軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

83 ダンジョン・ハードモード

「ダンジョンの難易度を上げようか?」

夕食時、いきなりヴィールからそう言われて、どういうことかわからなかった。

「え? 何? 難易度? どういうこと?」

「おれが支配しているダンジョンのことだ。肉もスクエアボアだけじゃ代わり映えがなくなってきたし。難易度を変えたら別のモンスターも出てきて、その中に美味いヤツがいるかもしれん」

ヴィールの言わんとしているところがサッパリなんだが。

「旦那様、ヴィールは山ダンジョンの主でしょう?」

見かねたプラティがフォローに回ってくれる。

我が農場は、近所に二つダンジョンがあって、ノーライフキングの先生が主をしている洞窟ダンジョンと、このヴィールが支配している山ダンジョンだ。

ダンジョンから発生するモンスターは狩って、肉や毛皮として利用することもできるし、有用なモンスターは持ち出して飼育したりもしている。

要は、俺たちの農場生活に既に欠かせないものとなっているのがダンジョンだ。

「ダンジョンって、元々は世界中を循環しているマナの流れが滞ったところにできるものなの。滞ったマナが異界化し、内部で凝縮されたマナがモンスターにもなる」

それは俺も前に聞いて知っている。

「ダンジョンの形態は、ここの状況によって様々変わるわ。依り代となる環境から洞窟ダンジョン、山ダンジョン、遺跡ダンジョンと種類分けされるし、マナ溜まりの大きさから難易度にも差が出てくる」

ほう。

「当然、滞るマナの量が多ければ多いほど強力なモンスターが生まれて、難易度も高くなるわ。冒険者を組織する人族が、そうした難易度の細かいランク付けを行っているそうだけど……」

「アイツらが使うダンジョン用語が自然と他の種族にも移って日常的に使われるってあるよな」

あー、あるある。

和製英語なんて特にそんな感じだし。

「ダンジョンの難易度は、流れ込んで溜まるマナの量に左右されるから、普通は周囲の環境が急激に変わるとかしない限り最初のまま変動することはないわ。ただし例外があるの」

ダンジョンに主がいる時。

「ダンジョン主になれるのはドラゴンかノーライフキング。いずれも超強力な災厄よ。大量のマナを操作するぐらい朝飯前」

その能力でマナ濃度を管理し、生み出されるモンスターの強さを変えることができるというわけか。

「それだけじゃないわ。ダンジョンの構造だって自由自在よ」

ダンジョンは基本、濃縮されたマナによって引き起こされる時空の歪みで、現世の空間とは関係ないらしい。

つまりたくさんのマナが溜まっていれば、それに応じて広大なダンジョンを作ることもできる。

そしてダンジョンの主は、人為的に手を加えて広さや構造も望む通りのダンジョンを作り出すことができる。

「万能じゃないか、ダンジョンの主って……!?」

「元々ノーライフキングもドラゴンも存在自体万能なんだけど。ヴィールも、自分が支配している山ダンジョンの難易度を人為的に設定してたの?」

とプラティが聞くと、ヴィールはごはんを掻き込む手を止めずに頷く。

「ああ、管理が面倒だからな。難易度はかなり低めに抑えていたぞ」

ダンジョンの主は、ダンジョンを自分の快適な住処にするため、割と難易度は押さえ気味にするそうだ。

難攻不落であるほど却って住み心地は悪くなる。

そのせいで迷い込んだ冒険者が割とあっさり最深部にたどり着き、主を鉢合わせて瞬殺、ということはよくあるそうだが。

「しかしダンジョンの難易度を上げたら、今までいなかった珍しいモンスターが出てきて獲物の幅が広がるぞ。料理したら美味いモンスターもいるかもな!」

なるほどなー。

色々揃ってきた我が農場だが、足りないものも依然としてまだある。

たとえば牛。

牛乳欲しい。

今まで畜産関係は完全にダンジョンのモンスターに依存してきたし、難易度の上がったダンジョンに乳牛に順ずるモンスターがいれば助かる。

「そうだなー、試しに挑戦してみるのもいいか」

難易度の上がったダンジョンに。

「そう来なくては! じゃあ早速ダンジョンをいじりに行ってくる!」

ごはんをすっかり食べ終わると、ヴィールはすぐさま外へ飛び出し、ドラゴン化して飛び去っていった。

相変わらず自由だなあアイツは……。

* * *

数日経ってヴィールから解禁が来た。

「おれのダンジョン、改造完了だ! さあ来るがいい! 誰の攻略でも受けて立つぞ!!」

なんかえらい挑戦的に言われた。

よくわからんが未知のものへの興味もあるため、同じく興味ある者を選抜してダンジョンに挑むことにした。

ヴィールの山ダンジョン(ハードモード)攻略組。

リーダー、俺。

補佐役にプラティ。

人魚組からランプアイ。彼女は元人魚国の近衛兵で戦闘は得意らしいから当然か。

次に魔族側からはベレナ。

そしてモンスター軍からゴブリン、オークが一班ずつ。

以上の人員で挑むことになった。

パッファ、ガラ・ルファは発酵食品、酒造りの仕事が忙しいと不参加。 さらにバティも服作りの仕事があるため辞退。

「ふはははははは!! さあ来るがいい下等生物ども! グリンツェルドラゴンのヴィールが支配するダンジョンをクリアすることができるかな!?」

なんかヴィールのヤツが悪乗りしていた。

何?

アイツが粋を凝らして改造したダンジョンを皆で頑張って突破しましょうってイベント?

「まあいいんじゃない? アイツの用意した関門を突破しながら、新しい山ダンジョンを見させてもらおうじゃないの」

というプラティに、それもそうだなと思った。

アトラクション気分で挑ませてもらうか。

よし、待ってろヴィール! お前の自慢のダンジョン、必ず俺たちで攻略してやるぜ!

というわけで。

実はまだ紹介してないもう一人の攻略メンバーがいるので、その人に登場がてら先陣を切ってもらう。

「では先生、よろしくお願いします!」

『かしこまった』

ノーライフキングの先生。

たまたま出発前に遊びにいらしたので、一緒にどうかと誘ったら快諾してくださったのだ。