軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

580 訪れる客:注文編

前回から引き続き十一歳児のディアブロくんがお送りしますという話だよ!

で。

早速メニューを覗いてみたところ……!

「わからん」

「わからないわ……!」

さっぱりわからないね!

全部こんな感じかと思ったら全部こんな感じだったよ!

「はい、当店で扱うメニューは特殊なものが多く、品名をご覧になっても『さっぱどわがんね』というお客様が多いです」

おお!

メイド服のウェイトレスさんが説明を!

「なので私からメニューの解説をさせていただきます。当店の代表メニューはコーヒーです。初めてご利用のお客様は、こちらをご注文いただければ間違いないかと」

「うむ、メニューの一番最初に載ってるものな……!?」

パパ、メイドさんをチラチラ見ながら言うよ!

「これはどう言った食べ物なんだい?」

「食べ物ではありません。飲み物です」

「飲み物? じゃあお酒かい?」

「いいえ、アルコールは一切含まれておりません」

ということは!

このコーヒーこそが、このお店を代表する噂の飲み物なのかい!?

お酒じゃないけど、お酒と同じくらい飲み応えがあると!

ハイハイハイハイ! ボクこのコーヒーにする!

「ディアブロは本当に流行ものに目がないなあ」

新しいものへ最初に突撃するのがイノベーターの務めだからね!!

お酒じゃないからお子様のボクが飲んでも全然問題ナッシングでしょう!?

「たしかにそうですが、それでもコーヒーはお子様には刺激が強すぎるかもしれません。こちらのカフェオレなどはいかがですか?」

「それは、どう違うんだい?」

「コーヒーに砂糖とミルクをたっぷり入れて、味をまろやかにしたものです」

そんなものまであるのかい!?

種類豊富だなあ! 一回で楽しみ切れないよ!

「私はそのカフェオレにしようかしら? あまり刺激が強いのは嫌だわ」

「じゃあコーヒーはパパが頼もう。ディアブロは一口ずつ味見すればいいだろう?」

さすがパパ! それぞれのメニューをシェアするなんて女子会みたいだね!

じゃあボクは、さらなる探究のために別のものを注文するよ!

そう言ってさらにいくつか注文したあと……。

「承りました、しばらくお待ちください」

と言ってウェイトレスさんが下がっていったよ。

さてさて、何ができるのかなあ。ワクワク……!!

「マスター、ご注文承りましたー」

「了解」

と言って動き出したのは、あの怖いオジサン店員だったよ!

え? あのオジサンてっきり用心棒の類かと思いきや、ちゃんとした店員さんだったの?

注文を受けたおじさん、テキパキと動き出したよ!

ヤカンでお湯を沸かし、その間になんか取っ手のあるものを回してゴリゴリしだしたよ!

ああッ、そして何かの容器の中から真っ黒い粉を出して……!

何だろう?

何だかよくわからないけどカッコいい……!?

オジサンが手際よくコーヒーを淹れる姿が、なんだか知らないけれどメチャ渋くてカッコいいよ……!?

「コーヒー上がったよ。カフェオレはもう少し待ってくれ」

「かしこまりー」

ウェイトレスさんが運んできて……。

「お待たせしました、コーヒーになります」

おお、これがコーヒーなのかい!?

真っ黒だよ! 真っ黒いお湯だよ!

「これがコーヒー……!? 人の飲み物なのか……!?」

「もちろんです。とても苦いので気をつけてお飲みください」

パパ、パパ! 一口ちょうだい一口!

…………にげえ!

苦いよ! 滅茶苦茶苦いよ!

苦すぎて舌が引っこ抜けそうだよ!!

「たしかに苦いなあ。しかし何だろう? この苦味が不思議と落ち着く……!」

パパ!? どうしたのパパ!?

なんか違いのわかる人みたいになってるよ!?

「ハハハ……、この苦味のよさがわからないなんてディアブロもまだまだボーイだな」

パパうぜぇ!

その隣でいつの間にやら届いていたカフェオレとやらを賞味するママだよ!

