軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

136話 日常(上)

次の日、それじゃぁ、ちょっくらホリデのダンジョンへと支度をしていると、セグウェイを持って、お兄さんたちがやってきた。

ちょうどお休みだったそうで、レオンお兄さんとウォルターお兄さんが連れ立ってやってきた。

セグウェイはバッチリだ。車輪に強い皮を使ったのがいいみたい。乗り心地も悪くない。多少の段差もなんのその、だ。安定感があるし、魔力で動くからスムーズだ。

わたしがいきなり乗れたので、みんなかなり驚く。酷いな。

そうやるのか、と。試しに乗っていいかと言われ、順番に試す。わたしが乗れるぐらいだからね。みんなすぐに乗れて、自分も欲しいといっている。ね、そうでしょ。便利でしょ。こんな広いとね。歩くのがね。

それはわたしだけみたいだが、みんなすぐに発注をかけるみたいだ。わたしに合わせたハンドルの高さなので、そこまでの部分をもう少し高くしたいと言っている。ルークさんも乗ってみて、楽しそうだ。

さて、これから実はダンジョンに行こうと思っていたというと、みんな面白そうだといって一緒に行くことになった。

違う大陸の国に転移して大丈夫なのか聞いてみたが、問題を起こさなければ平気だろうと案外軽かった。さすが兄弟、同じ反応だ。

ウォルターお兄さんの転移でホリデの街に。

わたしは帝国と折り合いが悪い気がするからちゃんと入国するのは嫌だったんだ。だから、大変ありがたい。塔についた。皆さんの身分証は強さが記載されているものなのか、塔は普通にスルーだ。ギルド員でなくても強さがCランク以上ってわかる何かが記載されているんだろうな。

入ったところでストップをかけて、トボムさんに話しかける。

「トボムさん、お久しぶりです、リィヤです。こんにちは! わたし以外みんな強いです。7階に行きたいです」

「お前、誰に何言って……」

モードさんが驚いたようにわたしを見たが、響いた声に上を見上げる。

「おう、赤子じゃないか。よう来た。お前以外はみんな強いな。よし、7階じゃな」

景色が揺れて、海だったところみたいな気がする7階に到着だ。

成長した姿でわたしってわかるかなとちらりと思ったけど、赤子って呼ぶところからも、トボムさんは普通と違う視点で人を見ているのかなと思う。12歳から17歳になっているのに、トボムさんには変わりなく思えるのだろう、呼び方が『赤子』のままだし。同じく赤子呼ばわりするロイドもトボムさんよりの感覚なんじゃないかなと思える。

「今のは?」

ウォルターお兄さんに聞かれて答える。

「ダンジョンマスターのトボムさんです。このダンジョンをクリアするとこんなのがもらえます」

アークから返してもらったメダルを見せる。

「これがあるとダンジョンの好きな階に行くことができます。それがこのダンジョンのウリです。わたしはクリアしてないんですけど、ウリを考えたので、特別です」

本来ならメダルを持った当人だけの恩恵だろうけど、トボムさんが特別って言っていたから、多分一緒にいる人全員でも大丈夫と思ったんだ。で、ダンジョンの中ということを思い出して慌てて付け加える。

「この階は海の魔物が出てきます。空を泳いでますので」

みんな空を見上げる。おびれを揺らしてゆらりと大きな魚が泳いでる。アジだ。

「モードさん、アジだよ。あれもおいしい」

「うまいのか、わかった」

モードさんは飛び上がって、アジに剣を振るう。ポンと音がして、アジのお刺身がドロップする。

わたしは皆さんにマジックバッグを配った。モードさんがダンジョンでゲットしたであろうマジックバッグだ。はい、どんどん入れて行きましょう。

みんな渡されてはい?って感じだったけど。ことごとくドロップされていくので納得したみたいだ。

黄虎はソワソワしている。モードさんとコンタクトをとって、空を飛び、虎パンチで次々と魚を落とす。

黄虎、凄い。わたしはドロップ品を回収に走る。

「ここは全部ドロップするのか?」

「そういうわけじゃないみたいですけど、幸運値が皆さん高いでしょう? だからだと思います」

わたしは海藻や貝もゲットする。

クーとミミが黒いふわふわ漂ってくるものを体に巻きつけている。急いで取って足で踏みつけたら、海苔がドロップした!

まじ、使えるな、このダンジョン!

海苔だよ。おにぎりにも、海苔弁も! 海苔巻きも! 海苔大好き!!

