軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

726 愛機作成

というわけで、俺の大会参加用のフィギュアを作製していくよ。

俺だけの機体をな!!

まずは素体となるキットの選択から始めよう。

現在売り出されている『ゴッド・フィギュア』の種類はこんなもんだ。

冥神ハデス。

海神ポセイドス。

軍神ベラスアレス。

造形神ヘパイストス。

他。

俺としては、いつもながら世話になっているヘパイストスさんをチョイスしたいところであるが、考えがあってこちらを選んだ。

軍神ベラスアレスさんのフィギュアだ!

「ほうほう、そちらをチョイスなさるとはシブいですなあ?」

「大体のユーザーは、ハデスフィギュアを使うんですけどねー?」

シャクスさんにベレナ。

なんで話も終わったのに残って見物しておるんですか?

「だって聖者様がどんなフィギュアを作るか気になるんですもん」

「そうです! 世紀の大発明に立ち会えるかもしれんのですぞ!!」

無闇な期待をかけていなさる。

いや、所詮俺なんて素人モデラーなんで出来上がるものなんてたかが知れてると思いますよ。

期待をかけられるとハードルがガン上がりする!?

「ちょっと思い入れがありましてねー」

「聖者様が軍神ベラスアレス様に思い入れ!? 何か壮大な神話叙事詩でも!?」

いや、もうちょっとオタク寄りな意味でね?

まあ、そうしてピンポイントでベラスアレス神のフィギュアを使えるのも生産者特権と言いますか……。

本来はランダム販売なんだから、欲しいものを当てるのに下手したら何十個も買う羽目になりかねないんだよなあ。

そりゃダブリ傾向の高いハデスフィギュアが改造の主流になりますわ。

そんなに買ってくれたユーザーの方々に感謝しかない。

てなわけで早速ベラスアレス神のフィギュアの改造を始めるよ。

結合部の隙間をパテで埋めたり、フチに墨入れして立体感を出したり……。

……まあ、そういうのは完成済みの神像なんで意味ないんだけど。

それより関節可動させるための改造が大変なんだけど。

自由に手足が動かないとバトルもできないことから、大会に参加させるためには関節可動と魔法石の埋め込みの改造が必須だ。

やり方はもうファンの間で広く流布しているようなんだけど、たった今飛び込んだばかりのビギナーの俺にはなかなか大変。

解説動画とかないの!?

しかし何とかなった……!?

ちゃんと肘膝や肩、それに股関節も自由に動くようになった。

おお、素晴らしい、こんなポーズもとれるように……!?

「しぇー」

「聖者様なんですか? このかまえ?」

成果の確認はこれくらいにして、ここからついに俺だけのオリジナル改造を施していく!

色塗ってー。

パテ盛ってー。

ヤスリで削ってー。

ちなみに道具はエルフさんたちからお借りした。

モノ作りに秀でた彼女らの下になら、その手の道具は大体揃う。

ただそのお陰で彼女らにもこの企画が知られるところとなり……。

「こんな面白そうな企画に私たちが乗らないわけにはいかない!」

「私たちこそ最高無敵のフィギュアを作製しなければ!」

「ドワーフどもも絶対絡んでくるぞ! ヤツらに負けることはないように徹底したものを作る!」

と俄然やる気になっていた。

エルフたちが一体どんなモノを作り出すか、まあ、あとのお楽しみということにしておこう。

それより今は俺自身のことだ。

そんなこんなしているうちに完成した。

俺の手による改造済みベラスアレス神フィギュア。

俺だけのオリジナルモデルだ。

「その名も……『スサノオ零式』だ!!」

「……うん?」

完成品を見て、ずっと傍で見学していたシャクスさんとベレナが首を傾げた。

「あの……、これはベラスアレス神の像ですよね?」

「そうですが?」

「なんか別人というか……別神の像になっていません?」

「そこがミソと言いますか……、俺の個人的な拘りですね……!」

さーって、早速このカッコいい機体を見せに行くぜ!

誰に見せるかって、そりゃもちろん我が息子ジュニアとノリトに!

男の子ならきっと感じ取ってくれる、このカッコよさを!

そして我が子らもフィギュアの面白さに触れてみずからも趣味の道を突っ走っていくことだろう!

まさしく英才教育だ!

と思っていたところへ……。

「ダメ! 接近禁止!!」

「おべええッ!?」

プラティにはっ倒された。

「何故……ッ!?」

「ダメに決まってるでしょう! ジュニアはともかくノリトは今なんでも口に入れたがる年頃なのよ! そんなお手頃サイズでアチコチ尖ったもの近づけさせてなるものですか!」

そんな……!?

「パーツごとに分けたら、さらに小さくなって誤飲の可能性も出てくるじゃない! そんなの子どもたちには断固として接触禁止よ! 安全と平和のために! わかった!?」

「は、はい……!?」

女性であるプラティには、この改造フィギュアに懸けられた男のロマンは理解してもらえないのか。

まだ赤ちゃんのノリトだけでなく、ジュニアにまで接触禁止されてしまうなんて……!?

ジュニアならきっと、よさをわかってくれるのに……!!

「はあ……、何やら旦那様の元凶でまた俗世が騒ぎ始めているのは何となく感じ取っていたんだけれど……!?」

「俺が元凶じゃないよ!? 気づいたらなんか大変なことになってるだけだよ、いつも!」

「自覚なき暴走こそ厄介なものはないのよ?」

「ぐふぉんッ!?」

なんかプラティに核心めいたことを突かれたんで声が漏れてしまった。

妻が厳しい!?

「魔力に反応して動かせる人形ねえ……。本当に旦那様は突拍子もないことを考えるのねえ」

「俺が考えたんじゃないやい! それに人形でもないやい!」

フィギュアって言うんだい!

「でもさあ、ふと思ったんだけど、これ問題あるんじゃない?」

「え?」

問題って何が?

まさかやっぱりこのフィギュア、『神への冒涜』とかになります?

「いや、神様たちは大らかだから何とでもなると思うんだけど。……問題は、旦那様の個人的なところよ」

「俺個人?」

「旦那様って魔力使えないでしょう? それでどうやって魔力に反応する魔法石を動かせるの?」

……。

……うん。

たしかにそうだ。

言われて初めて気が付いた。所詮異世界からやって来たこの俺。チート能力は持っていても、この世界由来の力にはてんで適応してなかったりする。

もちろん魔力も使えない。

それじゃあ魔法石を通じてフィギュアも動かせないじゃん……!

「俺、フィギュアのバトル大会に出場できない……!?」

しかしそこに気づくとはプラティさすが天才だな!!

さすが我が妻。

「と言うかなんでアタシが指摘するまで誰も気づかないのよ?」

ずっと傍らにいたシャクスさんとベレナに視線を向けたら、露骨に目を逸らされた。

「だって……、それくらい聖者様ならなんとかできるものと思って……!?」

謎の万能感を背負わされていた俺。

しかし俺にもできないことはあるのです。

「しかし、何とかできるというならしてみせようぞ」

「おおッ! 聖者殿がやる気だ!?」

せっかく心血注いで作り出した、この『スサノオ零式』。

日の目も見せずにお蔵入りにするのはあまりに可哀想すぎる。

俺のためではない。

『スサノオ零式』のためにも何としてでも出場を確かなものにしなければ!

そこで俺がとった方法は……!!