。

わたしは手を組んで祈った。神様、二度とこんなことしないから、一度だけ答えをください。みんなが不安に思っていることだから。聖女ちゃんを見ただけであんなに盛り上がる人たち。安堵していた。それくらいみんな瘴気に対して恐怖がいつもあったってことだよね。

さてと。裏の手回しはしてみた。

今度は表のことだ。素直に白状するかはわからないけれど。極力わだかまりはない方がいいと思うから。

「何かするつもりでしょう?」

わたしは王子を呼び出して、ふたりきりで話す時間をもらった。

「……止められないぞ」

しらばっくれるかと思ったけれど、そんな気はないようだ。それなら直球勝負だ。

「ここに集まってきた人は、みんな危険区域の瘴気が少しでも薄まればと思って参加している。それなのに言い出しっぺのあんたが違う目的だったら、それがわかった時、みんな哀しいよ。もしあんたが何かをしでかすつもりなら、最初からひとりでするべきだ。

雛ちゃんにも、雛ちゃんがすることで何が起きてどうなるのか、どうしたいのか本当のことを話すべきだと思う」

王子は視線を落とす。

「そんなことはわかっている。でも話したら、私は幽閉でもされ、願いは叶わないだろう」

そんな危険思想を繰り広げるつもりだったのか。だったら余計に見逃すわけにはいかない。

「幽閉されるとか、それはわからないでしょ?」

「いや、わかる。私以外は、みんなやるべきとは思わないだろう」

「だったら余計に話さないとだよ。またわだかまりが残って、未来でまた繰り返すのは、なしにしよう」

「ハナには私がすることがわかっているのか?」

「聖女ちゃんをここに来させたかった。危険区域で聖女だけができることってなんだろうって考えた。危険区域には聖女を食べた魔王が封印されている。過去で勇者に封印された魔王が。わたし不思議だったんだよね。魔王が聖女を殺したならわかるけれど、食べたって言うところが。食べられた聖女の亡骸が浄化を続けるっていうことも。王子言ったよね。魔王はわたしと同じ黒い髪に黒い瞳だったって。そうするとひとつ、仮説が立てられる」

「やめろ」

小さい声で呟くが、やめてあげない。

「魔王も他の世界から召喚された者だった」

「……」

「でも、魔王なんか召喚しないよね。だとしたら、食べたとか、亡骸が浄化するなんてめんどくさい設定にしなくてもすんなり意味が通るのがあるよね。呼び方はいつだって変えられる。封印された魔王が浄化をできるのは、魔王じゃなくて聖女だったから。最後の聖女だったから死んでしまったら浄化できなくなるから封印したんだよね」

魔王は召喚術が書かれた書を全て焼き払ったという。最後の聖女だった。焼き払って、自分が最後になることにした。最後の聖女になってしまったから、死んでしまったら大変だから封印された。

「そうだ。俺が封印した。この手で。殺してくれと懇願する魔王の願いは聞き入れられなかった」

ああ、この人はずっとそのことに囚われてきたんだなと思った。

転生して新しい生を受けてなお、忘れることができず、囚われてきた。

「王子の願い事って何?」

「……聖女の封印を解く。死なせてやりたい。この世界から解き放してやりたい」

それはわたしも賛成だと思った。

瘴気が魔物も苦しめるもので、瘴気があったとしても、世界が滅びることと繋がらないとわかったら、誰もがそう思ってくれるだろうか?

「気持ちはわかる。わたしもそうして欲しいと思う。けど、どうするの? 聖女がいなくなったら、また召喚するの?」

「……召喚は二度とできない」

「本当に?」

「最初から最後の召喚にするつもりで、召喚に携わったものは皆一部しか知らないんだ。それを拾って魔術で組み合わせたから、二度と組み立てられるものも、書は焼き払ってきたから知るものもいないし、それだけのことができる魔力がある者もいないから、安心してくれ」

「それじゃぁ、雛ちゃんが最後の浄化できるものになった時、王子以外の全ての人から雛ちゃんを守れるの?」

「守る」

「……一生? ……守り切れるとしよう。でも、雛ちゃんが手伝わされることで、雛ちゃんが自分を封印しようとする思惑を持つものが現れること、知る権利があるんじゃない?」