軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

684 ユーザークリエイト

吾輩、パンデモニウム商会長シャクスは悩んでいた……!

聖者様がお示し遊ばされた、商品の中身を明らかにしない形態での販売。

それはたしかに儲かる。

お客様はほしい商品が出るまで何度も買い続けることだろうし、全種類揃えたいとなれば実数以上の買い求めなければいけない。

その分、売り手側は儲かるであろう。しかしそれはお客様に無用な出費を強いるものではなかろうか?

奥様も言っていたではないか『悪い文化』だと。

それを無視し儲けのみを追及した商いに光はあるのか?

射幸心、コンプリート、箱買い、シークレット……!?

ああ、一体吾輩はどうしたら……!?

* * *

やっほー。

ボクはディアブロだよ。

魔都を所狭しと駆け巡る忙しなキッズさ!

今、魔都では大ブームの嵐が吹き荒れているんだよ!

何のブームかというとパンデモニウム商会から発売された新商品!

神像のおまけがついたレタスレート印煎り豆だよ!

目玉はむしろおまけの神像で、手のひらサイズながらも精巧に作られた造形は、大人もビックリするほどの見事な出来栄えなのさ!

しかもそれと同じものが何百と量産されて、しかも見分けがつかないほど姿形がそっくり同じということで、どうやってこんなクオリティを仕上げたのだろうと皆興味津々さ!

……っていうことを大人が言ってたよ。

魔都一のイノブェーターを自称するボクも、速攻で雑貨屋に駆け込んで購入したよ。

購入制限で一人三個までしか買えないぐらいだったのさ!

そしてワクワクして空けた中身は……!

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾①ハデス神像。

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾①ハデス神像。

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾①ハデス神像。

三つとも同じものだった!?

箱に入っていて中身がわからない辺りから何となく不安だったけれど、やっぱりそういうことだったんだね!?

中身がわからない以上、何が入っているかは偶然に頼るしかないよ!?

本当は喫茶店で見かけたカッチョイーベラスアレス像が欲しかったのに、偶然に引き当てるまで買い続けるしかないというのか!?

悔しさを噛みしめるようにおまけでついてきた煎り豆をバリバリ齧るよ!

こうなったら狙いの物が出るまで買い続けてやる!

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾①ハデス神像。

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾②ポセイドス神像。

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾③デメテルセポネ女神像。

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾④アンフィトルテ女神像。

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾⑤ベラスアレス神像。

異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾⑥ヘパイストス神像。

この中からボクお目当てのベラスアレス像が出るまで引きまくってやるんだい!

ママ! お小遣いの前借りプリーズ!!

え? ダメ?

* * *

ボクことディアブロは、新しい遊びを思いついたよ。

巷で『遊びの開拓者』との異名を奉られたこのボク、ディアブロ。

転んでもタダでは起きぬと宣言させてもらおう!

七転八倒だよ!

新しい遊びのために用意するもの。

その一。

パパから買ってもらった絵の具!

その二。

ダブりにダブって累計二十七個にまで増えたハデス神像。

そんなダブリフィギュアの一つを使い、絵の具でニギニギ色を塗っていくよ!

ビビッドにパステルに!

神像は粘土製なのか絵の具もノリがいいよ!

そして完成!

総面金ピカに塗られたゴールデンハデス像!

強そうだよ!

カッコいいよ!

やっぱり全身金ピカはカッコいいよね!

この勢いで他のダブりハデス像にも色付けしていって、他に二つとない、そもそも特別なオンリーワンハデス像を量産していくよ!

とりあえずいろんな色で単一色に染め上げてみよう。

真っ赤なハデス像、なんだか三倍速く動きそうだね。

青一色のハデス像、なんだか緑のヤツとは違いそうだね。

真っ黒ハデス像、何故か三体ほど並べたくなってきたよ。

白いハデス像、……悪魔かな?

色々塗ってるうちにボクの創作魂に火がついてきたよ!

なんだか楽しい、次は単一色じゃくて二色以上で飾ってみようか!

自分の中で色々設定を模索して、それにあった塗装をしていった結果……。

色々出来たよ!