「あ、まぐろ。モードさん、あれとって」

2メートルは超えていそうだ。

「よし」

なんか魔法みたいの出してきた。逃げ遅れそうになったのをルークさんに助けてもらう。

ありがとうございます。

皆さんお魚のことはあまり知らないみたいだけど、とにかくわたしがうるさいので、みんな次々ととってくれた。レオンお兄さんもさすが騎士。最初は空飛ぶ魚にどう攻撃すればとためらったみたいだけど、モードさんの動きをみて、すぐに獲れるようになった。ウォルターお兄さんは疲れない程度に魔法を放ち、大量ドロップだ。ルークさんはいつみても苦労知らずな気がする。なんとはなしに、獲っている。

途中、セーフティースペースでお昼ご飯にした。マグロの柵はオリーブオイルでハーブと一緒に焼いて、イカも最後に醤油だれをつけて焼いた。醤油の焦げるいいニオイがお腹を刺激する。隣で牡蠣を焼くとレオンお兄さんがハマっていた。獲ったばかりの貝類をシチューにして、ふわふわパンといただく。生魚はいきなりだとハードル高いかと思って、今は止めている。美味しかったみたいでテンションが上がる。ルークさんさえイキイキと大量に獲っていた。

ご飯の時に、セグウェイがもう少し安くなるといいなという話になったので、ここの5階が虫地獄で、けれど防具や素材ですごい値段になることと、わたしにはわからないけれど、その素材とか使えればいいのかもと思ったので口にしておいた。分厚い皮の蜥蜴とかはここでは見なかったけど。7階までしか行ってないからな。それと、最後に3階で果物を収穫して帰りたいことは伝えた。

魔物の出てくるバランスが、すっごく良くなっている。適度に来て、適度に慌てることもあるけれど、あの、いつまで続くんだの疲労感は圧倒的に少ない。

ボスのエイザメはレオンお兄さんが倒した。いっぱいドロップだ。エンガワもでた。エンガワ大好き、やったー!

5階にも行くことになった。最初から頭数には入っていないと知っていても、わたしは戦わないと宣言しておく。

奴らが現れるとみんななるほどと言う顔をする。奴らを見るとゾワゾワする。

でも、さすがみんな強い。危なげなく、たったか倒す。ウォルターお兄さんがいくつかの素材に驚愕していた。魔力と相性の良いものがあるみたいだ。レオンお兄さんも、これでグローブ作ろうかなとか、ムカデみたいのの皮をブンブン振っている。ルークさんも、何かの爪が使えるやつとかで微妙に喜んでいる。ボスの大ムカデを簡単に倒して、3階に移動。

このボス部屋には入らないよ宣言をしておく。ちなみに何だと聞かれたので、大きなカエルだと教えてあげる。毒々しい色で出てくるのは毒がいっぱいというと、ウォルターお兄さんがぜひ入ろうという。じゃぁ、わたしは果物を獲ってますんでと逃げる。モードさんはわたしについてきてくれることになり、他の皆さんでボス部屋だ。一応大丈夫だと思うけど、わたしたちが倒した時の方法を話しておいた。

その間に果物穫りだ。グリープをいっぱい獲っていると、モードさんの顔が険しい。

わかってます。飲みませんって。

わたしは成人しているし、お酒は楽しみにしていた。自分で作ったグリープ酒をモードさんとふたりで飲んだ。翌日モードさんに、絶対に俺以外と飲まないことと約束させられた。

はい、飲みません。ごめんなさい。せっかく飲める体になったというのに、わたしは酔うと……。多くは語るまい。はい、とにかくわたしは飲まないよ。身に染みているから大丈夫だよ。

グリープ酒は美味しいらしく喜ばれるのだ。お土産にいいなと思って。野生のグリープもそれぞれ美味しいけど、このダンジョン産のが出来が良かったんだよね、何でか。

果物は根こそぎ獲ったぞ。すぐリセットされてまた実がなるみたいだからね、遠慮しないよ。

多少げんなりした顔で、お兄さんたちが出てくる。ウォルターお兄さんだけが毒を手に入れられてホクホクしている。

ギルドでいらないものだけ換金だ。5階で獲ったものも、欲しいもの以外はここで売るみたいだ。いろいろと引き抜いたみたいだけど、それでも600万になった。レオンお兄さんが驚いた顔をしている。

冒険者の方がよっぽど稼げそうだといい、こんなドロップするのが稀だからそんな夢は持たない方がいいとモードさんが言う。

ウォルターお兄さんがハッとして、みんなに

「忘れ物、ないな。帰るぞ。感知に引っ掛かったみたいだ」

と路地裏に行って、次の瞬間にはログハウスに帰ってきていた。