「私はこっちの方が好きねえ。ミルクで味がまろやかになっているわ」

「おや、もうなくなってしまった。コーヒーおかわり」

「私も」

コーヒーもカフェオレも大好評だよ!?

ああしかしそれ以上に……! ボクの心をわしづかみにして放さないのは、あのオジサンのコーヒーを淹れる動作が、めっちゃ渋くてカッコいいことだよ!!

一切無駄がなく、一つの動作から一つの動作へと移り変わっていく際の淀みのなさ!

適切! かつ迅速!

まるで一流剣士のチャンバラを見ているかのようだよ!

カッコいい!

オジサンカッコいいい!

「そう言ってくれるとマスターも嬉しいと思いますよ」

ああウェイトレスさん!?

「マスターは開店に当たって、一生懸命コーヒーの淹れ方を勉強しましたからね。何百回も練習したみたいですよ」

「チェルチュくん、無駄口叩いてないで仕事しなさい」

「マスター照れてるぅ」

ふぉおおおおおおおッッ!!

渋いよ! このマスター渋いよ!

ボクの子ども心にビンビン反応するよおおおおおおおッッ!!

最初はマスターこそこの店の問題点かと思ったけど、まったく逆!

余所のお店にはない名物になること請け合いだよ!!

「そこの坊やの注文上がったよ、待たせてすまなかったな」

あ、そういやボクも何か注文してたよ。

パパやママと被らないように知らないものを選んだんだけど……、何頼んだんだっけ?

「クリームソーダでございます」

ほんげええええええええええッッ!!

何コレ!? 何コレえええええええええええッッ!?

まったく得体の知れない飲み物だよ!

緑色で! 液体の中に泡があるよ!? そして上に載っているクリームは何いいいいいいッ!?

うめえええええええッッ!?

一口飲んで口に広がるシュワシュワとした広がり!?

なんだこれはああああああああッッ!?

上に載っているクリームも冷たいよ! ひんやりしていて、あえて言うならアイスクリームだよ!

ソーダと接している辺りからジワジワ溶けだして、混ざっている部分をスプーンで一掬いして食べるとまたうまああああああッッ!?

「どういうことディアブロ!?」

「ちょっとパパにも一口食べさせてごらん? なあ?」

嫌だよ!

このクリームソーダは一口たりとも他のヤツらに渡すものか!

親の金で食うクリームソーダが美味い!

まあでもボクの心は広いから分け与えてあげるけどね。何様。

「おほおおおおおおッッ!? これは美味しいい!?」

「冷たくてシュワシュワだわ! 新食感だわ!」

パパママも新鮮なクリームソーダの刺激の虜となったようだね。

お店の雰囲気もいいし、マスターは渋くてカッコいいし、何より肝心のメニューが素晴らしい!

コーヒーのよさは子どものボクにはまだわからないけれど……!

発表します!

この店はボクラン調べで星十個だあああああッッ!!

「お待たせしましたー」

「あら、まだ注文が残っていたわ」

そうだった。

飲み物だけじゃ何だって言って軽食も頼んでいたよね。

飲み終わった頃に来た!

「ホットケーキでございます」

ほんわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!!!!!

何これええええッッ!?

甘くてふわっとした生地がふわふわああああああッッ!?

シロップが流れ落ちていくよおおおおおッ!?

バターがジワジワ溶けていくよおおおおおおおおッッ!?

たっぷり載ったホイップが映えするよおおおおおッッ!?

「これは美味しい! これは美味しい! 全然足りないおかわり!!」

「腹いっぱいになるまで食べたいわ! これじゃ軽食にならないわああああああッ!?」

「コーヒーもお代わりだあああああッ! ジャンジャン持ってきてえええええッ!!」

パパとママもすっかり喫茶店の虜になって!

修正するよ!

ボクラン調べでこのお店は星百個だよおおおおおおおおおッッ!!

明日も来よう! ボク大人になったら絶対通うよこの店!

仕事中の休憩場所に使うよ!