高機動型ハデス。

ハデス迷彩仕様。

ハデス隠密行動型。

ハデス宇宙戦仕様(スカート付き)。

ハデス神スナイパーカスタム。

ハデス神プロトタイプエディション。

「全部同じじゃないの?」

なんてことを言うのママ!?

全然違うよ!

いいかい!? 高機動型とプロトタイプエディションの違いは……。

高機動型は目の部分を赤く塗って、プロトタイプは目が黄色なんだよ!

「よくわからないわ……!?」

ダブッてしまったハデス像を有効活用するために試みた遊びだけど思ったより面白いよ!

色塗るだけじゃ満足できなくなってきた!

紙粘度を出そう!

追加装甲を作製して、さらに強くてカッコいいハデス像を創造するんだ!

何故か知らないけどハデス像がやたらダブって出るんだよ!

凄い時は五回連続ハデス像だった!

やっぱり魔族の主神だから当たりやすいようになっているのかな!?

「ふっふっふっふ……! まだまだディアブロくんは発想が足りないね……!」

何ッ!?

そう言うのはどなた!? と思ったらボクの無二の親友ベルゼブくん!?

彼もボクと競うように異世界の神々フィギュアシリーズを買い漁り、おまけの豆をボリボリ食っていたはず。

そして彼も数多くのダブりハデス像をだぶつかせていたはず!?

「まさかキミも……ハデス像に独自の改造を……!?」

「情報が古いねディアブロくん。今魔都では、手元に余った異世界の神々フィギュアシリーズ第一弾①ハデス神像を使用して、みずからの技術と発想を表現するのがトレンドとなっているんだよ」

な、なんだって……!?

ボクと同じことを考えている人たちが、たくさん!?

ボク独自の発想だと思っていたのに……!?

「おのれの考えに酔って外に目を向けられないのがキミの欠点さ。そしてミーは、幾重もの交流によって新たなステージへとたどり着いた。見よ、ボクの最高傑作を!」

な、何―――――ッ!?

このハデス像、塗装も何もされておらず一見普通の像と思いきや……!?

「コイツ……動くぞ……!?」

なんと像の手足が、力を入れて押したり引いたりするだけで左右前後に曲がっていくよ!?

まるで本物の人みたいに!?

これがベルゼブくんの作品!?

「ハデス像を一旦切断してバラバラにし、可動関節を取り付けて組み直した。それによってハデス像は手足、頚部が可変となり、様々なポージングができるようになった!」

な、なんという超絶技巧……!?

ボクが色を塗ったぐらいで凄い発想だと自画自賛していた最中にベルゼブくんはもっと先まで行っていたんだね!?

「まだ驚くのは早いよ。更なる改造によってミーはマイハデス像に新たな力を与えた。その極致を見るがよい!」

ああああああッ!?

さらに新たなハデス像を加えて、全部で三体に!?

「ハデス像、三体合体!!」

ええええええッ!?

一体目のハデス像が背骨バッキバキになるぐらいに折りたたまれた!?

他の二体もハデス像もそんなに股が裂けて……、どうしたいの!?

いやもう人と呼べない状態にまで折れたりたたまれたりした三体ハデス像がくっついて……もっと大きな人の形に……!?

「三体合体デラックスハデス像スペシャル!!」

「な、なんだってーーーーーーッ!?」

変形合体!?

そんな手段もあるのか!?

「わかるかいディアブロくん! 今魔都では、ダブったハデス像を改造し、その出来栄えを競う神像バトルが大流行りしてるんだ! そのことをミーに教えられるまで知らなかったキミは大きく出遅れているということでもある!」

そんな……!?

魔都一のイノブェーターボーイであるボクが遅れている? スローリィ?

「そのハンデを巻き返し、神像バトルのスターダムに躍り出ることができるかな?」

「できらぁ!」

「ふッ、それでこそミーのライバルだ。ミーは一足先に頂点で待たせてもらうよ。キミが必ず這い上がってくると信じて……!」

* * *

こうして魔都ではダブりまくったハデス像による改造勝負で、文化と芸術が一層進歩することになるんだけど、何故かそのせいでパンデモニウム商会の偉い人が頭を抱えたそうだよ。

なんでかな?